「FSS」さんのページ

総レビュー数: 50レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年12月31日

「受験漫画」としてほとんどギャグやラブコメを廃し、かなり真っ当に受験ノウハウの教授に取り組んだ作品。そういう意味では斬新。

もちろん、この漫画のやり方だけで東大に入れると本気で思った人はまずいないだろうが、仮に、この漫画を読んだからと言って受験に落ちるような受験生はもともと勉強が出来ないだけ。東大入試以前の問題で、漫画のせいにするのはお門違い。

勉強法としてはかなり理想論的な部分も多いが、それでも勉強の仕方や取り組む際の心構えなど、方法論としてはなかなか参考になる部分もあり、読んでも損は無いだろう。受験に限らず役に立つ場面もあるはず。

ただ、受験ノウハウが中心なので、ストーリー性や登場人物が醸し出すドラマ性が薄いのは確か。漫画として面白いかどうかは微妙なところだが、とりわけ酷評するほどの内容でもない。最終話はだいたい予想通りの展開。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-02-09 22:00:46] [修正:2008-02-09 22:00:46] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

個人的に花山は「バキ」の中でも一番好きなキャラなので、本編のインフレのせいで出番が無くなった花山が、外伝とは言え活躍してくれているのは嬉しい限り。

ただ、あのオカマはどうかと思う。本編にいないタイプのボスキャラというコンセプトで考えたのだろうけど、いくらなんでもあの見た目と催眠術はやりすぎ。どの作品でも「完全催眠」系の技が出てくると途端に話がつまらなくなるのは常識(最近では「ブリーチ」の鏡花水月、「ナルト」の万華鏡写輪眼など)。

しかもオカマボスは格闘家ではないので、この手の格闘漫画の最大のタブーである「遠距離からの狙撃」をあっさり敢行する始末。「バキ」の勇次郎でさえ、かつて麻酔銃に遅れを取っているくらいで、本来は「武器でも銃でも何でもアリ」という格闘漫画でも「遠距離狙撃」だけはしないのが暗黙の了解だったはず。

そのタブーをあえて破った英断(暴挙?)は凄いが、やはり、その後の展開には作者本人も大困りのようで、2008年1月現在で三ヶ月連続休載が続いているw。「組織力最大、暗殺OK、完全催眠、超絶パワー」というオカマキャラを、ほとんど死にかけている花山がどうやって倒すのか見当もつかない。実際、万全の花山の全力パンチを二発も喰らっているのにほとんどダメージも無いような化け物である。

また本編でけっこう人気のあったキャラ、マスター国松を、オカマの言う事を聞くだけのただの手下にする有様(おかげでネットではこの展開の批判が非常に多かった。これが休載の遠因になっている可能性もある)。それに完全に花山を殺すために狙撃しているから、「ボスに従ったと見せかけて実は…」みたいな名誉挽回も、これではもう無理。この辺の「キャラの使い方」も下手。

さらにこの作品はスピンオフ企画だから、勝手に花山を殺すわけにもいかない。そのせいで緊張感は無いわ、ストーリーは破綻しかかってるわで八方塞りなのでは?

今後も期待したい漫画ではあるが、どう決着をつけるつもりなのか不安がある。そういう意味で四巻までの地点での評価は6点にしておく。

※ 追記 ※

2008/02/18現在

チャンピオンREDにて、作画担当「山内雪奈生氏の都合により」
連載終了と告知。

「休載」ではなく「終了」w。完全に予想が当たってしまった。

色々と大人の事情もあったのだろうが、やはり上記のように、無理のあるボスキャラと無理のある展開にし過ぎた事が原因になっている可能性は高いだろう。

何にしても残念。板垣氏が引き継ぐ可能性はあるが…。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-02-05 19:11:09] [修正:2008-02-05 19:11:09] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

何だかんだでこれも長期連載になってきた。一応、連載開始時から全巻買ってはいるから、つまらない訳じゃないけど、取り立てて面白いと言うほどでもないのは何故だろう。

第二次世界大戦前の上海という舞台や、ヤクザの抗争に巻き込まれて行くという設定は面白いが、主人公の拳志郎の立ち位置が微妙に中途半端で、わざわざ「北斗神拳伝承者」を作品に絡ませていく必然性が弱いように思う。ヤクザの関係者に「北斗」絡みの人間が出てくるから戦っているだけ、という印象が強い。

重要人物がきっちりと死ぬ展開があるので、そう言う意味では緊張感があるが、敵として出てきた相手が戦いを通じて仲間になる、もしくは良いヤツになるという王道パターンも健在で、良くも悪くも予想通りの展開が多く、戦いの動機付けの弱さと共に、それに伴うメインキャラの人物像も薄っぺらくなっている。

それと不遜を覚悟で言わせてもらうと、やはり原哲夫氏はいわゆる下手ウマの逆、上手ヘタ(?)タイプの作家だと思った。絵を描いている人なら分かると思うけど、つまり「細密に描かれた絵」=「上手い絵」ではないという事なのだ。リアルに描く事は簡単だが、漫画として面白い動きや魅力のある絵を描く事とは別で、そういう意味で原哲夫氏の絵は漫画的な意味での「面白味」に欠けると言わざるを得ない。そのせいで戦闘シーンにいまいち迫力やメリハリが感じられないのだろう。例えば「ドラゴンボール」の戦闘シーンと比較すると一目瞭然で、鳥山氏の絵にはキャラの動きに流れが見えるが、原哲夫氏の絵はリアルではあるが、動きのダイナミズムや迫力に欠けていて全体的に静止画のような印象が強い。

またストーリーに関して言えば、「北斗の拳」も後半は迷走気味だったが、今作もギース死亡以後は迷走している感じ。特に最近のヤサカ編は引き伸ばしそのもの。飛燕が死ぬ展開など、非常にキャラの扱いが中途半端で不満が残る。この辺も「北斗の拳」の悪しきパターンを踏襲している。ヤサカもキャラとして魅力が無い。

この作品もヤサカ編が終わったら潔く終わって欲しい。

PS.それにしても「西斗月拳」と言うネーミングは、もう少し何とかならなかったのだろうか?ヤサカ編が終わったら「東斗星拳」とかw。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-22 21:06:25] [修正:2008-01-22 21:06:25] [このレビューのURL]

今まで未収録だった漫画を一冊にまとめた短編集で、各作品ごとに掲載年代や絵柄のタッチなどに大きな違いがある。なかには「あたしンち」と同じ作者とは思えないものも。

純粋に漫画として評価すると正直イマイチだが、けらえいこ氏がカット描きから漫画家に転身する際の葛藤や工夫が色々と垣間見えてファンとしては興味深い。

けらさんファンなら持っているべきコレクショングッズw。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-04-16 01:07:47] [修正:2008-04-16 01:07:47] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ある日やって来た転校生、卜部美琴に、主人公、椿明が恋してしまう恋愛漫画。

とは言うものの、従来からある正統な恋愛ものではなく、ヒロインがいわゆる「不思議系」に属するタイプ。

ノリ的には「ハルヒ」に近い部分があるが、この卜部美琴を象徴するものが「よだれ」と「ハサミ」という変態的かつフェティッシュなギミックである分、「変人度」や「フェチ度」はこちらの方が上(笑)。

誤解を恐れずに言えば、可愛い女の子に「よだれ舐め」という変態的な行為を強要されるというのは、ある意味、男のMっぽい願望を表していて、変に共感できてしまう部分がある。そこに目をつけたというのは面白い。

ただ、今のところそれほどパンチの効いた展開や演出がある訳でもなく、全体的に淡々とした印象。シリアスでもなく、コミカルでもない中途半端なバランス。今後、もう少し恋愛漫画として劇的なドラマを期待。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-02-17 22:03:51] [修正:2008-02-17 22:03:51] [このレビューのURL]

5点 彼岸島

[ネタバレあり]

<22巻までの評価>

ご多分に漏れず、長期連載の弊害で凡作に成り下がってしまった典型。10巻辺りまでは面白いが、それ以降の巻を買ってまで読む価値があるかは微妙なところ。

同じ「吸血鬼」を題材にした漫画としても「ジョジョの奇妙な冒険」の二部までと比較すると、明らかにオリジナリティや展開の意外性などで負けてしまっている。

よくある吸血鬼ホラーを和風テイストに仕上げた序盤は、独特な世界観といくつかの伏線や謎解き要素が上手く絡み合っていて、先が気になる展開だったが、ここ最近は、ほとんどアクション映画のようになってしまっている。特に「姫」との戦いなどはインディ・ジョーンズの映画かと思うようなリアリティの無いアクションシーンの連続で、見ていてシラけてしまった。絶望的な状況や強大な敵が現れるほど、主人公サイドの「ご都合主義度」もアップしていくという展開が多すぎるので、もう真面目にハラハラする事は出来なくなっている。逆に普通のザコ吸血鬼は弱すぎて、最近では障害物レベルの扱いで、これまた緊張感が薄い。それに加え、長期連載でダラダラと引き延ばされているせいで、一回毎の戦闘シーンも長くなっていて、余計に間延びした印象になっている(蜘蛛ババアとの戦いなど二巻近く費やしている)。

また、基本的に「島」という閉鎖空間が舞台という事もあって、ビジュアル的な変化に乏しいというのも難点。本来、閉鎖空間という舞台はアクションにしろ謎解きにしろ「短期決戦」というシチュエーションがあってこそ魅力が出せるもののはず。展開がダラダラし出すと閉鎖空間というシチュエーションが大きくマイナスに働く。これも長期連載ゆえの弊害。

あれだけ引っ張ってきた雅に関わる謎も、結局「日本軍の生物兵器の研究」オチというのも陳腐。同じく「ジョジョ」のDIOと比べるとボスキャラとしての魅力やカリスマ性にも欠けている。要するにそこまで凄そうに見えないのだ。

また、この作者の描く画にも好き嫌いが別れるだろう。何年も描いている割にほとんど上達が見られない。特に女性キャラの魅力の無さと横顔のデッサンがひどい。全体的に黒目をはっきり描かないので目にも表情が無い。

その他にも色々と突っ込みどころはあるが、何よりもこれ以上引き延ばしてしまうと、それこそ凡作から駄作に成り下がって終わってしまう可能性がある。

もうすでにやるべき事はやっているのだから、今後、ダラダラとした引き延ばしは止めて早期に終了すべき。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-17 20:08:47] [修正:2008-02-17 20:08:47] [このレビューのURL]

長く続いた「ゆず」シリーズの最終巻で、どこの感想でも「泣いた」とあるし、私もファンとして十年以上の付き合いがあった作品だけに、ゆずの最期には号泣するかと思いきや、あまりにも須藤さんや旦那さんの入り込んでしまっている悲嘆ぶりに、正直、ちょっと引いてしまった。

長年、可愛がっていたネコが死んだんだから、そりゃ悲しいのは分かるけど、ゆずほど幸せなネコもいないんじゃないかと思う。漫画のキャラとしてみんなに愛され、漫画の中で永遠の命を与えられた訳なんだから、笑って送ってあげようよ。それこそ、その辺の人間よりもずっと幸せな人(猫)生に思うけどなあ。

この辺の描き方は、ある意味、映画「初恋の来た道」に通じるものがある。要するに内容のほとんどが「悲しみ」しか描かれていないのだ。何よりも死者が生者に望むことは、死んだ者が残してくれた多くのものから、その悲しみを乗り越える前向きな強さと生き方を得てくれることのはず。その辺の描き方がかなりに希薄に感じた。

たとえば半年も経たないうちに、別の子猫を飼い始めるのがそうで、結局、「ゆずがいなくなったのは悲しいけど、新しいネコちゃんを飼い始めたから悲しくなくなったよ」という感じの終わり方に違和感がある。こういうペットを飼う人に共通の心理は、ペットを飼わない自分としては理解しがたいものがある。なんか泣く泣く別れた女がすぐ別の男と付き合ってた、みたいなw。

それと内容的には直接関係ないけど、今まで一切出てこなかった旦那がこの巻から突然出てくるのも、結婚してたなんて全然知らなかっただけに、めちゃくちゃ違和感があったw。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-02 15:56:19] [修正:2008-02-02 15:56:19] [このレビューのURL]

4点 男坂

[ネタバレあり]

車田ファンの自分としても、この作品はさすがにフォローし辛い。

通説では「登場人物が多くなりすぎて収拾が付かなくなった」事が原因と言われているが、そんな事より最大の問題点は、主人公たちの「言っている事とやっている事」にあまりにもギャップがあり過ぎて、さすがに読者が呆れたという事が原因だろう。

と言うか、チ○毛も生え揃ってない、自分で働いて金を稼いでもいない中学生のガキ共に「オレはいずれ日本のドンになる」とか、「人の上に立つ人間のタイプを知っているか」とか言われたところで、「はいはい」としか言い様が無いだろう。しかも、やっている事がひたすら「ケンカ」ときた日には、もう笑うしかない。たぶん大半の読者の突っ込みも「ケンカも良いけど、まず義務教育を卒業しようね」だったはずだ(笑)。実際、作中での「ドン」は明らかに「番長」レベルの話ではなく、将来を見越したもっと大きい意味での「権力者」的なニュアンスで使われていたから滑稽感はなおさらだ。

純粋に格闘漫画として見ても、本来、出し惜しみすべき「ボスキャラ」であるはずの各国の「ドン」を、最初から全員顔出ししてしまったというのも大きなマイナス要因(しかも全員ショボイやっつけデザイン)。

また主人公にケンカの秘訣を教えるためだけに出てきた「喧嘩鬼」もご都合主義以前に意味不明な存在。教えてる事も「相手から目をそらすな」とか「敵の攻撃は紙一重でよけろ」とか、当たり前な心得ばかり。おまけに特訓期間はわずか十日間だけ(笑)。それで一気に仁義が強くなり、人間的にもデカくなるというのはあまりにも杜撰だろう。戦闘力なんてよほど実戦経験を積まなくては身につかないものだし、まして人間的な成長はそれ以上に長い人生経験を必要とするもののはずだ。そしてそんな仁義を一目見ただけで各地の硬派(笑)が会ったその日に軍門に下るという展開のご都合主義。この辺のいい加減な展開のせいでより人物像が薄っぺらくなっていったのだろう。

終了間際の怒涛のやっつけ展開と、ラストの「未完」の文字はもはや伝説。違う意味で楽しめる漫画ではあるが…。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-02-03 16:54:21] [修正:2008-02-03 16:54:21] [このレビューのURL]

<二巻目で挫折>

この作品もどこでも割りと高評価だけど、個人的にはいまいち。つまらなくはないけど、緊張感に欠ける作品。

最大の難点は、やはり基本的にシリアスな内容なのに、下ネタ絡みのギャグがあまりにも多すぎるからだろう。その配分バランスが悪い。ギャグ:シリアスの割合で言えば3:7でギャグが入るので、どうしても緊張感が持続しないのだ。ギャグを入れるのも良いが、「息抜き」というには余りにもTPOを考えていない下ネタが多すぎる。そのせいで作品全体の印象まで真剣味に欠けた中途半端なものになってしまっている。

その辺がこの作者の個性というか魅力でもあるのだろうが、クセのある濃い目の絵柄共々、合わない人にはかなり拒絶反応が出る作品と思われる。どうせなら一切ギャグを入れずに、とことん真面目にやった作品が見たかった。

また「不老不死の吸血鬼とその謎を追う組織」という基本設定もありがちで目新しい部分が無く、ストーリー展開もいまいち盛り上がり所が無い。そのため読んでいて先が気にならなかった。結果、二巻目で挫折。

この作者の絵柄やギャグに抵抗が無い人にならお奨め出来るかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-02 20:33:07] [修正:2008-02-02 20:33:07] [このレビューのURL]

4点 PLUTO

[ネタバレあり]

鉄腕アトムの「地上最大のロボット」のリメイク。

基本的なテーマはそのままに、ロボットのデザインや演出全般を徹底的にリアルにアレンジしてある。と言うか、この世界のロボットは、見た目や言動、思考形態が完全に人間で、さすがにちょっとやり過ぎ。

また、アトムをどう出すのかと思ったら、やっぱり見た目は完全に人間の子供(笑)。七大ロボットだから性能バツグンというのも分かるけど、人間の「感情」を理解できるところまでいっちゃってる。ここまで来るとほとんど「ロボットとして描いている必然性」すら失っている。ある意味、リアルである事の弊害が出ている。

ロボットが感情を持ってしまったらとか、感情を持たない人間と感情を持ったロボットとではどちらがより人間なのかとか、自分は何者なのか、みたいな「アイデンティティを問うテーマ」は、この手のSFに限らず、今や漫画では基本中の基本であり、さすがに今さら感は否めない。

また、この作者の他の漫画を見てもそうだが、全体的なプロットや演出の仕方が完全に「パターン化」していて(よくあるのが「無感情だった人間が家族愛や友情に目覚めた途端に殺される」パターン)、非常に商業的かつテクニック的でそこが鼻につく時がある。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-02 16:59:30] [修正:2008-02-02 16:59:30] [このレビューのURL]