「佐々木裕健」さんのページ

総レビュー数: 58レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月12日

1巻だけなら、ちょっとエッチな、和服な純愛ものとして見ることも可能。

ターニングポイントは2巻から。

女の子をたくさん登場させ、ハーレム状態を作っておき、でも本物のハーレム路線にはせず、ぬるい展開を維持、最後は1巻の純愛路線に戻ってめでたしめでたし。


別に世の中にどんな不道徳なエロ漫画があっても構わないと思うが、「ごまかしのある純愛」は嫌いです。「純」じゃないから。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-12 17:19:40] [修正:2007-06-12 17:19:40] [このレビューのURL]

私には完全に受け付けられない漫画。


主人公の優柔不断具合や、葛藤の描写にリアルさがあるのは認められる。ダメ男の無限循環のような思考をここまで描写できるのは稀有であることは理解できる。

しかし、こんなダメ男が明らかに不釣合いなくらいの女性と恋愛できてしまえるということ、その点が、私の感じてきた「リアル」「現実」とはあまりにかけ離れていて、これをもってして「リアルな恋愛」「感動できる純愛」とはどうしてもならないのである。


「それじゃあ、ラブひなはどうなる?」と言われれば、あれは根本的にフィクションであり、ファンタジーであり、リアルでもなんでもないことは誰が見ても分かる。世界を構成する土台が大嘘なのだから、嘘みたいなハーレムも許容される。

しかし『アイズ』の場合、ダメ男のダメ思考、ダメ行動を嫌と言うほどリアルに描いておきながら、肝心のところで突然聖人になって(「この誘惑に打ち勝てるのなら、何で今までバカな行動ばかりしてきたの?今までの葛藤は何?」と感じてしまう)、純愛になってしまうところに、物語の自然な流れを妨げ、偽善的、ご都合主義にしようとする意図の臭さを感じてしまうのだ。

もう少し主人公がしっかりした人だったら、こうは思わなかっただろう。


と、ここまで言っても、理解できない人には理解できない話だと思うので、こんな見方をする奴もいるんだなあ、くらいに思っていてください。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-06-12 17:02:35] [修正:2007-06-12 17:02:35] [このレビューのURL]

単純にヴィジュアル面で、源氏の愛人たちの描きわけがきっちりできていないのはマイナス。ただでさえややこしく、それでいて重大な物語の核である人間関係が余計に分かりづらくなってしまい、「解読」に手間取ってしまう。

その点さえ除けば、複雑で難解な源氏物語の世界を、質を落とさず明確に漫画に翻訳できている。この作品を読むのと読まないのとでは、原作の難解さに対する抵抗が全く違うほどである。

現代とは全くかけ離れた平安時代特有の常識とか規則とか貴族社会とかが自然と伝わるように描かれており、その中で幸福も不幸もかみしめて生きていく人間模様を素直に楽しむことができる。


ちなみに、光源氏は現代で言えば木村拓哉のようなものであり、かっこいいことは認めざるをえないが、人間的に好きか嫌いかでいえば、判断が分かれるところである。(例えば谷崎潤一郎は嫌いだったらしい。)

この作者は光源氏の人間性に対してとても肯定的な見方をしており(要するにキムタクを「いけ好かないかっこつけ野郎」とは微塵にも感じていないファンのようなもの)、それゆえに、光源氏が不幸に陥っても「あんなにたくさんの女に手を出したんだから自業自得だ」というような突き放した表現があまりされておらず、終始同情的なまなざしを送り続けており、そこが受け入れられない人にはきついかもしれない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-12 16:41:17] [修正:2007-06-12 16:41:17] [このレビューのURL]

手塚治虫の正当な後継者の一人でありながら、手塚を越える意思や情熱が無いことを証明してしまっているような作品。

日本の漫画史からみてもあまりに重大な存在である「ときわ荘」を実体験を元にネタにしているのだから、つまらないわけが無い。
しかし、そのおいしいネタを作品として結晶化する際により良いものにしようという工夫、努力が微塵にも感じられない。(過去の話や絵の使い回しが多すぎることは、その極端な例)

過去の栄光を省みず、のた打ち回りながら死ぬまで前進し続けた手塚に対して、過去の仕事の年金だけで細々と生きようとしている藤子A。

切ない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-12 16:18:32] [修正:2007-06-12 16:18:32] [このレビューのURL]

3点 あずみ

登場人物の命や運命に対する容赦なさ、その中でも懸命に生きようとしたり、逃げてしまったりする人間たちの群像劇は単なる感動を越えて、民主主義、平和主義はおろか、警察さえもろくに機能していないような初期江戸時代の生々しさを感じることができ、その点だけでも十分個性的である。

10巻までならば満点の価値があった。

しかし残念なことに、作者はこの作品を作品として美しく完結させようとする意思は皆無であり、あずみという永遠の少女をただただ長く描き続けることのみを目的としている。
主人公を偏愛するあまり、作品としての価値を捨ててしまったわけである。

この姿勢自体は、非難はしても仕方の無いことではあるが、あずみに萌えたいのではなく、完成された物語に浸ることを願っている人にとっては、10巻前後以降は蛇足以外の何物でもない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-12 16:04:04] [修正:2007-06-12 16:04:04] [このレビューのURL]

露骨な性描写が気持ち悪い。(無ければよい、と言うのではなく、描き方が生理的に合わなかった。あんなにモロでなくても、表現はできるだろうに。作者の趣味だから仕方は無いけど。)

それさえなければ本当に非の打ち所の無い作品である。

登場人物全てが理性的なところ、狂っているところをもっており、しかもその「狂っているところ」こそが、単なる個性を越えて、今の日本社会の「豊かなんだけどどこか壊れている」といった感じを上手に反映させている。

この作品全体からは、どこにでもいる「善人」に対する強烈な怒りを感じる。もちろんこの場合の「善人」は、

表面は問題の無いように取り繕い、肝心の臭いものにはふたをし、他人に対しても自分自身に対しても嘘をつきながらだましだまし生きていて、しかもそのことさえも認めようとしない「善人」である。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-12 15:49:17] [修正:2007-06-12 15:49:17] [このレビューのURL]

3点 ARMS

作品の完成度自体は大変高い。
長編でありながら、物語に破綻なく、上手にまとまっている。勢いだけで押し切らない、構成の上手さには感心さえしてしまう。

では何故、得点が低いか。

それはこの作品(と言うより作者の)哲学、善悪に対する考え方が甘いというか、奇麗事に過ぎるところがあり、しかもその哲学にしたがって勝者と敗者、幸福に生きるものと不幸に堕ちるものの線引きが露骨に反映しているように(少なくとも私は)感じられるためである。

悪役として登場しておきながら、敗北後あっさり考え方を変えるなど、人間や正義に対する洞察が単純すぎるように思われる部分がストーリー上数多く見られる。(その点では、まだ前作の『スプリガン』の方が多様な人物を出し、まっとうさせていた。)

まあ、一言で言えば私の好みではなかったわけです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-12 15:32:26] [修正:2007-06-12 15:32:26] [このレビューのURL]

10点 青い花

[ネタバレあり]

レズ、百合というジャンルは閉鎖的な作品が多い。

「同性愛者がマイノリティに属している」「まだまだ社会に受け入れられる価値観になっていない」という事実、現実的な問題をバッサリ切り落とし、背徳的な快楽、二人だけの閉じた幸福というおいしいところだけを表現する、現実逃避的な作品ばかりである。

したがって、そういう世界観を無条件で楽しめる人、好きな人、はまり込んでいる人以外の人にもお勧めできる作品はほとんど存在しない。



『青い花』はその唯一(に近い)の例外である。

友達に同性愛を告白する際「気持ち悪いと思わないで。」と泣き崩れるシーンは、ただの百合もので終わらないという作者の姿勢の象徴とも言える。

もちろん、ただ厳しい現実を描いたからすばらしいというのではない。

登場人物一人一人の丁寧かつリアルな描写、幸福も不幸も全てをやさしく包み込む世界は、極めて上質なエンターテイメントである。美化しているところも含めて。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-12 15:15:29] [修正:2007-06-12 15:15:29] [このレビューのURL]

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