「オカシュー」さんのページ

総レビュー数: 252レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月18日

数十年前のマンガが現在も読むに耐えうる場合その評価は主にストーリーに対してであり絵に関しては「古い作品だからその点は・・・」とゆうような言葉で濁されてしまう事が多いものだ。
そんな中で今の基準でも絵に関して評価出来る作品がこの「ホールインワン」だ。

ジャンプ掲載の少年ゴルフマンガ。
少年誌のゴルフといえばサンデー「プロゴルファー猿」マガジン「あした天気になあれ」の2大巨匠作品が有名でアニメ化もされているが本作は続編まで作られたヒット作であるにもかかわらずメディアミックスの話には縁遠かった。
なぜならこのマンガを語る上で欠かせないのが「パンチラ」という有害臭プンプンのワードだったからだ。

ジャンプ発展の原動力となった功労者、本宮ひろし。
1970年代、彼のフォロワー(要するにアシ出身)が多くデビューしていた。

作画担当金井たつおもその一人であり連載開始序盤は本作も本宮作品の亜流キャラの域を出てはいなかった。
しかしその後女性キャラの魅力急成長ぶりは目を見張るものがあり次第に魅力的なオリジナリティが確立されていった。

金井たつおが描く女性キャラ。
それはボインちゃんと呼ばれるようなムネとオシリの大きなヒロインから(当時の少女漫画の画風も取り入れた)スレンダーでモデル体型のヒロインを出現させたのだ。
要するに胸の小さい女の子もカワイイぞ、と世の男の子にしらしめちゃったのである。

そしてそこからたたみかけるように伝家の宝刀「パンチラ」を抜き放ったのだ。
見えそうで見えない。ちらっと見える。無理に見せられても楽しくない。

そこに男のロマンはあった。
金井先生はゴルフ漫画をいいことにスイングの瞬間やゴルフ場の強風を利用してパンチラを描いて描いて描きまくった。
「ハレンチ学園」より受け継がれる伝統芸を金井先生は継承しつつさらなる高みへ昇華させた。
その話題性に気を良くしたかエンジンのかかった金井先生は「パンチラ」をさらに描いて描いて描きまくる。

絵はどんどん上達しさらにパンはチラチラされていく。

ただここで申し上げておきたいのはこの漫画決してパンチラのみの作品ではないということだ。
実はゴルフ漫画としても良く出来ている。
小中学生には馴染みの薄いスポーツでありながら読みながら自然にルールが理解できるチュートリアルの上手さ、そしてゴルフ本来の面白さを少年マンガらしく楽しく描ききっている。

またジャンプお得意の超人スポーツ漫画にならなかった事も特筆したい。
ラストのラストにインフレしたがかなり終盤までギリギリ踏みとどまっていた。多少ムカつく主人公の無節操ぶりなどあるものの女性キャラのかわいさは現在も通用するレベルだしなによりスポーツ漫画として合格点。
どうでしょう、コレ。

機会があればあなたも是非体感して欲しい。

下半身のロマ・・いや男のロマンを。








ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-06-14 22:58:45] [修正:2010-06-14 23:32:56] [このレビューのURL]

デビルマンに影響を受けた漫画家達が自分達のデビルマンを描き集まった。
本人(豪ちゃん)ももちろん参加している。ファンのコレクションと言うにはあまりにも豪華。
デビルマンフリーク江川達也や永井豪の分身ともいえる石川賢、寄生獣はデビルマンがルーツと噂される岩明均、さらには安彦良和、黒田硫黄まで信じられないほどの一流どころが集まった。

これら一流どころが本気で「デビルマン外伝」を描いているという恐るべき「許諾アリ」の二次創作作品集。
どれもファンなら楽しめるが特に岩明均作品は万人が認める大良作。そこまでデビルマンに興味のない人もこれだけは読んでおこう。

また本企画と連動して「デビルマンイラストレーションズ」も発刊されている。
(これも桂正和や小畑健が参加・・・やってくれるゼ)

まとめるならばデビルマン好きの為のデビルマン好きによるデビルマン漫画。
人間讃歌どころかデビルマン讃歌。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-06-07 03:16:46] [修正:2010-06-07 03:16:46] [このレビューのURL]

多くのマンガを読む中でちょくちょく出会うのがスロースターターの作品である。
出だしから中々盛り上がらない。物語が波に乗れてないというか。
しかしそれは逆に「後からぐんぐん面白くなったけどねっ!」という事も言いたい訳である。

つまりそれが「サイレン」なのである。

私的にエンジンのかかりが遅かった作品を挙げるならば「弱虫ペダル」「クレイモア」がそんな感じであった。
しかしそれでも2巻程読めばのめり込ませてくれた。

なのにこ奴は・・・この「サイレン」4巻ぐらいまで微妙だ。

完全に失敗していると思われるメガネっ子ヒロインとか色々言いたい事はあるが最大のネックはタイムスリップの設定を生かしきれずただのバトル物と化しちゃっていた事だ。4巻までは。
5巻以降はもう自信を持って「良い!」と言えるのだがそれにしても下積みが長すぎた。

多分最初から読んでいる人で見切りをつけた人もいるかもしれない。
でもそんな人こそ読み直して欲しい。「サイレン」はこんなに立派に成長しましたよ、と。
現在では子供キャラが成長して魅力も増大、タイムスリップ設定もバトルも生き生きと動き出している。 
ジャンプ3強と比較しても遜色ない、と思わせるほど盛り上がっているのです。パチパチパチ。

ちなみに難産だった1巻から4巻までを私が読み堪えられたのはあるマンガサイトのお薦め記事による。(残念ながら今回はここマンガレビューではない)
そのサイトのおかげで楽しみをこぼれ落とすことなくおいしくいただく事ができている。
そして私もこのレビューで誰かの胸のサイレンをかきならす事ができるかどうか。
この大器晩成、遅咲きの花を一度愛でていただきたい。

そんな事を思いつつジャンプ本誌を見たならば掲載順が最後・・・。
このクオリティでドベ争いとか、ジャンプって厳しいのう。
ヤバいのかな、面白くなってきているのに。まさか打ち切りってことは・・・。

しかし所詮実力の世界、それも良かろう。
崖っぷちから這い上がってこそ真の実力者なのだから。

どんな結果になろうとも私は最後まで読み続けるつもりだ。

「サイレン」

いろんな意味でドキドキする作品だぜ。




ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-26 01:07:57] [修正:2010-05-26 01:37:25] [このレビューのURL]

今、人気の王道少年マンガを挙げるならば「ワンピース」「ナルト」「ブリーチ」辺りであろうか。
しかし王道イコール、ワンパターンでもある。それ系バトルは巷に溢れている為高校生くらいになると批判的な目で見てしまう諸氏も多かろう。

そんな時は「ハンタ」の出番だがそれ以外にお薦めしたいのがこの「覚悟のススメ」だ。
一癖も二癖もある内容はドリアン的漫画といえる。味にハマると癖になる。
 
作者は「シグルイ」で人気作家の地位を確立した山口貴由。しかしここは作品「シグルイ」は忘れていただきたい。シリアスのみの「シグルイ」の作風とは明らかに違うからだ。
原作無しの山口貴由の本質はなかなかのぶっ飛び具合なのだ。

1994年に開始された本作品、編集部が求めたのは「北斗の拳」タイプの漫画であったように思う。
事実、初巻では北斗の拳ばりの悲鳴シーンもでたりする。壊滅した近未来の地球が舞台であり主人公と悪の構図や兄弟どうしの戦いなどモチーフは非常に近しい。

しかしそれだけだ。
上記のかなりのかぶり具合をもってしてもそれだけだと言いきれる程の突き抜けたオリジナリティがそこにある。

いくつか挙げるとするならば。

一、名シーン、名セリフの数々
本当にもう名セリフのオンパレードだ。この辺は「シグルイ」を読まれた方には分かってもらえるのではないだろうか。
エピソード「後方支援」は最高傑作。

二、ちょいエログロ
「シグルイ」レベルはある。男性のイチモツとか下の毛とか妙に強調されているのでちびっ子は大きくなってから見よう。

三、完結してる。
流れるようにキレイに終わっている。最近の漫画に「だらだら引き延ばすなよ」と不満を漏らしている人にはピッタリあうはず。
ラストのオチのぶっ飛び具合もそうとうではなかろうか。

以上まとめるならば異色変身ヒーロー物。ただ異色の度合いがハンパないだけだ。
よって賛否両論なのはこのサイトの評価でも充分承知。しかし最近マンガを貸し続けていた知人に「薦めてくれた漫画の中で一番おもしろかった」との感想を聞きレビューを書く気になった次第だ。

ぜひ山口貴由の本気具合を一度確かめてみてもらいたい。

おっと、そうこうしているうちに「パソコン使わせろ」と我が家の戦術鬼(息子)がやってきた。
最後に名セリフの一つを引用してこのレビューを締めくくりたい。

負けるのが恥なのではない!
戦わぬのが恥なのだ!

そんなセリフを胸に秘め、また一つ稚拙なレビューを書きなぐる。




ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-04 03:23:59] [修正:2010-05-04 03:45:49] [このレビューのURL]

幽霊になった実の兄。その兄にとりつかれた(?)弟。二人の織りなすどたばたコメディ。あだち作品。

大ヒット作品「タッチ」以降あだち先生の連載作品はいくつかのタイプに分類される。

タイプA、あだち的王道作品
早い話が、野球ラブコメ青春モノ。「タッチ」「H2」「クロスゲーム」など。あだち的王道にハズレ無し。アニメとかメディアミックスされまくる。まあ無敵。多くの読者も望んでいる期待どうりの漫画である。

タイプB、あだち的裏作品
先生が大いなる意欲を持って新ジャンルを開拓しようとした作品群。だが読者の持つあだち漫画へのイメージの違いや作風と内容との相性の問題により残念ながら一般受けはせず。賛否両論となる作品。
一応私もファンのはしくれなので作品名は控えさせていただくが、時代劇だったり超能力つかったりする作品である。

タイプC、あだち的準王道
基本はあだち王道のタイプAだが、野球以外のスポーツを題材にした作品。王道に比べて味わいを変えている部分も感じられる。シリアス部分を強くした「ラフ」や「スローステップ」「KATSU!」など。
ベースが得意分野なのでデキは総じて高い。

以上大きく3つのタイプに分けてみたが今回レビューの「QあんどA」見事に「タイプBあだち的裏作品」に分類される。わひっ。
始まったばかりだがこの作品が「タッチ」並みのヒット作品になるであろうなどとは、あだちびいきの私でさえも流石に言いにくい。
一般読者の方々には駄作扱いされそうで怖くも有る。
あだちは野球漫画描いときゃいいのにと言われるかも知れない。だが。

それは完全なる間違いだと言いたい。この作品は絶対必要なのだ。何故断言できるのか。

あだち先生は大御所と呼ばれて久しいが昔も今も挑戦者なのだ。
ベテランと新人が同じ土俵で評価されるマンガ家稼業の世界では守りに入ったら負けなのだ。作品は死んでいく。

新しいジャンルに取り組む姿勢。それを忘れない事。
これがあだち充が今も週間連載誌の第一線で活躍し続ける理由ではなかろうか。
しかも恐るべきは確実に人気を取り、読者を満足させる作品(クロスゲーム)を同時に発表しながら。

「QあんどA」が怪作として名をとどろかしたとしてもたいした問題ではない。
本当に恐ろしいのは作家がチャレンジ精神を無くす事なのだ。

そして私は待ち続ける。新しいタイプの作品が開花、大ヒットし「タイプD、あだち的次世代作品」という4つめの分類が出来上がる日を。
そしてその日は私の予想に反して意外にすぐ来るかもしれないのだ。

また亡くなられている元漫画家あだち勉氏。その実兄への想いがこの作品に大きく影響を与えているのが想像に難くない事を付記しておく。

さあ行け。QあんどAよ。











   


ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-11 21:20:39] [修正:2010-01-12 03:10:24] [このレビューのURL]

チャンピオン連載のギャンブル漫画。「カイジ」風味でかなり面白い。
ただ気を付けなければいけない事は「カイジ」的と言っても「こてこて」の
少年漫画である点だ。つまりかなりムチャな展開でゴリ押ししてくる。

多くのツッコミ所も有るのだが、その旨理解した上で読めばかなり楽しめる。

ギャンブル・トリック等は手品の種明かし的おもしろさ満載だ。
ちょっとエッチなシーンややられフラグ立ちまくりの敵キャラは、かなりツボに入った。
おじさんには懐かしい匂いが漂ってくる「古き良き時代の少年漫画」の良いトコ取りの作品と言えるか。

そうして読者の期待に応えるかのようにトーナメント戦は始まった。
トーナメント戦。バキが、ハンタが、数々の一流少年漫画が通ってきた戦いの宴。

少年漫画のビクトリー・ロード、トーナメント!
男達のリッツ・パーティー(?)、トーナメント!

繰り返して言うが大人目線のツッコミだけは控えて楽しんでもらいたい。

そこさえわきまえればドはまりする可能性を秘めた、かなり爽快な、「THE・少年漫画」だッ!!


ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-11-30 23:13:09] [修正:2009-12-27 01:19:33] [このレビューのURL]

うっかり読み落としていた作品のひとつ。
福本サスペンスをじっくり読むのは久方ぶりだが時間が経つのを忘れた。ううっ、やっぱり面白いや・・・。

見事な描きかたでいつみても感心するのが悲しき脇役キャラ達だ。
金も力も頭脳もなく権力者に良いように踊らされる姿は目が離せなくなる。

とにかく俗物っていうかホント憎み切れないろくでなし。大馬鹿野郎。
他作品でもだいたい同じように振り回されたあげく待っているのは悲惨な末路。
福本先生が描きたいのはこの御方達なんだろうなと思う。

しかし主人公零よりこいつらに親近感が湧くのって・・・。
俺のレベルが彼らと一緒なんじゃね?

・・・。

そしてこの物語の真の恐ろしさは在全様のラストのセリフだ。
「終わり・・・?まさか・・・お前等これで終わり?終わり・・・???」

第一部完でこれって、そりゃこっちのセリフだっつーの!







ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-26 18:10:42] [修正:2009-12-27 01:14:39] [このレビューのURL]

バトル漫画の金字塔。
このイカした最高の作品に多くのレビュアーが賛辞の声を惜しまず、もはや書くことなど何一つ無かろうという状態であります。

ただそう言いながら再読する度に書く事が生まれてくるのが不思議。まさに奇妙な作品。
それ程の傑作と納得するしかないかな。

さて。皆が嫌がる作品について書いてみる。

いくらかの創作物語に起こる事だが、作家がキャラクターに過度に愛情を注ぎこみ過ぎストーリーを陳腐化させてしまうことがある。
つまりキャラを殺せないのである。
読者の声に迎合したのか作者自身の愛ゆえになのか分からないが物語クライマックスのココで退場がベスト!という所でそれが出来ないのである。

それどころか殺しても生き返らせちゃう、という事まで起こる。
特に少年漫画ではお馴染みで喜ぶちびっ子もいるし少年誌的にはオッケーなのかもしれないけれど大人になるにつれそんな作品からは皆離れていく。

ジョジョが高年齢層に圧倒的に支持されている理由の一つはコレが無い事である。
ジョジョでは敵味方区別なく死んでいく。(アブドルの生き返り例があるが、これもあとでキッチリ殺されている。)

遠い昔、花京院が死んで好きなキャラだったので「あぁ、生き返らしてくれないかな。」と思ったものだ。
しかしそれを読者は考えてもいいが作者は考えちゃイケない事なのだ。実行してしまえる立場にいるからこそ。
そんな事をしない、やらないからこそ素晴らしいジョジョだったのだ。

キャラは生き返らない。人間はゾンビじゃない。

だからこその人間讃歌なのだ。














ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-12 02:35:43] [修正:2009-12-14 02:21:56] [このレビューのURL]

美人の彼女にイカレた知人達と恐怖体験、次々に繰り出される古谷節。
あだち作品にも通ずる、「お約束だけど面白い」そんな漫画。

そんな中で冴えない男に美女カップルを中心に据えて物語は展開していく。
ココは中々大事。
「何でこんな奴もてるんだ?」と思わせておいて、この主人公赤の他人の借金300万円肩代わりしたりする。

読者はみょーに納得してしまう。ああこんないい奴だったら美女とくっついてもオッケーかな。

赤の他人の借金引き受けるなんてゼッタイ出来ない。(俺だけ?)
でもだからこそ憧れる。
そんな仏さまみたいな人に一度はなってみたいと。

そんなこんなで夢がある。なんかうれしい気分になる。
「ありえねえだろ」と言われればそれまでだが手の届かないものだからこそ夢がある。

少年マンガ、少女マンガはファンタジーだから美男、美女でいいだろう。
でも青年マンガは美女と野獣が心地よい。

きっついエピソードも詰まっている漫画だが主人公富岡のキャラのおかげでかなり救われた気分になる。
弱さは同じでもシガテラより危険に立ち向かう主人公は際立っている。

「バファリン」と「わにとかげぎす」の半分はやさしさでできています。

私は好きだ、こーゆー漫画。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-09 02:36:17] [修正:2009-12-09 02:42:41] [このレビューのURL]

異質SFアクション漫画とでも云おうか、この「オメガトライブ」。
ただし杉山清貴は出てこない。歌も歌わない。

独特のアイディアを核に据えて中々壮大な物語でたっぷり、しっかり楽しめる。
前半は玄人も唸らせる重厚なストーリー、中盤からB級アクションモノへと変化していく。
その点に多少の違和感を覚えるが総じて良作。読んで損はなし。

私の大好きなキャラクター柴千春(刃牙トーナメントの暴走族)のDNAを受け継いだ梶君のキャラは最高。
彼のおかげで後半は3倍面白い。

ラストが途中終わりな為、そして単純に面白い為続編を読まざるを得なくなる。

ところでウィルの下半身は尻尾と言う事で漫画とか出版物を監視してる倫理委員会みたいな人たちは納得したのだろうか。

絶対無理だろ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-04 01:09:08] [修正:2009-12-04 01:19:58] [このレビューのURL]