「団背広」さんのページ

総レビュー数: 137レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年05月03日

[ネタバレあり]

以下の文章は俺、団背広の偏見と思い込み、そしてやり場のない怒りによって書かれたものです。
完全にネタバレしてますし、読むと気分が悪くなるかもしれないので注意して下さい。



俺が滅多なことじゃ0点をつけないのは、稀に殺意に近い怒りを抱くような漫画を目にすることがあるからだ。そういう作品に対する怒りを示すために、俺は0点を取っておいている。
そして俺はこの「隣人13号」に、今初めて0点を与える。

この漫画はいじめられっ子がいじめっ子に復讐する話…ではない。
いじめられっ子が関係ない人間を山ほど殺したくせにちょっと謝られただけでいじめっ子を許す話だ。
「ごめんな」の一言でいいんだって。許すんだってさ。ハァ?
じゃあ今まで散々子供とか友達とか警察とか殺したのはなんだったのよ?十三よ、お前の憎悪はそんなもんだったのか?
そんなクソくだらねぇレベルの憎悪で何人も何人も関係無い人が死んだわけか。いやぁ、いい話ですね。感動しすぎて血管が浮き出てくるよ。

俺が何より許せんのは井上三太がいじめられた、虐げられた人間の気持ちをまったく理解していないのに、それを「理解したつもりになって」主人公にしている点だ。
だいたいなんで復讐するために二重人格になる必要がある?
十三がどんなに優しくても、復讐したくなるほどいじめられたのなら性格が歪んで凶悪になるんじゃないのか?なぜあいつは心が荒まないんだ?頭の神経何本か切れてるんじゃねぇのか?
それにな、十三の仕事場の友達、ありゃなんだ。アニメーター?へぇ、いじめられっ子は全員ああいうガチガチのオタクだと思ってるのかい?下手なセーラームーンの絵書いてさ。いまどき(つってもこれ割と昔の漫画だけど)セーラームーンはないだろうよ。まぁ、オタクに関してその程度の知識しかないんだろうけどな。
ああいう描写でこの作者が間違いなくいじめられた側を馬鹿にしている、自分より下に見ているのがよくわかる。
多分、井上三太はいじめられた側じゃなく、いじめてた側なんだろうな。

ああ、長くなる。もっと言いたいことはあるが箇条書きで済まそう。
・十三がまったく関係無いアパートの隣人まで殺すのがわからん。復讐するなら殺すのはその対象一人にしろよ。
・十三の本当の顔は映画の「ダークマン」ですね。人工皮膚がある世界なんだね、すごいな。
・基本的にドラマがベタすぎ。
・メーテルと麻原似の殺し屋が無駄すぎ。すぐ死ぬし…
・絵がテキトーすぎる。真面目に残虐描写やるんだったら血しぶきくらいちゃんと書け。
まぁざっとこんなところ。
いやぁ、これほどまでに憎悪と敵意を抱いたのは久しぶりだ。読んだあとの怒りをどこにぶつけりゃいいのか迷って悶々としたよ、はっはっは。

最後に。
俺が十三なら、何十回何百回謝られようと相手をブチ殺すけどな。
「謝って済むなら警察はいらん」って言葉知ってますよね、井上先生?

ナイスレビュー: 9

[投稿:2005-05-24 22:52:48] [修正:2005-05-24 22:52:48] [このレビューのURL]

9点 リアル

井上雄彦はいい奴だ。スラムダンクで売れた名前を、車椅子バスケの知名度向上のために使うなんて…
大抵この手の障害者を扱った作品は説教っぽくなったり、変に感動ドラマっぽくなったりして一般層からは干されるのがオチなのだが、この作品はそうなるのを上手く避け、普通に読めるヒューマンドラマとして描いている。
笑いもある。感動もある。スポーツの興奮もある。魅力的なキャラクターも多い。
俺は障害者を扱った作品でここまでレベルの高いものを初めて見た。流石だ。

俺は障害者について描かれたものにはあまり客観的になれないので、極個人的な視点から9点をつけさせていただく。
それにしても、井上雄彦はいい奴だな。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2005-05-13 20:26:42] [修正:2005-05-13 20:26:42] [このレビューのURL]

9点 軍鶏

俺は基本的にヘヴィな内容のものが好きだ。漫画以外でも、映画でもなんでも…
地獄のような凄惨さを味わわせてくれるものに俺は敬意を評する。
なぜならそれは「本物」だからだ。作者が手を抜いていない本気の表現があればこそ、読み手は地獄を感じることができる。
この「軍鶏」も、数少ないそんな作品のひとつ。

この漫画を読んで不快感、嫌悪感を感じる人は多いと思う。残虐描写は直接的だし、主人公の傍若無人ぶりも半端ではない。特に女性には評判が悪いだろうな…
しかしそこを飲み下せる人には是非、この漫画を読んでもらいたい。
この作品は犯罪者が主人公だが、犯罪者を擁護しているわけではない。この作品はどうしようもない悲しみを背負った人間の、すべてを賭けた戦いを描いている。
報われない人間が、血反吐を吐きながら自らの肉を削ぎ落とすがごとく戦い続ける様を描いているのだ。

成嶋亮はその背負ってしまった業の重さ故に永遠に救われることはないだろうが、それでも彼は戦い続けるだろう。
その姿に、俺は言葉で表現できない何かを感じて、たまらなくなる。


(2006.2.28追記)
とはいえ、トーマ編に入ってからのグダグダを考えるとやはり点数を下げるのが妥当かな。できれば完結するまでは追記したくなかったけど、これだけ巻数が出てしまったのではね…
中国編だけならまだ許せたんだが、その後はちょっとな。正直言って蛇足感が否めない。ホント、残念だよ。−1、9点。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2005-05-19 17:57:30] [修正:2006-02-28 19:24:16] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

新ターちゃんのころからこの作者さんは結構凄い人なんじゃないかと思っていたが、まさかこの人の本気がこれほどとは。
この迫力、この深味。そしてギャグもちゃんと活かす漫画性。
ああ、もう何から書きゃいいんだ?何から誉めりゃいいんだ?誉めるとこが多すぎてどこから書いたらいいんだかわからねえよ!とか言いたくなるくらい凄え漫画なんで、俺なんぞではうまくまとめることすらできません。ってかさ、真面目にこれのレビュー書こうと思ったら半端じゃない長文になっちまうよ!ああ困った困った。

とにかく名エピソード揃いで、どの話も素晴らしいです。
俺がその中でも特に良いと思うのは八木編、白鳥編、アルカディア編の3つ。「S」との熱いバトルが出てくる八角大尉編もかなり良いが、まぁ選べと言われればこの3つです。
八木編は八木というキャラ自体がいいし、ガンダム0080を思い出すラストが泣ける。アルカディア編はフェイント付きの激辛なオチとそこに至るまでの展開が秀逸。
そして白鳥編。これはもう、マジで最高のエピソード。
マイカを抱いた白鳥の「お前が初めての女だ!」に俺は泣いた。
ああ、なんて童貞くせーセリフなんだ!痛いほどにわかるぞ、白鳥!何かわかる!妙な何かが!非常に恥ずかしい何かがな!

んで白鳥と狂四郎のガキのころの話もいいし、何より〆の「二人で200人斬り」はもう男なら燃えろ!と言わんばかりの激燃えシーン。少数で圧倒的多勢に向かっていく、というのはやっぱいいね!燃えるね!最高だね!!
しかもちゃんと俯瞰視点で敵の多さを見せたりとかの映画的な演出も入っていて、なんかもう嬉しくなっちゃうよ。どこまで幅が広いんだ、この人の漫画は。あーもーなんかスゲェ。

時代劇+SF+ラブストーリー+ギャグという多くの要素が混ざっていながら、どれもおろそかにしておらず、むしろ全ての面で深くまで斬り込んでいるという隙の無い漫画。
ま、「結局八角博士のタイムマシンってなんだったの?」とかいう穴もあるにはあるが…そんなのは気にならなくなるほど迫力のある内容ですからね、やっぱ傑作ですよ。大傑作ですよ。これだけ完成した長編連載が他にどれだけあるってんだ?文句無し10点!

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-01-31 11:20:57] [修正:2006-01-31 11:20:57] [このレビューのURL]

10点 谷仮面

[ネタバレあり]

うおっ、おもしれー!超おもしれー、っていうか最高!!
思春期高校生の無駄に一直線なパワーを、そのまま「とんでもない馬鹿力」として漫画にしたこのアイデアは素晴らしい!読んでてこんなに爽快で気持ちいい漫画は久しぶりだよ!

とにかく仮面高校生・谷はムカついたら殴る。殴って壁を破壊!校舎を粉砕!不良をアッパーで屋上まで吹っ飛ばす!
こんなマンガもマンガな馬鹿らしい描写を恥ずかしげもなく、むしろ思い切ってやってくれるからすごく楽しいんだよなー。なんかガキのころに特撮ヒーローが活躍するのを見て心から楽しんでいた、あの感覚を思い出したぞ!
それに脇役もちゃんとキャラ立ってるし(変な奴ばっかりだが)、なんかセリフの節々に普通じゃない変な味があって、いいねえ。

全編通して面白いが、特に後半の告白シーンが最高だった。
せっかく島さんに告白してもらったのに、「ああ、そんなわけない。これは夢だ…」と逆に落ち込む谷!
そして「あんまり夢の中の俺をナメるなよ!いいか夢の中の俺は凶悪犯だ!」と逆ギレする谷!
うあー、なんかその気持ちわかるぞ!その無軌道っぷり、最高だッ!!

いやー、ここまで読んでて楽しかった漫画は久しぶりだわ。
え、ちょっと絵が下手?知るか!気にすんな!気にしなけりゃ最高なんだよ、この漫画は!
で、点数。まぁ正直これに10点つけるのはどうかとも思うんですが…でもそれくらい楽しんだからなあ。典型的な名作しか10点つけちゃいかんってこともないだろうし。
つーわけで10点満点!最高!谷最高!

ナイスレビュー: 3

[投稿:2005-09-24 23:05:44] [修正:2005-09-24 23:05:44] [このレビューのURL]

0点 WILD LIFE

犬がタヌキに見える。つーか動物が全部出来の悪いぬいぐるみに見える。
第1話から飛ばしてますね。素人に心臓マッサージさせんなよ、しかも切開して直にだし…
力加減間違えて死んだらどうするつもりなんだ?

絵や話を見てわかるのはこの作者が最高に薄っぺらい奴だってことだな。
ペラい正義にペラい知識、ペラい絵柄とペラい演出。
本人に悪気はないんだろうが、だからといって何やっても許されるはずも無し。
怒りを通り越して呆れた。0点にしとくか。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2005-07-23 21:44:00] [修正:2005-07-23 21:44:00] [このレビューのURL]

この漫画の主人公、ラジカセでしゃべるんですよ。ラジカセと大量のカセットテープをいつも持ち歩いてんの。
ラジカセを再生して会話し、口では一切しゃべらないのよ。

ってことはさ、家で自分の声録音してんだよな。
「COOLに行こうぜ」とか家で一人でしゃべってテープに吹き込んでるんだよな。
「今度の敵はああいう奴だから、こんな風に戦って…よし、このキメ台詞を言うぞ!」とか一人でいろいろ想像してたくさんテープ作ってるのよね。
それを想像するだけで笑える。なんてかわいい奴なんだ、COOL…どこがクールなんだ。

トリッキーとはまさしくこの作者にこそふさわしい称号だと思う。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2005-06-27 18:42:04] [修正:2005-06-27 18:42:04] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

熱い、熱いぜジョー!
まさかとは思うが、古い漫画だからとかなんとか言って読んでない奴がいやしないだろうな?
これは男なら絶対に抑えておくべき魂の1作だ!男として生まれたのならば一度は絶対に読んでおくべし!

いやーもうジョーの不器用っぷりが泣けるよ…
最近の漫画の主人公はチャラチャラした奴ばっかりだが、それに比べてどうだ、このジョーの世渡り下手さ加減は!
乱暴でひねくれてて、でも心にギラギラした熱い魂を、獣の魂を持っているこのジョーの姿こそが真の男の姿じゃないのか!何かにすべてを賭けて散っていくことこそ男のロマンじゃないのか!!
ああ、感情的な言葉しか出てこない。この漫画をリアルタイムで読めた世代をうらやましく思う…

力石についてはもちろんだが、俺はそれ以上にカルロスに泣けた。
パンチドランカーになって頭がやられ、ボロボロになったカルロス、それを見る人々…
それをジョーが「やめろー!触るんじゃねぇー!!」とか言って野次馬をかきわけるシーンに俺はグッときた。
カルロスはあんなに明るかったのに。あんなに強かったのに。廃人になってこんな無様な姿をさらすことになるなんて…
力をかつて持っていたのに、その力をなくしてしまった男の哀愁があのシーンに凝縮されていたように思う。
「ワタシ、チャンピオンダッタヨ。トテモツヨカッタヨ…」くぅっ!泣けるぜ!

ナイスレビュー: 3

[投稿:2005-06-03 22:41:59] [修正:2005-06-03 22:41:59] [このレビューのURL]

7点 茄子

一応いくつかつながってる話もあるオムニバス短編連載。アニメ映画化された「アンダルシアの夏」も収録。

しかし困るな。感想は?って聞かれると、なんとも迷うしかないところが…
感動するとか人生変わったとか、そういう漫画じゃないんだ。そうじゃないんだけど、なぜだかこの漫画は心に響く。なぜだ?
セリフの節々にびっくりするくらいのリアリティを感じるからだろうか。それとも黒田硫黄の独特すぎるセンスに圧倒されているのか?
タマネギの皮を全部剥いて最後に残った部分だけを見ているような、そんな変な気分になる。不思議な漫画だ…

黒田硫黄の漫画を読むと、「こういう漫画もあるんだ、あっていいんだな」としみじみ思う。漫画好きな方は読んでみて下さい。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2005-05-07 09:36:58] [修正:2005-05-07 09:36:58] [このレビューのURL]

普通の漫画とはかなりノリが違うからか、空気感が異質。そしてその中に凄まじい何かを感じる。
俺はこの作品の中のどのキャラクターにも感情移入できなかったが、それでも読めたし読まざるを得ないものを感じた。飽きっぽい俺にとって、こんなことは本当に珍しい。

この漫画は間違いなく日本橋ヨヲコの最高傑作だろう。本人も「すべての回を最終回のつもりで書き上げた」と言っていたが、それも納得。ここまで気合のこもった漫画はそう多くない。
はっきり言って人によっては引いちゃいそうなくらいの熱さと真剣味がある漫画だが、それが読者に有無を言わせぬ凄味となって伝わってくるのが素晴らしい。
俺はこの作品を「楽しむ」ことはできなかったが、「凄い」とは思った。間違いなくこれは傑作と呼ばれていい漫画だと思う。あいまいなレビューで申し訳ないが、これが本音だ。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2005-05-07 09:06:43] [修正:2005-05-07 09:06:43] [このレビューのURL]

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