「白い犬」さんのページ

総レビュー数: 116レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年12月06日

[ネタバレあり]

藤子・F・不二雄といえばドラえもんとかの方が有名だが
私は藤子Fの描くSF(少しフシギ)ワールドの方が好きだ。
特に「流血鬼」は衝撃だった。
世界中が吸血鬼のウィルスによって感染し、「人間」の方が
少数派になった世界での少年の戦い、その結末は心に
響いた。読み終わった数日間は心がもやもやした。
今思うと何がすごいって、普通の漫画家が連載してコミックス10巻は最低出す設定、世界観を読み切りの一話でやっちゃっていることだ。
他にも数々の濃い作品があって、その内容はハッピーエンドもあればシニカルなオチもあり、藤子Fのもうひとつのひきだしに圧倒される。
漫画家志望の人は短いページで話をまとめる参考になるんじゃないだろうか。
珠玉の短編集です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-03-12 02:26:50] [修正:2008-03-12 02:26:50] [このレビューのURL]

10点 ぼくんち

[ネタバレあり]

日本は比較的格差の少ない国とはいわれてるけれどれっきとした格差は存在するわけで、「ぼくんち」に出てくる世界はその最下層にいる人物たちだろう。その町で盗んだり盗まれたりだましたりだまされたりぼこぼこにしたりぼこぼこにされたり体売ったりシャブ打ったり…そんな底辺でも、底辺だからこそ見つけられる愛があるのだ。
私も愛なんて使い方によっては陳腐でうそ臭い言葉はできる限り使いたくないが「ぼくんち」に根底にあるものは間違いなく愛なのだ。
それとこの漫画は西原理恵子が意識しているかどうかわからないがフェミニズム的な見方からすると相当核心をつく言葉があったりする。妊娠したこういちくんのお姉ちゃんにこういちくんのママが「生んでも生まなくてもママはどっちでも味方。」とか猫のように子供を生んで捨てまくるばあさんが「世界中の女が子供を産めるけど世界中の女が母親ができるかというとそうでもない」とか、町で一番のワルなのにこういちくんがシャブ用注射器を女と子供に売らない理由を「子供はいいとして女にはなぜ?」と一太がたずねると「女はやらせてくれるし僕らを生んでくれるから」という一見馬鹿っぽいがものすごい含蓄ある言葉が出てきたりする。一話2ページなのにそれをテーマに30ページは描けそうな内容が詰まっている。そして私はラブコメに出てくるやたら理想化された天使のような女が大嫌いなのだが「ぼくんち」の一太二太のお姉ちゃん、かのこは菩薩のような女だなあ、とあれほど嫌悪していた女の神格化なのにあっさり受け入れられた。
とにかく、この漫画を一言でまとめるとゴミ溜めのような町でゴミのような生活をしている人々の日常の話を笑いながら泣きながら愛をみつけることができる、そんな漫画です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2006-02-12 19:21:30] [修正:2007-01-11 22:59:44] [このレビューのURL]

10点 寄生獣



ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-02-22 19:21:15] [修正:2006-02-22 19:21:15] [このレビューのURL]

エロス、バイオレンス=エンターテイメントといわんばかりに
現代の漫画界なりつつある。
しかしこの作品を読めばそれがエンターテイメントの
すべてではないことがわかる。

のっているどの話もはずれなし。
そして読み終わったとおなかが減ります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-12-28 14:32:53] [修正:2005-12-28 14:32:53] [このレビューのURL]

この作品は完結するまでレビューを書かないつもりでした。先ほど連載誌で完結したのでレビューします。
等価交換という錬金術の仕組みはシンプルであるようで画期的なものであると思っています。
ジョジョのスタンド並みの発明といっていい。
私は漫画で魔法が出てくるものが苦手でした。印を結んだり呪文を叫ぶだけで火柱が立ったり凍結したりするのが納得できなかった。
漫画だから、といえばそれまでですが虚構の世界だから求められるリアリティというものがある。
現在の少年漫画に出てくる能力モノはどうもご都合主義で、私には読めないものが多かった。(ただのババアになって感性がにぶくなっちゃっただけだろ、とツッコれたら言い返せないけどね)
錬金術は等価交換、つまりその場に材料があってそれを錬金術師が練成して物を作る、火をおこすという仕組み。これは裏を返せば材料がなければ何もできないという弱点でもある。
さらにはそういったバトルだけの要素ではなく、物語全編において等価交換の概念が主人公(とすべての登場人物)に課題を与え、悩ませ、最終回で答えを見つけ出すという構成のうまさもすばらしい。

以下ネタバレですが、主人公たちがたどり着いた、等価交換を壊すたった一つの冴えたやり方は、交換するものに、少しだけでもこちらから上乗せするというもの。
シンプルな等価交換のルールの鎖をとくのはやはりシンプルな答えだったけれど、それだけで壊れる。世界は変わる。
私は上乗せして与える人になりたい。そう思いました。

で、ここまでほめているのに9点。
あと1点は何かというと、この漫画が後世にちゃんと語り継がれるかどうか、もう若くない私には判断できないから。
メディアミックスなどで、その時代において一時バーッと売れる漫画は実はけっこうあるけれど、次の世代まで感動を受け継ぐ漫画って少ないんですよ。
つまり名作は次世代に受け継がれて完成するんです。
私は若人の君たちが、この漫画をどれくらい受け継いだか見届けた暁に1点をプラスしようかなと思っています。
・・・・って健康で事故に遭わず生きれば平均寿命まであと40年はあるんですけどね。
若人よ、三十路なんて遠いようであっという間だぞ。面白い漫画にたくさん出合えよ!  



ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-07-16 21:13:31] [修正:2010-07-16 21:13:31] [このレビューのURL]

荒木飛呂彦はもうジョジョしか描けないと思う。いい意味で。
一応ジョジョの奇妙な冒険part7となっているがやはりパラレルワールド、一巡後の世界と設定されていて今までの血統ゆえに守るものがあり戦う敵がある1〜6部までのシリーズとは異なると思う。(そう考えると五部は七部に近いのかな?)
個人がレース内においてそれぞれの理由で戦っている。それは敵も同じ。それが今までのシリーズとは決定的に異なる部分だ。
主人公二人も敵もが自分の矛盾や過去に背負った十字架や因果を払拭するためにレースで優勝を狙い聖人の遺体を収集しスタンド(と鉄球)で戦っている。一回きりの敵キャラにもドラマがある。
連載20年もしていれば描き手側の精神もそれなりに成熟してくるもので、なかには永遠に同じパターンで描き続ける漫画家もいるが(あだち充とかね)荒木飛呂彦は間違いなく少年誌的な敵=悪という勧善懲悪から脱して主人公の戦う理由、敵の戦う理由を人間ドラマの部分を描きたかったのだと思う。そうなると週刊ペースの少年誌ではページ数的にも表現的にも無理が出てきてしまい結果月刊の青年誌のウルトラジャンプに移行してよかったのではないかと思う。
それにしても20年も描き続けると好き嫌いは別にして絵柄が変化するのだが中には明らかに絵が「劣化」する漫画家が多い中荒木飛呂彦の絵は「進化」している。
物語の評価は最終回までわからないので今のところ10点はつけない。9点にしておく。SBRのラストによって点は変化する可能性大。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2008-01-20 00:45:18] [修正:2008-01-20 00:45:18] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

この作品は非常に完成度が高い。しかしマイナス点をつける人の
大半は「下品」「エロ描写が多すぎる」ということを
いっている。個人の感想なのでそう感じてしまうのはそれでいいことだ。
私が思うに、この作品が下品なのは徳弘テイストのお約束的下ネタギャグは仕方ないとして性描写の多さは「セックス」という肉体の繋がりが物語の核になっているからだと思う。(読者サービスもあるのだろうけど)
男と女が隔離されて人口制限されている近未来。セックスは政府の管理下におかれている。個人と個人の結婚、セックスは権力者のみの特権である。そんな世界でエリカは権力者により性的人権を踏みにじられ、
またプログラマーとして数々の男のむきだしの欲望を目の当たりにして
絶望の世界の中生きていた。そしてその世界からエリカを救ってくれたのは狂四郎とのセックスなのである。セックスで貶められた精神を癒せるのはセックス、という矛盾のようだがセックスの生殖目的以外の意味の二面性をSFという設定の中でよくぞうまく表現したものだと思った。いや、男女完全隔離というSFの世界だからこそ描けたのかもしれない。
物語は複雑化して政府を狂四郎&バベ+エリカが倒すことを期待した人にとってはようやく二人現実世界で出会って本部から抜け出しておしまい、という展開は納得がいかなかったと思う。(タイムマシンの伏線も
ほったらかしだし)徳弘の手腕なら狂四郎達がこのあと政府を転覆するくらいのストーリーが描けたと思う。でも徳弘はあとがきに書いているが物語はロミオとジュリエットであってあくまでもラブストーリーとしてのハッピーエンドを選んだ、とあった。たぶん徳弘本人も相当迷ったのではないかと思う。
でもはじまりがラブストーリーであったこの作品を途中作者が社会派に目覚めて風刺しだしたりするより(そういう漫画、長期連載だとたまに見かけますよね)いさぎよくラブストーリーで締めたことで私はすっきりした。めでたしめでたし、というところです。



あと下ネタのない徳弘漫画なんて牛肉抜きのスキヤキみたいなもんですよ。


それにしても、ここまで設定が完成されてると
ハリウッドあたりがしれっとぱくりそうですね。
ほら、ハリウッドって日本の漫画やアニメから
設定とかなにやらけろりとアイデア盗むじゃないですか。
なんて余計な心配してみたり。


ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-12-08 17:35:18] [修正:2007-08-07 15:24:15] [このレビューのURL]

中高生時代、いわゆる青春時代に夢中になれるものがあった人は幸せだ。それは部活などのスポーツ、恋愛はもちろん「青春を犠牲にした」とまで後に語られる受験勉強ですらそうだ。
だってそれらには結果がどうであれ目標、ゴールがあるから。スポーツなら大会優勝とか記録を出すとか恋愛なら好きな人と結ばれること、受験勉強は第一志望校への合格とか明確な未来へのビジョンがある青春。これを幸せといわずとして何といおうか。
ほとんどの人間は将来これといって目標がなく明確なビジョンがない、うだうだだらだらのらりくらりの「無駄な時間」をすごした青春時代を送っているのである。
青春時代の少年少女を主役にした漫画はほとんどがスポーツや恋愛のドラマである。
目標だゴールがあるとストーリーの基本、「起承転結」あって大波小波のメリハリがついて読者を引きずり込めるからだ。
しかし敷居の住人には誰一人目標だのゴールだのない。起承転結の起と承を延々と繰り返し転?結?な締めくくりである。しかしこれこそが
「無駄な時間」をすごした青春そのものなのである。
事件も何にもないのにその「無駄な時間」をすごした青春を漫画にして読者を引きずり込む志村貴子の力量はすごい。「日常の空気」をそのまま原稿用紙に描ける稀有な作家だと思う。
「なんにも事件らしい事件はおきないじゃないか」と読んでいてイラつく人がいるかもしれない。そういう人はきっと目標がある青春時代を送った人か、目標がある青春時代にあこがれていた人だと思う。(もしくはそういった青春期真っ最中)
この漫画を読んで面白いと感じた人は「無駄な時間」をすごし、そのなかでイラついたり自己嫌悪したり悪態ついて八つ当たりしたり敷居キャラのうだうだな日常に共感できるところがたくさんあったに違いない。

ついでに私は見事なまでに「無駄な時間」をすごした青春時代派なので敷居の住人の世界が心地よくて仕方がない。それは決して青春時代へのノスタルジーからではなく青春時代から今でも延々と続くうだうだだらだらのらりくらりの日常を敷居の住人から感じ取れるからだ。
ゴールなき日常、事件のない生活、ほとんどの人間の人生なんてそんなもんですよ。



ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-12-10 18:44:37] [修正:2007-08-04 20:01:12] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

それまでスポーツ漫画で卓球というジャンルは未開拓でした。
(稲中みたいなギャグはあったけど)
卓球のあの一瞬一瞬をドラマとして描ける漫画家がいなかった
というのが本当のところでしょう。

個人的にピンポンの醍醐味はそれぞれのキャラ(ペコ、スマイル
アクマ、ドラゴン)の敗北の部分ではないかと。
勝つことは無条件に「強者」の称号を得られ「カッコイイ」
とされるけどピンポンは負けていく姿さえかっこいいのである。
やっぱ松本大洋は天才ですね。


映画の「ピンポン」もよかった。
本当に「ピンポン」を好きな人たちが集まって作った
というのがひしひしと感じられた。
でも窪塚くんのマンション9階からの「アイキャンフラーイ!!」
はびっくりしました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-03-20 17:50:19] [修正:2006-03-20 17:50:19] [このレビューのURL]

ストーリー、設定、台詞、キャラクターデザイン、センス
誰にもまねできない域に達しています。
スタンドは漫画の表現上において最高のアイデアといっても
過言ではありません。
多分日本で一番他の漫画家にパロディにされてる漫画でしょう。
もう皆さんのレビューで言いたいことは言い尽くされているので
これ以上書くことがありません。

どうでもいいことですけどジョースター家って
ひとりっこばっかりですね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2006-02-18 20:12:18] [修正:2006-02-18 20:12:18] [このレビューのURL]

<<前の10件
123456789