「まれら」さんのページ

総レビュー数: 112レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年02月12日

洗練されたタッチは現在でも古びていないのが凄い。また、女装癖・下ネタ・ヤクザなど、少年誌では勝負しづらいネタで堂々と勝負しており、当時の勢いと自信の程を感じさせる。
ギャグそのものは意外と堅実であり、ボケ(ひばりや政二)に対してツッコミ(耕作やいばり)がベタなツッコミを繰り広げる新喜劇のような展開で、言葉より動きや間で笑いを取る要素が強いように感じた。
ベタなギャグを描きたいのなら、必ずしも垢抜けた風景や美少女は必須ではない。しかしあえて両者を取り合わせたところに独特な味が生まれた。未完ではあるが、そこもまた型破りな作品らしくていい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-02-04 00:14:37] [修正:2008-02-04 00:14:37] [このレビューのURL]

6点 鬼市

一応オムニバスの形式をとってはいるが、燕光(燕見鬼)の活躍を描く連作になっている。怪異譚の味わいを残しながらも特に後半は冒険に比重がかけられ、また謎解きの要素もあって面白い。以下各話寸評。
「鬼市」民話調の怪談だが、どこかとぼけた味わい。落語の首提灯を彷彿とさせるあたりが要因か。(6点)
「羽化庵の来訪者」阿鬼の成長後の登場を語る話。これもまた民話的味わい。(5点)
「石の中の女」作者には珍しく、官能要素を取り込んだ怪談。「厄介なやつだった」で済ませる淡泊さが味わい深い。(5点)
「チョウ鬼」何故か挿入される阿鬼の幼少時の話。さらにスターシステムに似た二重虚構が仕掛けられており、気の利いた娯楽作品になっている。(7点)
「空園の戦い」1回だけの脇役と思われた長命さんの再登場。その後の冒険談の幕開けになっている。(5点)
「艮嶽の龍」時代や政治背景が語られ、前作に続いて冒険談のプロローグ。(6点)
「推背図」人物の見立てが非常に面白い。これをさらりと漫画にした作者の知識と力量に圧倒される。(7点)
「小玉」謎の呂氏の登場。サスペンス仕立てで、珍しく燕見鬼が戸惑ったりしている。(6点)
「天后」とりあえず推背図の謎解き。だが武則天を知らなければ面白さ半減。何か作者が暴走気味な感じがしないでもない。(7点)
「鬼弾」エピローグではなく、明らかに次巻への繋ぎ。(5点)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-04 00:07:09] [修正:2008-02-04 00:07:09] [このレビューのURL]

利己主義むき出しの人間模様を、美化することも卑下することもなく描いている。読んでいて辛くて息苦しい展開が多く、いつかは明るい展開が待っているかと思って読み進めたが、辛いままで終わってしまった。
誰一人救われないままの終わり方も陰鬱で残酷であり、むしろ悲惨さがこれで終わってくれるという安心感さえ与えるほどだった。
しかし忘れられない漫画であることは確かである。人の心を揺り動かすのが名作であるなら、やはりこの作品も名作と言えるだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-03 00:58:13] [修正:2008-02-03 00:58:13] [このレビューのURL]

不条理漫画のパイオニア作品の如く言われているが、さほど取っつきにくくはない。確かに起承転結を意図的に壊してはいるものの、朝倉世界一や高野聖ーナのようにどこで笑ったらよいか戸惑うような作品は少ないように思う。
非常に多くのキャラクターが登場したはずだが、やはり記憶に残るキャラクターと言えばかわうそだろう。初登場から数回の「かわうそだから」の台詞には、暴力的ともいえるほどの可笑しさと、それまでに見たこともないギャグに接した興奮があった。
やがてかわうそ自身が意図的にギャグを仕掛けるようになり、かえってシュールさが半減したのはやや残念に感じたが。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-03 00:56:44] [修正:2008-02-03 00:56:44] [このレビューのURL]

絵の上手い下手で漫画を評価したくはないが、いわゆる上手い絵から意図的に遠ざかろうとしている作者は稀少だと思う。しかし野太い線と大胆なコマ割りで描写される世界は、いかにも熱い話に似つかわしい。
もともとストーリーを読ませる作風でもないが、それにしても読者がついて行けないほどの突飛な展開が続く。将棋漫画でありながら将棋の醍醐味を描くつもりでもないようで、現時点では方向性を見いだしにくい。ただ作者が巨大な何かを描こうとしている情念だけは伝わってくる。今後が楽しみな作品である。得点は暫定。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-03 00:55:56] [修正:2008-02-03 00:55:56] [このレビューのURL]

5点 QUOJUZ

ラブコメ漫画と呼ぶには妙に業が深い気がする。「花園…」でもそうだったが、何か“不健康なお色気”といった感じで、あまり好きな漫画だと宣言しづらい雰囲気がある。
登場人物がそれぞれ極端にカリカチュアライズされているのだが、根底の観察眼がしっかりしているために、かえって嫌味なほど人間性が露出するリアルなキャラになっている。設定等は作者の他の作品と比較すると月並みではあるが、その分人物描写を中心に置いたため、ハイテンションのコントを見ているようで独特の可笑しさがある。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-28 01:44:41] [修正:2008-01-28 01:44:41] [このレビューのURL]

読み切り時はまだましだったが、通常の連載になると俄然質が落ちた。設定や構成が極端に不得手な感じがする。さらに青年誌レベルのお色気漫画にしては妙にシチュエーションがマニアックで、作者の特殊な趣味を反映しているのではと勘ぐってしまう。(その分ずばりストライクゾーンの方もあるだろうと思わせる雰囲気もある。)
ただ、嫌悪感を抱くような類の絵柄ではないし、内容の無さが幸いしてさらりと読むことができる点は一応評価できる。
持っておくほどの価値はないが、存在を否定するほど嫌でもない、そんなスカスカの存在。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-26 17:30:15] [修正:2008-01-26 17:30:15] [このレビューのURL]

時代が前後する複雑な構成に戸惑ったが、作品世界の全貌がおぼろげに掴めてくるあたりで引き込まれる。良質なミステリーのような味わいで、相当の力量が窺える。永遠に生きる者の宿命と悲しみを繊細かつ緻密に描いており、不朽の名作としての評価も納得。絵も古典的なタッチながら、ファンタジー世界を芸術的に描き出している。
そこまで理解した上であえて難点を言えば、あまりに格調が高すぎて敷居が高い印象を受けるところか。漫然と読んで楽しむような作品ではないので、あまり無節操に他人に勧められない。国境を越え時代を超えて輪廻するエピソードを相互に関連づけながら読むのは思いのほか骨が折れるし、美文調の散文詩のような表現も技巧に過ぎるように思う。
読者側にも味わうためのスキルを要求されており、そういった部分も含めて実に大作然とした作品。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-23 21:13:50] [修正:2008-01-23 21:13:50] [このレビューのURL]

子供たちを中心に、幼稚園や家庭の出来事をギャグにしている。
こう書くとまるで普通のほのぼの漫画のようだが、とにかくマニアックで非常識なギャグ満載の問題作。様々な変態ネタ・オタクネタのオンパレードで、作者の博学さとマニアックさが同時に炸裂している。クレヨン画風の表紙に釣られて知らずに買った人は驚きだろう。
コミックスに収録される用語辞典が、無意味に重箱の隅を突いていて味わい深い。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-23 21:12:53] [修正:2008-01-23 21:12:53] [このレビューのURL]

子供を題材にしたギャグの筈が、ヒットと共に徐々に子供向け漫画になって行った。力量のある作者ではあるし、これはこれで面白いのだが、初期の頃の大人目線のオチや意味のない下品さも好きだった。
本作の登場と前後して子供題材の漫画が乱発されたが、そのほとんどが子供さえ出せばほのぼのして貰えると勘違いしたような駄作であり、本作のようにしっかりした構成と毒と失わない作風は貴重だと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-17 01:14:45] [修正:2008-01-17 01:14:45] [このレビューのURL]