「そのばしのぎ」さんのページ

総レビュー数: 194レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月04日

詩人ジャン・コクトーの名作小説を萩尾望都が漫画化。
コクトーは詩も良いが、絵を描けばピカソも褒める位うまかったし、「詩人の血」「オルフェ」なんて映画も残している。
ちなみに原作の「恐るべき子供たち」は1950年にジャン=ピエール・メルヴィルにより映画化されている。

憧れのダルジュロスに石の入った雪玉をぶつけられ倒れるポール。
姉弟二人の世界を壊されたくないエリザベート。毒薬ごっこの決着をつけなければならなかった。
それにしてもポールが夢の中でエビに襲われるシーンなどは、この漫画のためにコクトーが書いたのではないかと思える位に妙にマッチしている。
原作が別にもかかわらず、実に萩尾望都らしい漫画になっている。

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[投稿:2010-09-18 08:32:59] [修正:2010-09-18 08:32:59] [このレビューのURL]

漫画ではあるけど、今の時代では漫画というよりもポップアートに近い感覚だろう。
多大に稲垣足穂の影響が見られる。というよりも稲垣足穂の書く、形而上学宇宙や少年の憧憬をビジュアル化すると、回答は鴨沢祐二かたむらしげるにしか行き着かない。
ロボットとはアニメの戦闘用ロボットではなく、ブリキのおもちゃでなければならない。
月や流れ星はダンボールに銀紙を貼り付けただけのまがい物に違いない。

漫画という表現がもっと自由だった時代の宝物です。

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[投稿:2010-09-10 02:42:41] [修正:2010-09-10 02:42:41] [このレビューのURL]

家出少年ばかり4人、社会の枠組から外れて生きていくというのは、どこか映画「小さな恋のメロディ」のラストシーンでトロッコに乗っての逃避行に似てる。子供の頃はその先に希望しか見えてないが、年を食うと生活だとか現実しか見えてこなくなる。
実際には4人はグレアムの叔父から援助を受けているのだけど、そういった意味で始めはファンタジー色が濃い。
そしていろんな人と関わり合い、トラブルによってバラバラになったりもしたけど、最終的には養子という居場所を見つけ、また裁判という物を通じて社会と交わっていく事になる。
それだけで充分名作足りえたのだけど、若干一名雪山を引き摺ってそれをよしとしない者がいたためとんでもない問題作になってしまった。

ここまでできる漫画家はもう出ないだろうな。
漫画の本は殆ど捨てていますが、三原順に関しては捨てる気にならないですね。

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[投稿:2010-09-05 12:54:38] [修正:2010-09-05 12:54:38] [このレビューのURL]

中学校などの図書室に三国志などと共に並べて置いて良い漫画。
いや、むしろ置いておくべき本だと思います。

漫画の面白さ以前に、世の中には男と女しかいないという常識を覆し、
インターセクシャルの認知度を高める役割がこの漫画にはあります。
取りあえず1巻だけでも読んでおいて欲しい。

ISは2000人、もしくは4500人に一人という統計が出ているようです。
決して少ない数字ではありません。
学校や職場でそういった人と接点を持つかもしれませんし、
もしくは自分の子供がそういう運命を背負って生まれてくるかもしれません。
そういった時にこういった現実を知っているか、否かで
受け止め方はまるで変わってくるのではないだろうか。

TVドラマ3年B組金八先生の中で性同一性障害が取り上げられ、社会的認知度を高めました。ゆえに、ISも同一視される事も多いようですが、説明を少し読めばわかるように別物です。
このISも現在ドラマ化されて放映中ですが、視聴率は今ひとつ伸び悩んでいる様子。もっと話題になって良いと思うのですが。

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[投稿:2011-08-15 06:58:52] [修正:2011-08-15 07:01:08] [このレビューのURL]

絵だけみるとオカルトホラー。走るポーズはどうみてもギャグ。
話の内容はSF。こんな漫画描ける人は他にいない。

実は最初に読んだ時、最終巻だけ読みそびれて、長い間ラストを知らずに
もやもやしていた漫画でしたが、現代に帰るか全滅かのどちらかしか
予想できなかったのでなかなか面白い展開でした。

小学生が麻酔なしで盲腸の手術だとか、その辺のリアリティのなさにこだわる人も多いとは思う。
多分そこを気にしちゃう人にとってはつまらない作品かもしれない。
ただこの漫画におけるSFの定義はサイエンス・フィクションではなくサイエンス・ファンタジーではないだろうか。

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[投稿:2010-10-03 05:29:15] [修正:2011-01-08 14:55:44] [このレビューのURL]

油すましや塗り壁ってのは水木しげるオリジナルデザインなんですね。
妖怪を思い浮かべてすっかりああいったイメージが出てくるあたり、現代の鳥山石燕か柳田國男と言ってよいくらい偉大な人だと思う。

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[投稿:2010-10-03 23:20:59] [修正:2010-10-03 23:20:59] [このレビューのURL]

時代を先取りしすぎた異世界ファンタジー。
レビューで他作品を引き合いに出すのはあまりよくないと思うが、先日、映画「サマーウォーズ」を観ていたがあまりのダサさに途中でギブアップした。

この漫画の連載開始の1983年というのは商用インターネットもまだなく、アメリカでCompu-serveというパソコン通信が始まった頃。
そのライセンスを受けて日商岩井・富士通が日本でパソコン通信サービスNifty-serveを始めたのが1987年の事。もちろん当時は画像なんて表示されない文字だけの世界です。

そんな時代に「R?ドリーム」という今の時代のネットゲームを彷彿させる世界を描いていたのがこの作品。

・R?ドリーム内で死んだ人間は現実でも死んでしまう。
・現実に帰れない人も多数おり、その場合植物人間化している。
・現実での記憶、R?ドリームでの記憶を持たない人も多い。
・現実とR?ドリーム内では容姿は一致せず、現実では男性なのがR?ドリームでは女性だったり、多重人格の持ち主はドリーム内では7人の別々の人間として存在したりする。

そんなR?ドリームでの英雄リュオンの正体とR?ドリームが警告する謎を解くうちに現実とリンクしてしていく訳です。
先の「サマーウォーズ」にせよ「.hack」にせよ似たような作品は多いのだけど、ここまで練られた物語はついぞ見られず。
過去の名作として埋もれてしまうのは勿体ないのではなかろうか。

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[投稿:2010-09-07 00:03:54] [修正:2010-09-27 10:20:36] [このレビューのURL]

ルールを知らずとも展開についていける、知っていればリアリティもあると、囲碁に限らずテーブルゲーム、いやいや漫画としてお手本のような作品。

終了時期はちょっと微妙な気もする。
佐為が消えてリアル路線で行くならもう少し先の展開も欲しかったし、切ってしまうなら佐為消失の時点ですっきりまとめても良かった。

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[投稿:2010-09-25 01:21:58] [修正:2010-09-25 01:21:58] [このレビューのURL]

初代の映画は原作無視の意味不明な映画になってしまった。
角川だ。実に角川映画だ。
漫画の方は半村良の原作に忠実にラストまで描かれている。
絵が望月三起也に似てるなと思ったら元アシスタントさんでした。

この作品ほど2番煎じ、3番煎じと、設定を真似て作られた物が多い物も珍しいのではなかろうか。
ただ舞台が歴史の一番おいしい所をかっさらっているので、後発は決してたどり着けない金字塔となっている。

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[投稿:2010-09-18 11:59:07] [修正:2010-09-18 11:59:07] [このレビューのURL]

都会に引越し、受験戦争に巻き込まれる野生児哲矢。
30年以上前の漫画だけど、教育を取り巻く環境はそれほど変わってない気もする。
今はいわゆるDQNな親の方がクローズアップされる事が多いけど。
弓月光は青年誌でのお色気路線より少女漫画時代のドタバタコメディの方が面白い。

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[投稿:2010-09-17 14:25:10] [修正:2010-09-17 14:25:10] [このレビューのURL]