「shun」さんのページ

総レビュー数: 60レビュー(全て表示) 最終投稿: 2014年07月14日

これまで給料を主眼として描いた漫画はなかったように思う。
それも左の中継ぎという、先発転向も抑えも考えられる立ち位置と、
成績も微妙な投手というスタートにすることで、読者にとってリアルな金銭的感覚に落とし込めている。
主人公の周りの成功者と脱落者を描くことで、両方のエピソードを面白おかしく紹介するスタイル。
グラウンドに銭は落ちていると言いつつも、成功者の野球選手の周りには銭はグラウンド外でも銭は落ちているし、
脱落者もグラゼニは拾えなくとも生きていくという両面と、まだグラゼニをつかめる主人公という構成は面白い。

画ははっきり入って、うまくはない。しかしこの漫画はスポーツ漫画ではなく、
ビジネス漫画・もしくは野球職業漫画であり、重くもない若干デフォルメされたキャラ達は
特に問題とは思わなかった。
それでもここ一番の表現力のなさは気になるところではあり、成功時のカタルシスと
絶望感の表現をもっと深くできれば、よりドラマチックに起伏あるストーリーにできると思う。
淡々とした作風は良さの一つでもあるが、もっと作品に入り込みたかった。

一端の結末を迎えたが、次章へ続くという終わり方。
正直、結末の移籍球団の決断までの持って行き方は強引であり、移籍した球団内のいざこざを描きたいのは明白。
その決断に至る土台作りにあと一話欲しかったのが本音。それでも続編には期待する。

1軍2軍を行き来する選手たちのストーリーの面白さと、成功者・脱落者のその後を描き、
スポーツとしての面白さではなく、職業としてのスポーツ選手の面白さの表現は、
野球漫画だけでなく、新しいスポーツ漫画の描き方だと評価できる。

ところどころに入る、主人公の高校時代のエピソード回は冗長であり、単行本のおまけくらいの内容。
もっと簡潔にするか、もっと内容を充実させて欲しかった。

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[投稿:2015-02-09 10:32:51] [修正:2015-02-09 10:32:51] [このレビューのURL]

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[投稿:2015-02-09 10:01:59] [修正:2015-02-09 10:01:59] [このレビューのURL]

10点 火の鳥

このシリーズを一つの作品としてカテゴライズして、評価することは難しい。
小学生の頃から何度も読み返してきたが、何度読んでも面白いと感じた。
ギリシャ・ローマ編だけは少女漫画誌に連載され、当時の少女たちに向けたストーリー漫画なので毛色が違うが、
その他の作品は、構成・テーマ・実験的要素が全てが素晴らしい。
もちろん古臭さは否めないが、現代の全ての漫画が手塚氏を経由して今に繋がっていると考えれば、その凄さがわかる。

それぞれの作品を評価するとキリがないので、端的に評価する。
現代の漫画の古典なので、漫画ファンとしては読むべき作品の一つ。
古典でありつつも、面白く奥深い。基本でありつつも応用を目指す向上心の高さが感じられる。

漫画を一大文化として昇華した手塚氏の手腕を、このシリーズを見れば実感できると思う。

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[投稿:2015-02-06 17:38:11] [修正:2015-02-06 17:38:11] [このレビューのURL]

女装が気になる男の子と、女性化を拒む女の子が主体の物語。
思春期の多感な時期と、淡い友情や性の目覚め、異性意識など、
端的に言葉で表せない事柄たちを、主人公二人を通して味わった気持ちになれる。
男性の中にある女性への(異性としてではない)あこがれに触れ、共感を覚え。
女性の中にある女性化していく身体への拒否反応を、感覚的にわかった気持ちになった。

画は終始安定しており、作者の持つ個性で十分に世界観は保たれている。
この物語を表現するに当たり、かなり適した絵柄だと感じる。

物語に起伏はあまりなく、登場人物の心理状況を考えなければ、かなり退屈な漫画だと思う。
しかし、無意識下の「単純に異性が好き」という普通の群衆の中でこそ、それ以外の存在の異質さは現れない。
異質な主人公たちを、そういう人達もいて当然じゃないか、と意識誘導されていることに
読んでいる間は気づかなかった。
とくに差別意識があるわけではないが、「何とも思わない」というニュートラルな姿勢を、
実際に身近に「そういう人たち」がいたら演じきれるかどうか・・・演じる?と考えさせられた。

ゲイ・レズといった扱いではなく、心理的に女性寄りという主人公で、
生々しい部分は全くないきれいな世界なので、嫌悪感もなく受け入れることが出きた。
主人公たちが成長していく様を見守れるのも面白さの一つとなっている。

女装男子をいち早く扱った作品として、ブーム(?)の下地にもなったかもしれない。

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[投稿:2015-02-04 14:03:07] [修正:2015-02-04 14:03:07] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

序盤は面白く読めた。顔が怖いが別に不良ではないというだけで、物語をよくここまで続けたものだと感心する。
しかし、中盤以降は勝手に動き出したキャラクターたちに話を進めてもらっただけの、箱庭観察漫画に変貌する。
主人公の顔も段々デフォルメされて、1巻時ままの目次ページの背景の主人公の百面相とは全くの別人に。

途中から画にこだわりが出てきて、綺麗な女性が書きたくて仕方ないんだろうなと伝わってくる。
好きな表情や体の角度、画面構成があるらしく、段々と画的に単調になってくる。
物語もコメディから離れてきて、中盤以降は読むのが辛くなってきた。

アクションが描きたいのはわかるが、面白さと直結しておらず、
個人的には段々上手になってくる画を楽しむだけの漫画になってしまったと思う。
10巻くらいで完結させたほうが、物語的にはまとまっていた。
ギャグ漫画としては5巻で終わって欲しかった。

中盤以降の箱庭感をずっと味わっていたい方なら満足できるのでは。
序盤はギャグ漫画、中盤はバトル漫画、終盤はヒューマンドラマ漫画といったところ。

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[投稿:2015-01-07 15:45:09] [修正:2015-01-07 15:45:09] [このレビューのURL]

明治時代を背景にした、少女が主人公のサスペンスもの。
序盤は主人公である少女が様々な事件に巻き込まれていくといった短編物だが、
終盤は少女の血縁関係にまつわる長編ストーリー物になっている。

個人的には前半の短編物の方がまとまりがあり好みだが、
終盤は鈴子が成長していくさまが描けている。
しかし1エピソードで冗長に感じることもある。

明治の時代背景で作中では違和感を持つことはなかった。
よくこの辺りの時代を扱った作品で、違和感を覚えて冷めたりするので、
その点はかなり優秀。作者の努力が伺える。

女の子は可愛く、あざといサービスカットもないため、
純粋に大人への憧れから恋へと成長していく様を描けている。

主役二人の付かず離れずの関係性を見守る漫画であり、
鈴子は作中幼すぎるため、15歳になった続編もそこそこ気になる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-12-15 13:59:40] [修正:2014-12-15 13:59:40] [このレビューのURL]

4点 Piece

[ネタバレあり]

ある女性の死後に、生前の謎を追うストーリー。
この手の漫画にありがちな、不自然な後出し情報が幾つかあり、
最初から見ているこちらとしては不満が残る。
感情の起伏が少ない主人公への感情移入が難しく、
しかも中盤以降、主人公の人格が不安定で見ているのが辛くなる。

序盤から死、堕胎とキツイ言葉が並び、いじめや恐怖症など、
先が気になる代わりに、重い問題で構成しすぎていると感じる。

結末も、個人的にはすっきりしない終わり方で、読後感が非常に良くなかった。
主人公の成長と、読者の満足がリンクしない場合、その他に何らかの救いがあるべきだと思う。
この作品はそれが足りないように感じた。

登場人物がみんな暗くて、ある程度救われたような描写はあったが、
読者にそれが伝わっているかは微妙だ。
私は謎を追うばかりのストーリーに思え、謎が判明して良かったという印象が殆ど無かった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-12-15 13:30:43] [修正:2014-12-15 13:30:43] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

構成という概念が殆ど無く。あと先考えて物語を作っているとは思えない。
行き当たりばったりで着地点を考えられていないせいか、見ていてすごく不安定感がある。
ラブコメだが、本気で笑えるところも、ときめくところもなかった。

画もキラキラし過ぎのクセがあり、見ていて疲れてしまった。
作者が得意な美形キャラが男・女・黒髪・白抜き髪の組み合わせ4パターンしかなく、飽きやすい。

主人公がなかなか成長せず、ブスキャラが事故で綺麗になってからの展開など、
美醜の偏見で不快になる展開も度々ある。
終盤もまとめ方もスッキリせず消化不良で、主人公が成長したとは思わなかった。

最初の設定が全ての作者だと思うので、今回は失敗したのだと思う。
余談だが、あとがきでとても下品なものがあり不快だった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-12-15 13:23:24] [修正:2014-12-15 13:23:24] [このレビューのURL]

とても安定感に欠けているが、作者がノッた時の勢いは見事。
特に暗黒武術会編の10巻以降あたりはノリにノッて、その後の作風に影響を与えている。
主要キャラを格闘バカ、熱血、知的、クールの4人に決めてからのバランスの良さは、
先駆者ではないかもしれないが、その後の少年漫画の模範になったのではないか。

中盤の魔界の扉編以降は、作者の趣味を全面に出した内容になり、
画の魅力がだんだん増していく。その代わりにこだわりが強くなり、クセが強くなっていった印象。
中盤以降、画は作者が満足するレベルでとどめているので、読者によっては不満足に映るかもしれない。
作者が描きたいものだけを描くと決めたのがこちらにも伝わってきて、雑といえば雑。
それを許容できるかどうかで評価が別れると思う。

序盤1,2巻の霊界探偵編のベタな人情ストーリーを乗り越え、
バトル漫画移行後3?7巻あたりまで成長しつつも迷走を続ける物語に耐えれることができれば、
作者の成長と物語を同時に楽しめると思う。

個人的には作者の成長・過渡期を見れる作品で、非常に楽しめた。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-18 18:28:40] [修正:2014-12-11 14:45:44] [このレビューのURL]

4点 キス

女性がシチュエーションを楽しむ漫画と認識したので、深い所に突っ込むのは野暮だと感じた。
大人の男性の象徴である五嶋の、(作者の思う)カッコイイシーン集と言える構成。
時折入る、主人公カエの反撃にあう五嶋のリアクションもその一部。
主役二人の感情描写が希薄で、感情移入が全く出来ない代わりに、スタイリッシュなシーンを演出できている。
これを楽しめるかどうかが、評価の分かれ目。

感情表現に乏しい作風に加え、人物のデッサンに違和感。
老若男女の描き分けがほぼなく、ヒゲや、シワなどの記号でキャラを描き分けており、
非常に見ていて辛い。
背景や構図も悪く、のっぺりとした印象が最後まで消えない。

スタイリッシュに特化した漫画の、スタイリッシュをどこまで評価するか。
個人的には上辺だけの虚構に感じ、見て感情を動かされたり、楽しく読めたとは思えなかった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-12-11 14:10:33] [修正:2014-12-11 14:10:33] [このレビューのURL]