「白い犬」さんのページ

総レビュー数: 116レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年12月06日

[ネタバレあり]

単身赴任からお父さんが帰ってきたら家は不良のアジトになっていて
母はアル中長女は薬漬けで性的玩具と化し次女は自慰行為を不良に
写真にとられて、としょっぱなから救いがない。
で、お父さんが命を張って我が家の平和を取り戻す・・・という
お安い話にならないのが山本直樹。
一応不良は追い出したもののお父さんががんばって家族を再生しようと
すればするほど家族の絆というものが幻想であることがわかってきてしまうという、深いよ山本さん。
連載当時作家の柳美里が絶賛していたのが印象に残っている。
彼女も家族の絆に振り回された生き方をしていたからであろう。
家族の再生をあきらめてそれぞれ家族が好きなことやってときどき集合して旅行いったりしたりしはじめたときにお父さんは死ぬ。
最期の言葉は「ありがとう」。このためのタイトル。
山本直樹に完敗。

ナイスレビュー: 7

[投稿:2006-05-01 02:17:36] [修正:2006-05-01 02:17:36] [このレビューのURL]

正直申し上げますとこの漫画に魅力をまったく感じていません。
まさかと思いますが、これを漫画家、ジャンプ編集部をリアルに描いていると思っている方はいるのでしょうか。
だとしたら実によい読者です。
社会に出て数年、年をとったなりに人と出会い、漫画家さん、漫画家の卵さん、出版社の編集者と知り合う機会がありました。
その程度ですが、総合して「バクマン。」を読みますと「うわ、表面のきれいなところだけ抽出したフィクションだ…」という印象です。暴露・・・しているようでしていませんよ。


ではフィクションとして割り切って読むとしましょう。それでも魅力は感じません。
でもこれから夢あふれる若い子供たちには魅力あふれているんだろうな、とは思います。
思春期の根拠の無い「将来自分は有名になる」と信じて疑わない時期にはこの物語は感情移入をすっぽりできるわけですよ。
「亜城木夢斗は苦難の末アンケート一位や売り上げ一位といった「てっぺん」をとる」ことに。
夢に向かってまっしぐら、すごくいいことです。
しかし、この漫画に潜む「売り上げこそすべて」「結果出したもん勝ち」「一番を目指す」、それ以外は負けという描き方、どうなのよ?と思うわけです。(それ以前に大場つぐみのキャラは基本「天才」「愚者」「無害」という非常にうすっぺらい構成なんですが)
売り上げがどうのとか一番がどうのとか、実際そのとおりだろ、と反論する君。若い!そして狭い!
この世界のほとんどの人が「てっぺん」を獲れない人になるわけです。それらが負けとか劣っているとか才能が無いかというとそういうものでもない。(非常に微妙な言い回しですが)
売り上げこそが、一番こそが勝ち。そのガチガチの価値観で「負け」てしまった人たちにはこの漫画はあまりにも冷たいなあと思うんです。

逆に「負け」てしまった人たちだから、「勝者」の物語にフィクションとして感情移入できるのだろうか?


メディアミックスなどで御殿築いた漫画家も数年後は過去の人なんてよくあるわけで(ジャンプ作品もそういうの多いですよ)、「バクマン。」はてっぺんとった後の漫画家としての下り坂の人生をちゃんと描くのかなあ。描いたらもうちょっと点をプラスします。
描かないだろうな・・・それこそジャンプだから。



それにしても最近のジャンプって「友情・努力・勝利・才能(もしくはDNA)」で、夢があるようでない気がする。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2010-08-03 18:17:15] [修正:2010-08-04 11:00:04] [このレビューのURL]

現実感、浮遊感、夢、乖離、服従、嘘、真実、邂逅、離別、日常、
空虚、破壊、終末、そしてエロス。
これらフラグメンツ(断片)によってこの漫画はできていると思った。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2006-05-01 21:30:42] [修正:2006-05-01 21:30:42] [このレビューのURL]

誰もレビューを書いてないのでがんばって
私がレビュートップバッターを勤めさせていただきます。

えーとストーリーはお互いセックス、あ、いまはエッチって
いうんでしたね、エッチ未経験のまま見合い結婚したカップルが
がんばってステップアップしていくというもの。
他のエッチ系漫画と一線を駕しているのがただのサービスシーンだけではなくところどころに
テクニックや性の知識がもりこまれていることでしょうか。
最初のうちは真さんと優良さんがんばってるな〜、と読んでいましたが
十巻二十巻三十巻となっていくうちにうう〜っぷ、もう裸は勘弁してください、と胸やけがしました。
エロは味覚でいったら甘味に相当するもので
とっつきやすく万人に好まれますがただ甘いだけでは飽きますよ。
まあ、世の中には重度の甘党の方がいらっしゃいますが。

もう三十路ですしかなりふてぶてしくなりましたがふたりエッチを
読んでいるところは誰にも見られたくありません。
まあ、ふたりエッチに限った話ではありませんが。

それにしても女性レビュワーの皆さん、優良さんが理想の女性だ
とかいう男ってどう思う?

追記
何でみんなレビューしないんだろう、と思って思い切って投稿したら
堰を切ったように続々と投稿が!!
やっぱ皆さんいろいろといいたいことがあったんですね。
ふたりエッチの売れてる理由?
ひとりエッチのために決まってるじゃないですか!!

ナイスレビュー: 5

[投稿:2006-02-11 20:26:11] [修正:2006-02-11 20:26:11] [このレビューのURL]

西原理恵子は青木雄二の描く男女の営みを
「クワガタがまぐわっとる」と表現した。
私はこのバキ特別編SAGAをこう表現したい
「両生類が共食いしてるッッ!!」

ナイスレビュー: 4

[投稿:2005-12-06 21:09:04] [修正:2005-12-06 21:09:04] [このレビューのURL]

6点 モテキ

各所で話題になっています。
私も連載中楽しみでした。しかし、その終わりかたに肩透かしをくらった。
あれ?こんなんで終了?みたいな。

そんな漫画が、なんでブログやら著名人の間で読み語られるかというと、出てくるキャラがいままでの漫画の型にはまっていない、自分や知り合いに思い当たる要素があるからでしょう。

美人で男に困っていないような土井亜紀も、美人ゆえに男性が勝手に『美人フィルター』をかけて近寄ってきては勝手に幻滅されて去っていくという苦い経験をかさねている。
逆に自分の女らしさに自信がなく、男が恋愛対象としてよってこないいつかちゃん。実は彼女は彼女で趣味の合う男友達にそれなりにモテている。(本人は気づいてないけど)
恋愛強者の友人島田すらも、もてない高校時代の反動で遊びまくるが、女に流される自分に嫌悪して苦しむ。

そして主人公フジは「自分は他人と比べ、すべてにおいて負けている」。その劣等感で苦しんでいる。
しかし、先に書いたように、周囲の勝っていると思われる人々も、実は必ず負けを背負っているのだ。
それに気がつかず「お前らは勝ち組だろ、いいよな」と不貞腐れるフジ。(不貞腐れるのって実は周囲をけっこう傷つけてるんですけど…)
その中で最強にして最凶のモンスターが小宮山夏樹だ。
フジは彼女を理解できない。あたりまえだ。
彼女は勝ち負けすらどーでもいいのだ。


やがてフジは小宮山夏樹を通して他者と比べて負けていたではなく、自分の作り出した自分に負けていたと気がつく。
そして他者は冷たく暖かく自分と関わっていてくれたことを悟り、「今の俺に」たどりつく。
モテキ(完)


勝利を勝ち取る物語ではなく始めの一歩の物語。それがこのモテキだった。
後にネットの対談で作者が「これは仕事で言うならニートが会社に行って僕を雇ってください、というまでの話でサラリーマン金太郎みたいになる話じゃない」といっていたので納得しました。(そのことをネットの対談ではなく作品で明確に描いてほしかったが)

物語にはカタルシスがあってすっきりと終わると読了感がいいものだから、作品としてはこの点数が妥当ではないかと。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-08-04 11:44:56] [修正:2010-08-04 11:44:56] [このレビューのURL]

荒木飛呂彦はもうジョジョしか描けないと思う。いい意味で。
一応ジョジョの奇妙な冒険part7となっているがやはりパラレルワールド、一巡後の世界と設定されていて今までの血統ゆえに守るものがあり戦う敵がある1〜6部までのシリーズとは異なると思う。(そう考えると五部は七部に近いのかな?)
個人がレース内においてそれぞれの理由で戦っている。それは敵も同じ。それが今までのシリーズとは決定的に異なる部分だ。
主人公二人も敵もが自分の矛盾や過去に背負った十字架や因果を払拭するためにレースで優勝を狙い聖人の遺体を収集しスタンド(と鉄球)で戦っている。一回きりの敵キャラにもドラマがある。
連載20年もしていれば描き手側の精神もそれなりに成熟してくるもので、なかには永遠に同じパターンで描き続ける漫画家もいるが(あだち充とかね)荒木飛呂彦は間違いなく少年誌的な敵=悪という勧善懲悪から脱して主人公の戦う理由、敵の戦う理由を人間ドラマの部分を描きたかったのだと思う。そうなると週刊ペースの少年誌ではページ数的にも表現的にも無理が出てきてしまい結果月刊の青年誌のウルトラジャンプに移行してよかったのではないかと思う。
それにしても20年も描き続けると好き嫌いは別にして絵柄が変化するのだが中には明らかに絵が「劣化」する漫画家が多い中荒木飛呂彦の絵は「進化」している。
物語の評価は最終回までわからないので今のところ10点はつけない。9点にしておく。SBRのラストによって点は変化する可能性大。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2008-01-20 00:45:18] [修正:2008-01-20 00:45:18] [このレビューのURL]

10点 ぼくんち

[ネタバレあり]

日本は比較的格差の少ない国とはいわれてるけれどれっきとした格差は存在するわけで、「ぼくんち」に出てくる世界はその最下層にいる人物たちだろう。その町で盗んだり盗まれたりだましたりだまされたりぼこぼこにしたりぼこぼこにされたり体売ったりシャブ打ったり…そんな底辺でも、底辺だからこそ見つけられる愛があるのだ。
私も愛なんて使い方によっては陳腐でうそ臭い言葉はできる限り使いたくないが「ぼくんち」に根底にあるものは間違いなく愛なのだ。
それとこの漫画は西原理恵子が意識しているかどうかわからないがフェミニズム的な見方からすると相当核心をつく言葉があったりする。妊娠したこういちくんのお姉ちゃんにこういちくんのママが「生んでも生まなくてもママはどっちでも味方。」とか猫のように子供を生んで捨てまくるばあさんが「世界中の女が子供を産めるけど世界中の女が母親ができるかというとそうでもない」とか、町で一番のワルなのにこういちくんがシャブ用注射器を女と子供に売らない理由を「子供はいいとして女にはなぜ?」と一太がたずねると「女はやらせてくれるし僕らを生んでくれるから」という一見馬鹿っぽいがものすごい含蓄ある言葉が出てきたりする。一話2ページなのにそれをテーマに30ページは描けそうな内容が詰まっている。そして私はラブコメに出てくるやたら理想化された天使のような女が大嫌いなのだが「ぼくんち」の一太二太のお姉ちゃん、かのこは菩薩のような女だなあ、とあれほど嫌悪していた女の神格化なのにあっさり受け入れられた。
とにかく、この漫画を一言でまとめるとゴミ溜めのような町でゴミのような生活をしている人々の日常の話を笑いながら泣きながら愛をみつけることができる、そんな漫画です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-02-12 19:21:30] [修正:2007-01-11 22:59:44] [このレビューのURL]

8点 青い花

中高時代、同性にに対して抱いた恋心を
カウンセラーとかいったひとが
「それは思春期における一過性のものです」と
一言で片付ける。それはつまり大人になったら
異性愛者になりますよ、という意味付けなのだが
そうなのだろうか?そうだとしても
私はふみちゃんの咲かせた青い花をそういう一言で
引っこ抜くようなまねはしたくない。

ただそこにある恋心をそっと見守りたい、
そういう気分になります、この漫画。


ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-03-15 17:49:14] [修正:2006-03-15 17:49:14] [このレビューのURL]

エロ漫画も読む方なら大暮維人が彗星のごとく現れたとき
「あ、このひとは絶対に一般漫画にスカウトされるな」と
予感したはずだ。
それくらい漫画の絵、勢い、センスがずばぬけていた。
実際そのとおりになった。
が、一般漫画のなかでは漫画の絵、勢い、センスのみが売りの
漫画家になってしまった。つまりストーリーの才能がないのだ。
(それでも一般漫画で描いているのはすごいことだが)
エロ漫画家出身は悪いことでもなんでもない。
有名どころでは山本直樹がエロ漫画出身だ。
私が言いたいのはエロをどう表現するかだ。
山本直樹はエロを独自の世界にまで昇華させたが
大暮維人のエロは乱雑なエロなのだ。
なんだか漫画においてのエロ表現論になりそうなので天上天下の評価に
戻る。
格闘漫画はストーリーよりも格闘シーンの勢い、キャラの魅力が
見所である。天上天下はこの二つをちゃんと押さえている。
そして絵のきれいさ(&エロ)ですべてのアラをカバー
しちゃっているのだ。このアラを「大暮維人の画力すげえ!」
「大暮維人の描く女体サイコー!!」となって目に入らなければ
オッケーなのだが「エロでごまかすんじゃねーよ!!」
「ストーリーが全然ダメダメじゃないか!!」と目くらましを
くらわなかった人には天上天下はひどい漫画なのであろう。

で、この4点は画力、センスの評価です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-02-11 18:55:17] [修正:2006-02-11 18:55:17] [このレビューのURL]

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