「佐々木裕健」さんのページ

総レビュー数: 58レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月12日

4点 DEATH NOTE

大場つぐみ=ガモウ説に一票。

絵柄や雰囲気こそ違えど、ストーリー展開やトリック(そして登場人物の名前のセンス)のレベルは『ラッキーマン』とたいして変わらないように思える。(逆に言えば、『ラッキーマン』が過小評価とも)後付ルールでストーリーを引っ張った感もある。

「友情・努力・勝利」の「努力」以外を真逆にした主人公の造詣は衝撃的だった。

連載中、真っ先に読み続けはしたが、二度読むほどの価値は無い。

主人公の頭脳戦のみに主眼を置き、「正義とは何か?」とか「実の息子が犯罪者だった時の親の行動は?」といった難しいテーマを全て切り捨てたのは潔しとも取れるが、それがゆえに一過性の価値以上のものは、この作品には無い。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-06-17 00:11:04] [修正:2007-06-17 00:11:04] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

『うしおととら』が少年漫画の正統派の道を進みきっているのであれば、『覚悟のススメ』は道ならぬ道を強引にかき分けている感じがする。不器用な人がのた打ち回りながら前進し続けていったら、誰にも真似できない独特の王道を獲得してしまったという点では、福本伸行にも通じるものがある。

最終回のまるで劇団のカーテンコールのような演出は感動の涙と笑いの涙が同時に出てくるような、異様なテンションがある。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-06-12 18:58:16] [修正:2007-06-12 18:58:16] [このレビューのURL]

私には完全に受け付けられない漫画。


主人公の優柔不断具合や、葛藤の描写にリアルさがあるのは認められる。ダメ男の無限循環のような思考をここまで描写できるのは稀有であることは理解できる。

しかし、こんなダメ男が明らかに不釣合いなくらいの女性と恋愛できてしまえるということ、その点が、私の感じてきた「リアル」「現実」とはあまりにかけ離れていて、これをもってして「リアルな恋愛」「感動できる純愛」とはどうしてもならないのである。


「それじゃあ、ラブひなはどうなる?」と言われれば、あれは根本的にフィクションであり、ファンタジーであり、リアルでもなんでもないことは誰が見ても分かる。世界を構成する土台が大嘘なのだから、嘘みたいなハーレムも許容される。

しかし『アイズ』の場合、ダメ男のダメ思考、ダメ行動を嫌と言うほどリアルに描いておきながら、肝心のところで突然聖人になって(「この誘惑に打ち勝てるのなら、何で今までバカな行動ばかりしてきたの?今までの葛藤は何?」と感じてしまう)、純愛になってしまうところに、物語の自然な流れを妨げ、偽善的、ご都合主義にしようとする意図の臭さを感じてしまうのだ。

もう少し主人公がしっかりした人だったら、こうは思わなかっただろう。


と、ここまで言っても、理解できない人には理解できない話だと思うので、こんな見方をする奴もいるんだなあ、くらいに思っていてください。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-06-12 17:02:35] [修正:2007-06-12 17:02:35] [このレビューのURL]

漫画、というかストーリーの定石、エンターテイメント性を大幅に犠牲にしてでも社会、現実をリアルに描こうとしているように感じる。

主人公の医局内での嫌われっぷりはその典型である。『医龍』のようなスーパーマンでもない普通の研修医(下っ端)が、医局(組織)に対して従順でない、その軋轢の描写は本当にお見事。

主人公の行動が完璧、正解かどうかの判断はできないが、こんな風に嘘の無い行動をすることを「偽善的」と切り捨てること自体、すでに社会に毒されている何よりの証拠であろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-17 22:23:53] [修正:2007-06-17 22:23:53] [このレビューのURL]

色々面白くなる要素を持ち合わせておきながら、全て不発で終わってしまった感じ。

主人公、外道って言われてるけど、どこがデスか?単なる口の悪い説教好き。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-17 00:58:17] [修正:2007-06-17 00:58:17] [このレビューのURL]

絵の密度は恐ろしいくらい高く、作品の世界観を余すことなく表現できている。

にも関わらず、ストーリー展開の密度にはあまりにムラがある。作者にとっては真剣なのだろうが、カットするか短縮した方が良い戦闘シーンが多すぎる。かと思えば、テンションを崩壊させかねないようなギャグシーンも投入し、全体的に力の出し入れを間違っているような印象さえもしてしまう。

誰もが言うとおり、
3巻〜14巻の流れは、日本漫画史上類を見ないほどの神懸かったものがあり、まるでギリシア悲劇かオペラを見ているような錯覚さえも味わうことが出来た。

それ以降は、作者の自己満足的なものが多く感じられるが、人生を捧げているエネルギーだけは感じ取れるので、最後まで付き合おうと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-17 00:33:55] [修正:2007-06-17 00:33:55] [このレビューのURL]

8点 SLAM DUNK

巻が進むごとに(試合が進むごとに)密度が高まってくる。しかしラストは高まりすぎではないだろうか。

一般的に高評価の山王戦だが、私にとっては、その前くらいのインターハイ予選くらいの濃さが一番読んでいて楽しく、ラストはまるでカルピスを原液で飲んでいるような、重たすぎる感じがして、あまり好きではない。

力が入っているのはよく分かるし、それが今の『バガボンド』『リアル』につながっているのだろうが、もう少し遊び心があった頃(ドリブルシュートを「庶民シュート」と命名してしまう感覚)がなつかしく、大切にしてもらいたかったと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-16 21:07:14] [修正:2007-06-16 21:07:14] [このレビューのURL]

8点 編集王

私が高校生のだった時は、ただ無条件に面白いと思ったし、主人公たちのように熱く生きたいと思ったし、編集長をはじめとする「敵」や「敵の正論」をただただ嫌悪していた。

しかし、年をとり、多少なりとも社会の厳しさや自らの限界が分かってくると、別の見方になってしまう。主人公たちの主張も、一面的だったり、独りよがりにもキレイ事にも思えてしまう。

ただそれを考慮したうえでも、「捨ててはならない何か」を感じられる、強い力を持った作品であることには変わりはない。


余談だが、日本橋ヨヲコが土田世紀のことを「全部本気で全部ウソ。」と言っていたが、見事に本質を突いていると思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-16 18:25:59] [修正:2007-06-16 18:25:59] [このレビューのURL]

「天才と基地外は紙一重」という言葉の象徴みたいな作品である。

楳図以外ならば決して許されないのではないかというくらいの、論理的な飛躍がありまくる展開で、楳図に思い入れの無い人が読むと、その点を持ってして「失敗作」と断じられてしまう危険性もある。それはあながち間違いではなく、それほどギリギリのところで成立している作品である。

満点をつけた私自身も、この作品に対する一般的な評価、批評を見ること無しに、「名作!」と言い切れたかどうかは、自信が無い。

そういった、ある種の「偏見」「色眼鏡」がついているかも知れないと思いつつ、満点をつけたのは、
「この作品の良さは、ちっぽけな自分ひとりの力で発見できるような種類ではない」でも「良さは確かに存在する」と感じたからである。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-16 18:04:54] [修正:2007-06-16 18:04:54] [このレビューのURL]

この作品に限らず日本橋ヨヲコ作品は、私にとって評価の難しい作品である。

面白いし、個性的だし、ストーリー展開は誠実だし、技術もある。

夢中になって読める作品ではあるのだが、時々、気持ち悪くなることがある。

日本橋の作品には全て、作者の個人的な思い入れやナルシズムが強烈に詰まっており(他の作品とリンクさせたり、作品世界の登場人物の中だけでカップルにしたり結婚させたり)、その臭い、まるでジンギスカンのけもの臭さのような臭いが、鼻に付き、吐き気をもよおすことがある。

この臭いは脱臭すればよいと言うものではないし、また作者の性質からして不可能でもあるのだろうが、この臭いのために、私は素直にのめりこんで感動することを妨げられてしまうのである。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-13 06:19:02] [修正:2007-06-13 06:19:02] [このレビューのURL]

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