「そのばしのぎ」さんのページ

総レビュー数: 194レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月04日

手塚治虫や松本零士も西部劇は描いているが、映画も含めて(とは言っても小林旭の渡り鳥シリーズ位の物だが)和製ウェスタンと言えばまずこの作品だろう。
川崎のぼるはこの作品の前に「大平原児」という西部劇を描いており、その描写力を買われ、「少年ケニア」「少年王者」などの冒険活劇で戦後の少年に夢を与えた山川惣治の作品「荒野の少年」をコミカライズした。
巨人の星で卓袱台を囲む貧乏一家の生活を描いたのと同一人物か?と思える位、川崎のぼるの絵のタッチがあっている。

ぜひとも映画やアニメでリメイクして欲しい。
黒人奴隷やインディアン迫害など人種差別に関わる問題も出てくるから、アメリカ人などは良い顔をしない人も多いだろうが。

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[投稿:2010-09-17 14:11:23] [修正:2010-09-17 14:11:23] [このレビューのURL]

作者の普段の言論に関しては分けて考えるべき物であろうが、昨今の松本零士氏の著作権がらみの発言に関しては全く賛同できない事は予め断っておきたい。

小学生の頃に「宇宙の果てはどうなっているのか?」という疑問を持った人は多いと思う。
詳細はWebを検索すれば解説されているサイトなども出てくるのでそちらを参照されたい。
宇宙の果ての疑問同様に「時間はいつから始まって、最後にはどうなるのか」という事を非常にわかりやすく説明しているのがこの漫画だった。

いまだに、漫画・映画・小説などの世界でタイムパラドックスがテーマとなったSF作品が描かれる事も多い。

ミライザーバンの中で時間はリングと球という2種類のモデルで表示される。
オカルト話だが2000年にインターネット上で未来から来たジョン・タイターという人物が物議をかもした事がある。正直胡散臭いと言わざるを得ない。
しかしながら、ジョン・タイターの主張したパラレルワールドの話がこのミライザーバンで語られる時間のモデルとオーバーラップしていたのは面白い。

時間にこだわりを持つ松本零士氏らしい作品とも言える。
夢を裏切るかどうかは別として。

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[投稿:2010-09-08 05:26:39] [修正:2010-09-08 05:26:39] [このレビューのURL]

連載時は他の短編と共に「ヨウスケの奇妙な世界」のシリーズだったと思いますが、氏の作品中でもこの時代の作品が話にもメリハリついていて一番好みです。
猫夫人の登場で本当にオチ考えてないのかと思ったらあの展開。
平等云々?の台詞は中々深さを感じますし、ミリオンもうまくまとめている。

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[投稿:2010-09-07 01:50:06] [修正:2010-09-07 01:50:06] [このレビューのURL]

アメコミの2大出版社と言えば、バットマン、スーパーマンなどのDCコミック社と、もうひとつがこのスパイダーマンを生み出したマーベル社。
昔、マーベル社のアメコミが光文社からマーベル・コミックスとして8巻の翻訳本が出ておりました。
その時のラインナップはスパイダーマン、ファンタスティック・フォー、ハルク、キャプテン・アメリカ、ミズ・マーベル、マイティ・ソー、シルバー・サーファー。
その後も何度か翻訳本が出ているようですが、そちらは未見。
現在DCコミックスの方は翻訳本が出ているみたいですが、マーベルはないのかな。

基本的に能天気なアメコミヒーローの中でコミックスのスパイダーマンはやたらと悩んでいるシーンが多い、一風変わったヒーローでした。
その能力も取り合えず腕から派手な光線を放つ他のアメコミヒーローと異なり、クモの糸を出してピストルを取り上げたり、敵を縛ったりと非常に地味。
その辺が逆に等身大のヒーローとして異彩を放っていた気がする。
石ノ森章太郎の描くヒーローに近く、日本人にも馴染みやすいキャラクターだったのかもしれない。

もっとも鳥山明のドラゴンボール以降は日本のヒーロー物もアメコミっぽくなってる気もしますが。
途中から作画がジョン・ロミータに代わりますが、ロミータの画は頬などに無駄に影などの描線が多くあまり好きではなかった。

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[投稿:2011-01-08 03:52:01] [修正:2011-01-08 03:52:01] [このレビューのURL]

シルヴァスタインの絵本「ぼくを探しに」が引き合いに出されているのだけど、この絵本自体が不要な物を極力排除して哲学的なまでに含みを持たせているだけに、解説入れてしまうのはちょっと野暮ったかったのではないだろうか。
恋とは違う、自分と似た部分を持った人への想い。
相性が合いすぎるゆえに縛りあってしまう2人。
丁寧な筆致も手伝って清々しい一冊です。

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[投稿:2011-01-04 07:24:17] [修正:2011-01-04 07:24:17] [このレビューのURL]

この人の絵のタッチは流行り廃りに無縁な分、古い作品などを今読んでも全く古臭い印象は受けない。
それでいながら、作品によって見せる顔が異なる。
この辺りの作品を読んでいると、なんとなくフランスの挿絵画家グランビルなどにも似たシュールな趣がある。
この擬人化されたソーセージや鼠など、栞と紙魚子のシリーズとはまた違って非常に味わいがあります。

あくまでも「グリムのような物語」であってグリム原作ではない。タイトルなどから元の作品を想像して読みはじめながらも、いつの間にか諸星流の迷宮世界に迷い込んでしまいます。

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[投稿:2010-11-14 23:28:34] [修正:2010-11-14 23:28:34] [このレビューのURL]

発表された当時の世相、歴史考証の間違い、などなど、現代となっては考え直すべき問題もあるだろう。

作者は決して反戦・左翼思想といった啓蒙漫画を描こうとした訳ではなかったと思う。単純に戦争という運命に翻弄された人間達の生きようとする力を描いたのだと思う。

悲惨な描写がトラウマになるという意見もあるが、生きるという事は、時代や場所が変われば本来これだけ重い話になるという事だろう。
死体や汚臭ひとつないファンタジー架空世界の戦争といった娯楽も悪くはないが、それしか読まないのでは平和ボケと言われても仕方がない。
そして、小説や映画以上にマンガという表現手段が視覚・文字という両面から、こういったメッセージを乗せるに適したメディアであるという事を改めて知らされる。
ただし、教育の一環として押し付けるのもいかがな物かとは思うが。

ネットの時代になり、海外の反日教育を受けている国民などが事あると日本に対して「もう一度原爆を落としてやれ」といった中傷をするのをよく見かける。

こういった人達には、被爆国日本に生まれたからという感情からではなく、核がもたらす惨劇の知識として読んで欲しい本でもある。
そういった認識を持っていれば、例え嫌いな国家が相手でもそのような発言がどれだけ軽率で非人道的な事を指しているのか位わかる筈である。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-11-14 04:53:02] [修正:2010-11-14 18:16:47] [このレビューのURL]

イエス・キリストと新約聖書の世界を舞台に繰り広げられるSF作品。
タイムトラベルがテーマとなっているが、肉体を伴って過去の世界を遡る他のSF作品と異なり、精神だけが過去を遡り、波長の合う人間に同化するという設定。

歴史の改竄を目論む犯罪者がナザレのイエスに乗り移り、それを阻止せんとする主人公は使途ペテロに同化する。
意外なのが、裏切り者として知られるユダがこの物語では年端もいかない少年であったこと。

地味ではあるが、聖書に出てくる話をうまく組み込んであり非常に面白い。
ノリ・メ・タンゲレ(私にふれるな)というタイトルも本来は聖書の中の言葉であるが、SF的解釈が加えられていたり、ユダの台詞となっていたり、面白いキーワードとなっている。

最近のSF漫画作品というとどうも似たりよったりの内容ばかりだが、
この位骨のある物も読んでみたい。

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[投稿:2010-11-11 02:00:39] [修正:2010-11-11 02:00:39] [このレビューのURL]

「銀河鉄道の夜」と言えば宮沢賢治の有名な童話のひとつであるが、
実際には途中の原稿が紛失されており、完全な形では現存していない。
また、何度も推敲を重ねて書かれており、初期形と最終稿では、
展開が異なっている。

初期稿では物語の最後にこのブルカニロ博士なる人物が登場し、
夢の四次元鉄道について講釈をたれる。
ゆえになぜジョバンニが銀河鉄道に乗り込む羽目になったのか
理屈としてわかりやすくなっているのだが、賢治はこれを蛇足としたのだろう。
最終稿ではばっさり削って読者の想像にゆだねたのだと思う。

本来は最終稿だけ読めば良い物なのだが、敢えてこのアウトテイクまで漫画化してしまった所にますむら氏のマニアぶりが伺える。

音楽でもそうだが、異なるテイクを聴き比べる事により、作品のできる過程を感じ取る事ができる。マニアの楽しみなので公的には不要な物ではあるが、こういうお遊びは嫌いではない。

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[投稿:2010-11-01 21:34:30] [修正:2010-11-01 21:34:30] [このレビューのURL]

インクレディブル・マシーンというゲームをご存知でしょうか。
もしくはNHKのピタゴラスイッチという番組に出てくるピタゴラ装置。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」冒頭の目玉焼きを作る装置などなど。
これらは総じてアメリカの漫画家の名前を取ってルーブ・ゴールドバーグ・マシンというそうです。
このルーブ・ゴールドバーグに影響を与えたとされているのが、イギリスの挿絵作家ヒース・ロビンソンの漫画。
その漫画を集めた物がこのContraptionsです。
洋書でしか出版されていませんが、以前はこういった本を見つけるのも大変でしたが、今はAmazonなどで簡単に入手できるようになったので便利になった物です。

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[投稿:2010-10-09 15:22:39] [修正:2010-10-09 15:22:39] [このレビューのURL]