「白い犬」さんのページ

総レビュー数: 116レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年12月06日

毎回スタンド能力の設定はそのままで新しい物語を描いているようですが、実はさまざまな因果でつながっており、パラレルのようでパラレルではない「一巡後の世界」。
SBRのレビューにも書きましたが荒木飛呂彦はもうJOJOしか描けないのです。

このジョジョリオンですが、一巡後の杜王町が舞台。
ジョジョで唯一旅をしない4部で出てきたあの町です。
旅をすると必然と目的地がゴールとなり、すごろく的な高揚感がうまれます。RPGもそれです。
しかしジョジョ4部は町という、どこへもいけないどこへも逃げられない閉塞感の中での高揚を描いた傑作です。
一巡後の同じ町で、荒木飛呂彦はあの時(4部)の高揚を越えるものが描けるでしょうか。

ジョジョの奇妙な冒険は、物語にどこかエロティックなにおいがあるのですが、エロそのものは描かれることはありませんでした。(おふざけなすけべ心くらいはありましたが)
それがジョジョリオンではあからさまに性欲が描かれている。
もちろんそれは萌えとかサービスショットといったものとは無縁で、欲望の狭間で見え隠れする人の邪悪さが含まれる荒木テイスト満載。だって究極生物は「SEX 必要なし」ですから。


物語は序盤で前の部とのつながりとか(まあ後付けっぽいですけど)まだベールに包まれた部分が多いのでこの点数。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-04-25 21:59:12] [修正:2012-04-25 21:59:12] [このレビューのURL]

久しぶりのレビューです。
しかも進撃の巨人。メディアに流されて読みましたよ。
現在連載中ですが今の時点では5点。
なぜこの点数かというと今のところ突出したものがこの漫画からほとんど感じられなかった。

ファンタジーをやるにはちょっと絵が下手すぎやしないかと。突き抜けて絵が下手だったり、下手なりに個性があるとそれなりに愛されたりするんですが微妙な下手さなんですよ。
背景の町並みも積み木みたいだし着ている服も何の布か質感がないし、パン一つにしたって粘土細工みたいな印象。
人物と巨人(と戦闘シーン)以外は「思い入れのない絵」なんです。
漫画を読んでいて絵から作者の思い入れが伝わることってありません?この漫画家はバイクが好きなんだなあ、とか洋服のレースに命かけてるなあ(←主に少女漫画家)とか。
この作者、家の外壁が何の素材かとか、服の素材は何かとか興味がないんだと思います。
あと食べることにも。
だから巨人が怖く描ける。興味ないのに人をバクバク食べるから。


最近改心してあんまりけなすレビュー書きたくないので良いところをしっかりあげておきます。
巨人の一部のデザインが素敵。世界観が悪くない。
進撃の「巨人」だけあって巨人の設定ですべてひっぱっている。
それがこの作品のよい所のすべてだと思います。


ところで「このマンガがすごい」だっけ?その投票で1位だったらしいんですけど、この本の1位って歴代みてみると絵もストーリーもそれほど突出してうまいわけではない漫画が選ばれていたりしますよね。(DMCとか)
それらの共通点ってなにかというと「勢い」なんですよ。
ツカミはOK!ってやつで展開が速く二転三転する勢いがある作品。破綻してようがなんだろうが目がはなせないという。
漫画は娯楽で娯楽は刺激物なんだなあ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-01-25 16:03:31] [修正:2012-01-25 16:03:31] [このレビューのURL]

6点 モテキ

各所で話題になっています。
私も連載中楽しみでした。しかし、その終わりかたに肩透かしをくらった。
あれ?こんなんで終了?みたいな。

そんな漫画が、なんでブログやら著名人の間で読み語られるかというと、出てくるキャラがいままでの漫画の型にはまっていない、自分や知り合いに思い当たる要素があるからでしょう。

美人で男に困っていないような土井亜紀も、美人ゆえに男性が勝手に『美人フィルター』をかけて近寄ってきては勝手に幻滅されて去っていくという苦い経験をかさねている。
逆に自分の女らしさに自信がなく、男が恋愛対象としてよってこないいつかちゃん。実は彼女は彼女で趣味の合う男友達にそれなりにモテている。(本人は気づいてないけど)
恋愛強者の友人島田すらも、もてない高校時代の反動で遊びまくるが、女に流される自分に嫌悪して苦しむ。

そして主人公フジは「自分は他人と比べ、すべてにおいて負けている」。その劣等感で苦しんでいる。
しかし、先に書いたように、周囲の勝っていると思われる人々も、実は必ず負けを背負っているのだ。
それに気がつかず「お前らは勝ち組だろ、いいよな」と不貞腐れるフジ。(不貞腐れるのって実は周囲をけっこう傷つけてるんですけど…)
その中で最強にして最凶のモンスターが小宮山夏樹だ。
フジは彼女を理解できない。あたりまえだ。
彼女は勝ち負けすらどーでもいいのだ。


やがてフジは小宮山夏樹を通して他者と比べて負けていたではなく、自分の作り出した自分に負けていたと気がつく。
そして他者は冷たく暖かく自分と関わっていてくれたことを悟り、「今の俺に」たどりつく。
モテキ(完)


勝利を勝ち取る物語ではなく始めの一歩の物語。それがこのモテキだった。
後にネットの対談で作者が「これは仕事で言うならニートが会社に行って僕を雇ってください、というまでの話でサラリーマン金太郎みたいになる話じゃない」といっていたので納得しました。(そのことをネットの対談ではなく作品で明確に描いてほしかったが)

物語にはカタルシスがあってすっきりと終わると読了感がいいものだから、作品としてはこの点数が妥当ではないかと。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-08-04 11:44:56] [修正:2010-08-04 11:44:56] [このレビューのURL]

正直申し上げますとこの漫画に魅力をまったく感じていません。
まさかと思いますが、これを漫画家、ジャンプ編集部をリアルに描いていると思っている方はいるのでしょうか。
だとしたら実によい読者です。
社会に出て数年、年をとったなりに人と出会い、漫画家さん、漫画家の卵さん、出版社の編集者と知り合う機会がありました。
その程度ですが、総合して「バクマン。」を読みますと「うわ、表面のきれいなところだけ抽出したフィクションだ…」という印象です。暴露・・・しているようでしていませんよ。


ではフィクションとして割り切って読むとしましょう。それでも魅力は感じません。
でもこれから夢あふれる若い子供たちには魅力あふれているんだろうな、とは思います。
思春期の根拠の無い「将来自分は有名になる」と信じて疑わない時期にはこの物語は感情移入をすっぽりできるわけですよ。
「亜城木夢斗は苦難の末アンケート一位や売り上げ一位といった「てっぺん」をとる」ことに。
夢に向かってまっしぐら、すごくいいことです。
しかし、この漫画に潜む「売り上げこそすべて」「結果出したもん勝ち」「一番を目指す」、それ以外は負けという描き方、どうなのよ?と思うわけです。(それ以前に大場つぐみのキャラは基本「天才」「愚者」「無害」という非常にうすっぺらい構成なんですが)
売り上げがどうのとか一番がどうのとか、実際そのとおりだろ、と反論する君。若い!そして狭い!
この世界のほとんどの人が「てっぺん」を獲れない人になるわけです。それらが負けとか劣っているとか才能が無いかというとそういうものでもない。(非常に微妙な言い回しですが)
売り上げこそが、一番こそが勝ち。そのガチガチの価値観で「負け」てしまった人たちにはこの漫画はあまりにも冷たいなあと思うんです。

逆に「負け」てしまった人たちだから、「勝者」の物語にフィクションとして感情移入できるのだろうか?


メディアミックスなどで御殿築いた漫画家も数年後は過去の人なんてよくあるわけで(ジャンプ作品もそういうの多いですよ)、「バクマン。」はてっぺんとった後の漫画家としての下り坂の人生をちゃんと描くのかなあ。描いたらもうちょっと点をプラスします。
描かないだろうな・・・それこそジャンプだから。



それにしても最近のジャンプって「友情・努力・勝利・才能(もしくはDNA)」で、夢があるようでない気がする。

ナイスレビュー: 6

[投稿:2010-08-03 18:17:15] [修正:2010-08-04 11:00:04] [このレビューのURL]

この作品は完結するまでレビューを書かないつもりでした。先ほど連載誌で完結したのでレビューします。
等価交換という錬金術の仕組みはシンプルであるようで画期的なものであると思っています。
ジョジョのスタンド並みの発明といっていい。
私は漫画で魔法が出てくるものが苦手でした。印を結んだり呪文を叫ぶだけで火柱が立ったり凍結したりするのが納得できなかった。
漫画だから、といえばそれまでですが虚構の世界だから求められるリアリティというものがある。
現在の少年漫画に出てくる能力モノはどうもご都合主義で、私には読めないものが多かった。(ただのババアになって感性がにぶくなっちゃっただけだろ、とツッコれたら言い返せないけどね)
錬金術は等価交換、つまりその場に材料があってそれを錬金術師が練成して物を作る、火をおこすという仕組み。これは裏を返せば材料がなければ何もできないという弱点でもある。
さらにはそういったバトルだけの要素ではなく、物語全編において等価交換の概念が主人公(とすべての登場人物)に課題を与え、悩ませ、最終回で答えを見つけ出すという構成のうまさもすばらしい。

以下ネタバレですが、主人公たちがたどり着いた、等価交換を壊すたった一つの冴えたやり方は、交換するものに、少しだけでもこちらから上乗せするというもの。
シンプルな等価交換のルールの鎖をとくのはやはりシンプルな答えだったけれど、それだけで壊れる。世界は変わる。
私は上乗せして与える人になりたい。そう思いました。

で、ここまでほめているのに9点。
あと1点は何かというと、この漫画が後世にちゃんと語り継がれるかどうか、もう若くない私には判断できないから。
メディアミックスなどで、その時代において一時バーッと売れる漫画は実はけっこうあるけれど、次の世代まで感動を受け継ぐ漫画って少ないんですよ。
つまり名作は次世代に受け継がれて完成するんです。
私は若人の君たちが、この漫画をどれくらい受け継いだか見届けた暁に1点をプラスしようかなと思っています。
・・・・って健康で事故に遭わず生きれば平均寿命まであと40年はあるんですけどね。
若人よ、三十路なんて遠いようであっという間だぞ。面白い漫画にたくさん出合えよ!  



ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-07-16 21:13:31] [修正:2010-07-16 21:13:31] [このレビューのURL]

河下水希は少女漫画出身だそうですね。
そこからのジャンプに移籍というめずらしいタイプです。
前作いちご100%は少年漫画で一旗揚げてやる!という気合があってか、随所に少年漫画的お色気を練りこんでありました。(りりむキッスの打ち切りであとがなかったのかもしれません。)
私の想像ですが少年漫画のヒロインを描いて、本人が「こんな女いねーよ」と思ってたのでは。(注・河下水希は女性です)
それで、初恋限定。の連載になり、メインキャラは少女たち。
多分河下が一番描きたかったのは思春期の少女特有のコンプレックスや自意識やバカっぽさ、とエッチさ。
(いちごにくらべて)少女キャラを楽しんでえがいているな、と感じました。
しかし、打ち切り。
ちょっと少女漫画的になりすぎてしまったんでしょうね。
少年ジャンプじゃ場違いでした。

打ち切りですが私はこの長さでよかったと思います。




ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-08 16:07:39] [修正:2010-02-08 16:07:39] [このレビューのURL]

ホーリーランドというのは大人でも子供でもないユウの聖地(ホーリーランド)なわけなんですけど、これは同時に男の子(男にあらず)の聖地ですよね。
「強い」「弱い」のみですべての人間関係の上下が決まる世界なわけで。
これが大人になると人間関係の上下は金を持っているだの、社会的地位だのに複雑変わるわけで、ホーリーランドは良くも悪くも混じりっけのない純粋な力の世界。
力の世界ってやつは強力な魅力があると思う。
黄金期のジャンプがパワーインフレだと非難されてもあれだけ少年たちの心を揺さぶったのは力のみがものをいうホーリーランドだったからです。
やがてユウたちはホーリーランドを出なくてはいけない時が来るでしょう。

格闘についてマニアからいろいろ指摘されていますが、私はそれよりもやたら出てくる「作者の実体験からすると・・・」のほうが気になりました。
代弁してくれるキャラクターに語らせるとか他にも演出の方法があるんじゃないでしょうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-06-10 01:51:45] [修正:2008-06-10 01:51:45] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

藤子・F・不二雄といえばドラえもんとかの方が有名だが
私は藤子Fの描くSF(少しフシギ)ワールドの方が好きだ。
特に「流血鬼」は衝撃だった。
世界中が吸血鬼のウィルスによって感染し、「人間」の方が
少数派になった世界での少年の戦い、その結末は心に
響いた。読み終わった数日間は心がもやもやした。
今思うと何がすごいって、普通の漫画家が連載してコミックス10巻は最低出す設定、世界観を読み切りの一話でやっちゃっていることだ。
他にも数々の濃い作品があって、その内容はハッピーエンドもあればシニカルなオチもあり、藤子Fのもうひとつのひきだしに圧倒される。
漫画家志望の人は短いページで話をまとめる参考になるんじゃないだろうか。
珠玉の短編集です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-03-12 02:26:50] [修正:2008-03-12 02:26:50] [このレビューのURL]

私小説ならぬ私漫画。おそろしいほどネガティヴ(笑)
自分の中でネガティヴ漫画家一位は久米田康治だったんですが福満しげゆきに入れ替わりました。
現在作者は漫画家として成功していますけど、この漫画では漫画家目指して三歩進んでで五歩下がるような日々。
このネガティヴさ、ほとんどの人がなにかしら自分とダブり、「・・・・わかるよ、その気持ち。」となってしまう部分がある。
躁病に近いポジティヴ主人公見てるとこっちがへこんでくることがあるのでこの後ろ向きな主人公の方は見ていて心休まるというか。
私は好きですね、このダメさ加減。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-03-04 00:10:41] [修正:2008-03-04 00:10:41] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

相原コージは絵の泥臭さが我慢できれば
ギャグにしろストーリーにしろ安定して描ける漫画家だと思います。
人が一度は想像するけど誰も漫画にしたことのない
「最強で王物は何か?」なわけですけど、
実際戦わせると動物が最強を決めあう時点ですでにギャグ
なんですよね。ベタすぎて誰もが漫画化しなかったわけでだ。

いや、相原漫画のあの作品のあの動物がまさかの参戦には
涙腺にきました。まさかあいつが○○だったなんて・・・

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-03-02 11:37:05] [修正:2008-03-02 11:37:05] [このレビューのURL]

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