「あおはな」さんのページ

総レビュー数: 150レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年11月03日

8点 BECK

音楽漫画では個人的には最も完成度が高い作品だと思います。

映画化されたけれど、コレはのだめと異なりまさに漫画でこそ面白い作品です。

なんでかというと本作品は「音が分からない」「コユキの声が分からない」ところがほんとはポイント。

のだめの場合はクラシックですでに「音源がある」から映像化しても崩壊しない(どころか映像化したほうが良いタイプ)なのに対してBECKは「音源が無い」ので「この音、あるいはコユキの声どんだけすごいんだよ」ということを「個人の想像力で補う」タイプなわけで、本当は映像化に最も適さないまさに漫画が漫画である所以を体言したような漫画。

漫画で読まなければ意味が全く無いんです、ホントはね。この手の漫画に偏見がある人(実は私)もぜひ。意外と漫画の深さを知ることができます。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-03 20:35:15] [修正:2011-02-02 19:39:21] [このレビューのURL]

面白いか否か以上に本作品は「現代的」な漫画だなと思います。
そういった意味で高めの点数。

何が?
まずこの作品あえて監督のタッツミーが主役なんですが、実際少年誌なら間違いなくバッキー(椿)が主役で運んでいっても良いところをあえて辰巳にしているところ。
この傾向はキングダムやセンゴクなど最近の青年誌系によく見られる主流になりつつある傾向という意味で現代的。(この三作品傾向が良く似ている)。

次に各キャラにかなりストーリごとに焦点をあてる「誰が主役やねん」傾向も現代的(この手の作品本当に多い)。
とはいってもこの傾向の中では辰巳と椿の主役裏主役のラインが決して喰われることがないという意味では本作は完成度が高く洗練されていると思います。

おそらくセンゴクやキングダムと異なり「監督が主役」というところに視点が過剰に釣られがちで多くのものを見落としやすいので人によって評価がまちまちになるのは仕方ないなと感じます。
でも新しい。新しいと感じないレベルで新しいところが。

多分この漫画の評価が定まるのはだからもっともっと後なんだろうなあ。途中で辰巳の回想シーンで丸々1巻消費した時だけはやや危ないかなとおもったけど。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-04 20:44:23] [修正:2011-02-02 19:32:22] [このレビューのURL]

どうも結構この作品も難解なのでしょうか?
松本次郎先生の作品の中ではかなり理解しやすい部類には入るはずなんですが、やはり単なる「小ネタ」を織り交ぜた雰囲気漫画と捉えられる傾向があるような・・・

とはいってもこの作品は「シマウマ」の話を前面に出している段階でかなり先生の作品では分かりやすい部類です。

シマウマ=擬態。叶くんをシマウマと表現する溝口の会話。
意思の効力(功罪か?)そしてラストシーンへ繋がるあの流れ。
よく読むとちゃんと繋がっているんですが、なんか難しい。

このアタリが楽しめるかどうか?コレ次第では本作はDQNの愉快な殺し合いとウッシー小山とミータの小ネタ劇場で終わるかもしれませんが。

意思がない=感情の振幅がない=目立ちにくい=擬態しやすい。そして意思を持つことは擬態が・・しにくい。敵討ち戦で様々な人間に疑問を持つ叶が最後は・・・そして・・普通と思っている事柄が異常で異常と認識されていることが意外とそうではないのかも?という循環。この漫画の妙味なのかでしょうか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-04 20:27:45] [修正:2011-02-02 19:30:30] [このレビューのURL]

この作品は「2度」読むことを半ば「強要」しているという意味で「深くて傲慢な漫画」だと思います。

この漫画の主人公は子供全員と言えばいえなくもありませんが、実は明確に「中核」になる子がいます。
そしてその中核の子が誰かを認識した上でないと途中で戦っていく子供たちのうち少なくとも10人を通して語られる主張哲学が明確にならないという意味で2回読まないと理解できないつくりになっている(この点はすごいと思う反面立腹)。

タイトルが「ぼくらの」。「ぼく」とは誰かということです。

これ11巻の圧巻の表現技法からなる最後のあの子のラストシーンでさりげなくもはっきりとカミングアウトされています。
1巻の衝撃のラストに加担するのが何故かれでなければならなかったのかという時点で本作を描いている段階であの子をラストにしようなどというやっつけ仕事でもないのは明らかで、本作はなるたるに比べて非常に完成度が高く洗練されています。
いや洗練されすぎていてそっけなく味気なく感じるほどに。

細かいところに気がつかないと「またガキが死んでいくあの展開か?」でおわってしまうので残念。

それを考慮してかアニメでは上記で述べたことに気がつかなくても良いようにまさにこの部分に関連していくところのみに大幅な「改変」が行われまして、「二人の妹」に関する話が完全に飛んでしまいました。

この漫画で表現上最も評価すべき11巻のあのラストシーンがなくなってしまったわけで、漫画で読まないと意味が無い作品の筆頭に上がります。

アニメ化にあたってアニメ監督の森田宏幸さんは「子供を助けたい」と鬼頭さんに「改変」許可をもらうにあたって鬼頭氏は「魔法を使わないならばOK」と答えたそうです。
この回答にも深い意味あります。「死んで生き返る展開はやめてくれ」と暗にいっているわけですから。

それにしても最近、読解力を求める漫画増えました。漫画を読む年齢層にあわせると必然的にこうなってしまうのかわからないですが、IKKI、エロティックF、アフタヌーン、イブニング、スピリッツとモーニングの半分以上はこの傾向が強い。漫画は日々色んな意味で進化していると感じる反面、単純な娯楽性は逓減していくわけで複雑でもあります。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-05 16:50:53] [修正:2011-02-02 19:28:56] [このレビューのURL]

作風フルモデルチェンジを果たした古谷先生の2作品目。

完成度はヒミズのほうが高いのかもしれませんが、この作品の意味合いは他にあると思います。

「なるたる」「ぼくらの」のレビューでも触れたのですが、この作品などで述べられている主義哲学を暗に主張している作家さんは事のほか多く、それを「志向・狂気・粋・美学」の形に置き換えて通常表現されていて一見するだけでは気がつかない(というより気がつかなくても楽しめる)ようにしているのですが、鬼頭先生と古谷先生はそれを主張しただけでなく「自分はその価値観についてこちら側のスタンスをとる」と字面で明言してしまっています。

古谷先生の作品の中ではまさにこのシガテラのラストシーンがそれであります。「ぼくはつまらない奴になった」・・・このフレーズを含むこのラストだけですべてをかっさらっていきました。そういう意味での点数の高さです。

正直途中何度かリタイヤしそうになりましたが、この作品ほどリタイヤしないで良かったと思う作品もないです。

「どうしちゃったの古谷ぁぁぁ」とその日私は泣きました。

これ以降の作品は非常にパターン化しているのでよほどの古谷マニアで無い限りはオススメできないのですが、年代順でかぞえてこのシガテラまでは絶対に抑えてほしいと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-05 17:39:35] [修正:2011-02-02 19:26:29] [このレビューのURL]

ついに堂々完結。
非常にハートフルで全てのストーリーにしっかり落としどころをつけて締めてくれました。

少年系の漫画(しかもダークファンタジー)を月刊誌系でこの年月にわたっての連載という意味においては、今後現れううのか否かというほど稀有な漫画であるとおもうので点数高めにつけました。

最初はベタなイメージで、読むのを完全に敬遠していたのですが、いざ先入観を捨てて拝読してみたところ意外に面白い。多分「等価交換」をベースにした主張(哲理)がよく練りこまれていて、本作品のイメージ以上に深いからなんでしょうか?

最終巻のホムンクルスの親玉と神(らしき方)との対話は深い。
最終巻の作者の挨拶も、当たり前すぎて深い。

あとやけに長期化する昨今の少年系漫画のなかにおいてはまさに適量というべき長さでまとめてくれたところもうれしいです。
読んで損をしたという感覚にはなりにくい作品なのではないでしょうか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-21 18:59:09] [修正:2011-02-02 19:17:35] [このレビューのURL]

8点 ヒミズ

万人向けではないですね。

心にも物理的にも闇を持ち、文字通りアンダーグラウンド(地中)にもぐりまったく日の目を見ることのない(いやもしかしたら必要ですらない)生態系を持つ住田をヒミズという動物に照らし合わせているメッセージ性は強烈です。

終わり方に賛否両論がありますが、ヒミズは地上に出してもらって果たして生きて行くことができるか?ここに本書のテーマ性のひとつがあるような。

ヒミズ=日不見、日見ずですから。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-12-11 18:11:43] [修正:2010-12-11 18:15:41] [このレビューのURL]

グリフィスがフェムトになる「蝕」までの完成度の高さはすごい。その後はどんどん精密になっていく画力を除いて、あらゆる意味でトーンダウンしてしまいますが、なぜか連載が再開されると読んでしまう作品。もうなんだか完結しない雰囲気すら漂うのですが、漫画の世界における一種のお祭り騒ぎ的な勢いで今では懲りずに読んでいます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-14 12:34:33] [修正:2010-11-14 12:34:33] [このレビューのURL]

押切先生の現在の連載作品。押切先生の作品の中では間違いなく本作が最も面白い。連載当初およびコミックの序盤では相変わらず幽霊あんど妖怪系のギャグで進んでいったので「またこの展開かな」と読んでいたのですが、途中からストーリーがしっかり明確になってきて、主人公の男の子の出生の伏線についても気になるようにしっかり描かれています。いい意味で裏切られた作品。押切先生、鬼頭先生、日本橋先生、オノナツメ先生などは作品を重ねるごとに内容も画力もどんどん良くなっているのでとても追いかけたく作家さんたちです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-06 15:46:17] [修正:2010-11-06 15:46:17] [このレビューのURL]

分かる人にしかわからない記述があまりにも多すぎるこの漫画。あからさまに万人向けではないです。でもスイマセン。分かる人にだけ異常に面白い漫画なもんで、あくまで個人的、全くもって個人的な点数ということで。理由1・この漫画のネタが全てわかるギリギリの世代。2・私、舞台になっている学校を知りすぎてます。3・作者やエヴァの庵野さんつまり先輩です。つまりあまりにも「身内ネタ」な漫画。本当に分かる人を除いてはきつい可能性があまりにも大きい漫画です。主人公のキャラクターに親近感が湧いたひとや漫画家を目指している人なら読んでおいて損はないとおもいますが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-06 12:25:07] [修正:2010-11-06 12:26:48] [このレビューのURL]