「佐々木裕健」さんのページ
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- 1981年生まれ(性別:男性)
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現実をさまよっている、学生とフリーターの中間の生命体。
10年ほど前に存在したサイト「M.M.J.〜漫画無間地獄〜」にも投稿していた経験を持つ。
ネット空間に実名をさらす命知らず。
「レビュー」なんておこがましいですね。単なる「野次」です。
どんなクソでも漫画家にしてみればそれなりに人生を捧げて創っているわけでしょうが。
感想、批判がありましたら、下記のアドレスまで。
p-m-institute@hotmail.co.jp

7点 G戦場ヘヴンズドア
この作品に限らず日本橋ヨヲコ作品は、私にとって評価の難しい作品である。
面白いし、個性的だし、ストーリー展開は誠実だし、技術もある。
夢中になって読める作品ではあるのだが、時々、気持ち悪くなることがある。
日本橋の作品には全て、作者の個人的な思い入れやナルシズムが強烈に詰まっており(他の作品とリンクさせたり、作品世界の登場人物の中だけでカップルにしたり結婚させたり)、その臭い、まるでジンギスカンのけもの臭さのような臭いが、鼻に付き、吐き気をもよおすことがある。
この臭いは脱臭すればよいと言うものではないし、また作者の性質からして不可能でもあるのだろうが、この臭いのために、私は素直にのめりこんで感動することを妨げられてしまうのである。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-06-13 06:19:02] [修正:2007-06-13 06:19:02] [このレビューのURL]
9点 七夕の国
『寄生獣』との比較して評価の低い意見が目立つが、決してそんなことは無い。
『寄生獣』も含めた岩木作品の特徴は、型にはまらないが計算されつくした丁寧なストーリー展開にあるわけであり、そういう意味ではこの作品も、他の作品に全く劣ることの無い、名作と言える。
『寄生獣』はそもそも100万部単位でヒットしたこと自体がイレギュラーなのである。少なくとも作者本人は、『風子〜』の時と同じように、自分のペースで書きたい物語を書いただけであり、こんなに大ヒットするなんて本人にとっても意外だったことであろう。
たまたま一般受けする要素(感動とか泣きとか息詰まるバトルとか)がちりばめられていたために、あのようなビッグタイトルになったわけであり、本来ならば「知る人ぞ知る、個性的な名作」だったのである。
『七夕の国』は『寄生獣』と似たテーマを扱っておきながら、メジャーになる路線からずれたストーリー展開をしており、そういうのを期待していた読者にとっては肩透かしを喰らったかもしれない。しかし、それをもって評価を下げるのは、実は筋違いなのである。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-06-13 06:05:45] [修正:2007-06-13 06:05:45] [このレビューのURL]
3点 生存〜Life〜
物語終盤のストーリー展開、あれがどうしても納得できない。
娘を殺された主人公が犯人を追い詰める。だが、残念ながら時効がきてしまい、法で裁くことができなくなってしまった。そこで主人公は自らの手で裁こうと犯人を殺そうとするが、その時娘の幻がそれを制止し、結局復讐はならなかった。そしてその後、主人公は「殺さなくて良かった。こんなことをしても、娘は喜ばない。」と言う。
実に陳腐な話である。
福本伸行は「殺人は絶対悪。主人公には絶対に人殺しをさせない。」という倫理観を持っており、それ自体を否定する気は毛頭ない。
しかし、娘を殺された親の怒りが、こんなあっさりした形、使い古された展開やセリフであっさり変化してしまったことに納得がいかない。あれほど人の心のひだのひだまで執拗に描写してきた福本にしてはあまりにお粗末過ぎる。
そしてもっとひどいのは、実は時効を迎えておらず、時効にできるかできないかの、ギリギリの心理戦へとストーリーの流れをスライドさせてしまったことである。
結局、主人公は自らの手を汚すことなく、復讐を達成してしまったわけである。
『るろうに剣心』でも批判したようなご都合主義的展開と言えよう。
最終巻を読み終わった瞬間、即、古本屋に売り飛ばした。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2007-06-13 05:49:34] [修正:2007-06-13 05:49:34] [このレビューのURL]
6点 無頼伝 涯
人気の面で問題があったのか、早々と打ち切りになってしまったが、少年誌に福本を投入するというのは実に面白く、有意義な話なのだから、多少無理してでも続けるべきだった。
福本作品は、現実社会の厳しさ、理不尽さと、その中であっても人間らしく生きることの尊さを描き続けており、そういう意味ではものすごく道徳的だったりする。
「孤立せよ・・・」「オレの正しさは、オレが証明する」といった数々の福本節は、明らかに読者層を意識したものである。
少年マガジンを読む少年たちの中には思春期、反抗期の真っ只中にいる子たちはたくさんいるだろう。世の中の汚さに気づき始める年頃だろう。そんな少年少女たちにむけたメッセージが不発に終わってしまったことは、とても残念である。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2007-06-12 21:53:23] [修正:2007-06-12 21:53:23] [このレビューのURL]
少女漫画(厳密には違うが)の最も良質な部分が表れた作品。
多少ホラーめいた結末もあるが、大半はハッピーエンド。にも関わらずチープな話になっていないところが良い。
また、この作品において、登場人物全てに名前が存在せず、そのことが現実からの適度な離脱感と普遍性を与えている結果となっている。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2007-06-12 21:41:25] [修正:2007-06-12 21:41:25] [このレビューのURL]
5点 封神演義
原作ものでありながら、変形、逸脱のさせ方が大変面白い。
主人公の策士、戦術家ぶりがあまり伝わってこない点(荒木や福本のように感心できない)、救いの無い展開の重々しさと絵柄の不一致がマイナスポイントであった。
単純に比較できるものではないかもしれないが、後の短編集に収録された、主人公が女の子バージョンの封神演義の方が面白く、完成度も高い。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2007-06-12 21:34:51] [修正:2007-06-12 21:34:51] [このレビューのURL]
9点 風子のいる店
この作品が『寄生獣』の前に書かれた作品であることに驚く人が多いみたいだが、私は逆に、ものすごく納得いった。
可愛い女子高生が喫茶店でウエイトレスのバイトをしており、そこでおこる日常のあれこれ、というあらすじだが、これだけ聞くとものすごくゆるくお軽い、萌え漫画のような気さえしてくる。しかし全然違うことは、実際読んで見れば一発でわかる。
登場人物一人一人が現実で生きているかのように意思を持って動き、その結果何かちょっとした(時には犯罪沙汰の話も出てくるが)出来事をまとめていく、ストーリーの定型パターンにキャラを載せるということは極力しないという誠実さをもって描かれている。
『寄生獣』でも、作品内で起こる出来事のスケールが大きくなっただけで、こういった地に足のついた誠実さという点では共通である。入れ物が変わっただけで、中身が変わったわけではないのである。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-06-12 21:26:22] [修正:2007-06-12 21:26:22] [このレビューのURL]
10点 MONSTER
この作品に限らず浦沢作品は、バランス感覚が絶妙である。
意表をついても、奇を衒うことはしない。個性的であっても、メジャーなところは外さない。
手塚治虫がその無尽蔵のエネルギーを全力で放出し続けたのに対し、浦沢直樹は限られたエネルギーを計算、コントロールし、戦略を考え、有効な集中することによって、天才と渡り合おうとしているように感じる。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-06-12 21:08:50] [修正:2007-06-12 21:08:50] [このレビューのURL]
9点 蟲師
「蟲」の存在は単なるファンタジーではなく、現実に存在する「理性や科学だけでは理解しきれない何か」を象徴しており、それゆえに、この作品の持つ空気自体が、現実と非現実の挟間のような、独特のものをかもし出している。
これと似た世界観に『もののけ姫』があるが、これは大変動きの大きい話であるが『蟲師』はこれほど動きは無い。にも関わらず面白く退屈しない。静かなのに退屈しない物語。これは狙ってできるものではない。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-06-12 21:00:40] [修正:2007-06-12 21:00:40] [このレビューのURL]
作者のデビュー作であり、出世作であり、現時点での最高の作品。
週間連載に耐えられる力量の無い状態で連載を始めてしまったという感じがモロに出てしまっている。
また、少年誌で表現できるようなテーマを超えていて、そういった意味でも無理が感じられる。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2007-06-12 20:49:59] [修正:2007-06-12 20:49:59] [このレビューのURL]