「まれら」さんのページ

総レビュー数: 112レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年02月12日

潮ととらをはじめ、すべての仲間が精一杯に前を向いて走り続ける。みんなが力一杯で元気に溢れている。特にバカコンビが決してへこたれないのが嬉しい。
序盤から中盤で随分数多くの出会いや戦いが繰り返されるが、その経験値稼ぎがあったからこそラスボス戦での余裕の笑みが生きてくるのだと思うし、よい助走になったのだと思う。皆が記憶を取り戻して以降のドライブ感は本当に比類のない痛快さだった。
愛や勇気や友情を真っ正面から臆面もなく描き切った作品で、ストーリーにも確かに少年漫画らしいご都合主義な面がある。それを理由に夢物語だと敬遠する向きもあろうが、夢物語を描かずして何が漫画か。夢物語だからこそ感動の大傑作になったのだと思う。
10点献上。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-03-16 01:23:10] [修正:2008-03-16 01:23:10] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

いわゆる少女漫画の絵柄が苦手で、長い間敬遠して来た作品。思い立って読んでみたら、とんでもない目にあった。止まらないのである。寝る間を惜しんで一気読みし、勢いでもう一度読み直してしまった。コテコテの少女漫画絵であるしネタも随分と古くさいが、そんなことはどうでもよくなってしまった。文句なく10点。
特に念入りに噛みしめるべきは「女海賊ビアンカ」「真夏の夜の夢」「二人の王女」の各エピソードあたり。他の方のレビューでも触れられているが、特に「二人の王女」のオーディションなどは圧巻。いずれもマヤが抜群に嬉しそうに演じているのがいい。
そう感じてみて気づいたが、自分の視点は速水真澄なのであった。芝居の内容や演じる楽しさよりも、マヤの才能への驚き、演じることの楽しさを体現していくマヤへの羨望を感じながら読んでしまう。もし子供の頃に読んでいたら果たしてどのように感じていたか、あるいは他の方(特にマヤや亜弓と同世代の少女など)がどのような読み方をしているのか非常に気になるところである。
これからクライマックスというところで中断しており、今後の展開が気になるが、以下のような懸念もないわけではない。
?々氾圭龍ケ蕕砲△燭蝓⊂?野寺の才能は大丈夫なのか。一方の黒沼の能力はしっかり描かれているが、どうもこれまでのところ小悪党としてしか出番がなく、しっかりと勝負してもらうためにはもう一ネタ欲しいところ。
??同じく桜小路の能力も大丈夫か。あまり実力を見せるストーリーがなかったせいか、彼の本気を感じない。
??水城や聖など、真澄の周囲でキャラが立ちまくってしまった者をうまく活かすストーリーになるのか。このまま埋没させるには惜しい。(ちょっと伏線張りすぎか?)
?ど雲邁了劼箒眞?など、もっと見たかったキャラにもう出番はないのか。
?ゥ泪笋痢崋綸澄廚呂匹Δ覆襪里?。特訓を積むほどの時間的余裕はないように思うが、アクロバチックな解決策でもあるのか。

本当に完結できるのかわからないほどの大作になっているように思うが、作者のテンションが上がるのをゆっくり待ちたい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-02-16 20:52:31] [修正:2007-02-16 20:52:31] [このレビューのURL]

凡百の漫画が叙事詩だとすれば、この作品は叙情詩なのだと思う。設定の無茶苦茶さや展開の唐突さなど些事に過ぎない。読者はただシュウジとチセの感情を辿り続けていればよい。むしろストーリーを追おうとすることで、却って筋道を見失いそうである。
形而上的なものを素材のまま提示すれば、消化に悪いのは事実である。万人受けするとは到底思えないが、うまく折り合った読者にとっては、非常に面白いものになるだろう。(レビュー点数の見事なバラつき具合を見るに、これほど極端な評価を受ける作品も珍しい。)
私にとっては衝撃的な作品だった。読後は何ともいえない喪失感・寂寞感に襲われた。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-11-23 15:33:38] [修正:2007-11-23 15:33:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

連載中の漫画であるため、あえて9点としているが、このままの勢いで連載が続けば間違いなく10点献上できる作品。
史実と虚構のバランスがきわめてよく、史実に詳しい読者も、そうでない読者も一様に楽しめる作品になっている。(勿論ある程度の予備知識があった方が、深く読めそうではある。)
壮大な戦争描写や派手な戦闘シーンに気を取られるが、敵役・脇役の端々まで実に個性的であり、わずかなセリフや漫符で暗示される心理描写も出色である。安易に表現してしまってもストーリーに影響しないレベル(尾兄弟、黄離元、シュンメン、昌文君の部下、信が喧嘩をふっかけた伍の面々など)まで、しっかりキャラが立っている。
ただ、あまりに緻密に描かれているため、通常レベルでは問題にもならない程度のアラが目立つのも事実である。例えば壁だけ諱で呼ばれなかったり、山の民の中で楊端和(史実では漢民族?)だけ漢字表記だったり、昌文君や肆氏は敵方や部下にまで称号で呼ばれたり、なんとなく気になってしまう。

(以下は漫画中に未だ登場しない史実を記しますので、知りたくない方は飛ばしてください。) 

作者は、今後どこまで描くつもりか気になる。史実を辿れば、当然李信の惨敗や昌文君の裏切り、壁の死(壁死(笑))、始皇帝の暴政などに到達するが、娯楽作品としてはあまりストーリーに乗りにくい部分かと思う。そう考えると、あまり遠くない時点でフィナーレとした方が作品としてのまとまりはよいと思うのだが、これほど面白い作品の終わりを願うのも変な話ではある。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-18 19:52:14] [修正:2007-11-18 19:52:14] [このレビューのURL]

「ハチワンダイバー」の異様な熱気に触れ、(今更ながら)一気読みしてみて、ショックを受けました。「感動」や「興奮」とは違う、得体の知れない感情の高ぶりを感じる怪作です。
喚起された感情と自分自身(生活や肉体年齢)を対照して、むやみにもどかしくなるのは歳のせいでしょうか?(とはいっても、いきなりヒンズースクワットを始めてしまう程度のパワーは頂きました。)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-02-12 23:33:17] [修正:2007-02-12 23:34:34] [このレビューのURL]

とにかく笑える。思想性を抜きにしたギャグ四コマに限れば最高の作品の一つだと思う。
どことなくアナクロな絵や少々変わった視点でのギャグなど、好き嫌いが分かれそうな作風ではあるが、模倣や追随ではない世界を創り上げ嘲笑や揶揄に頼らない笑いを生み出そうという努力は尊重に値する。
内容は、起承転結と言うよりもボケとツッコミのような展開が多い。キャラを生かした手の込んだネタもあり、コントを見ているような雰囲気がある。
意図してなのか偶然かわからないが、キャラの立場がドリフターズの役柄に近いようにも感じる。課長=いかりや、うずら谷=加藤(もしくは志村)、左右=荒井(もしくは加藤)、苦島=中本、半場=高木といったところで、やはりコント的構成なのかと納得。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-13 01:28:58] [修正:2008-02-13 01:28:58] [このレビューのURL]

8点 YAWARA!

[ネタバレあり]

実に爽快な傑作。スポーツ漫画としてもラブコメとしても相当の出来だと思うが、作者に対する期待が大きすぎるのか、意外と点数が伸びていないようにも感じる。
確かに柔が強すぎて試合展開が単調になるきらいはあるが、メンタル面の脆さと併せて描かれるためそう飽きずに読めた。また花園夫妻やライバルたちが思い切りスポ根しており、一種の群像劇として捉えればなかなか良いバランスだと思う。
難点を言えば中盤以降の恋愛関係の描写がしつこく、やや雑味として感じられる点が挙げられる。柔や富士子がモチベーションを取り戻し、せっかくテンポ良く進んでいたあたりで三角関係の話が挟まると、何か話がぶつ切りになったようで、せっかく生まれていたドライブ感がそがれるように思う。青年誌なのでやむを得ない部分もあったのだろうが、バルセロナ前あたりで人間関係を一旦精算しておいた方がクライマックスに向けて集中できたかも知れない。
もしこれが昭和40〜50年代に完全なスポ根ものとして描かれていたら、凄いことになっていたのではないかと思ってしまう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-02-11 01:01:36] [修正:2008-02-11 01:01:36] [このレビューのURL]

タイトルからして暴走気味。いまさら三木のり平でもあるまいに、若い読者のどの辺をくすぐろうというのか。そんな非常に困惑させる味わいが本編でも繰り広げられる。
時代劇パロディの需要がどのくらいあるのかわからないが、それでも水戸黄門や遠山の金さん程度なら万人受けする可能性もある。しかし「新五」や「人形佐七」を前振りなくネタにする勇気はなかなか見上げたものではないか。「花の生涯」のパロディなんて、元を知らなければ何のことやらさっぱりだろう。時代劇を見ない方にはお世辞にも薦められない。
しかし元ネタさえわかれば楽しめることは請け合いだし、深すぎるギャグが爆笑を誘う。作者のテレビに対する造詣や愛情を存分に味わえる作品。代表作と言えるだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-05 00:56:25] [修正:2008-02-05 00:56:25] [このレビューのURL]

8点 壁男

[ネタバレあり]

表題作は「壁男」だが、雑多な作を詰め合わせた短編集になっている。前半部は表題作を中心とする現代社会もの、後半部(第二部)は幻想SFが収録されている。傾向も時期もバラバラで、統一的な評価はできない。以下各話寸評。
「壁男」現代社会を舞台とするホラー的作品だが、宗教や伝奇などの背景を持たずに展開する作風が却って異質。隣接するのに見えないという実に地味な恐怖をうまく描いているが、描写は漫画ならではのもののように感じる。何故映画化(未見)されたのかわからないが、あまり目立つ作品にはならないように思う。(6点)
「ブラック・マジック・ウーマン」随分古い作品で、コミカルなホラーという不思議な世界。(5点)
「鰯の埋葬」会社(組織)の持つ狂気は、繰り返し描かれるテーマ。本作では宗教を絡めてやや猟奇的に描写されている。(6点)
「会社の幽霊」これも組織の狂気ぶりを描くシリーズ。(5点)
「夢の木の下で」モボクが登場する話の一つであり、「遠い国から」のシリーズの原点となるエピソード。幻想的なストーリーの最後で一縷の希望を示して終わっており、第四信で壁越えが成功したことが暗示されている表現に繋がっていく。(7点)
「遠い国から第一信」既評(8点)
「遠い国から追伸カオカオ様が通る」前作の続きとして位置づけられており、旅情と虚無に溢れる展開が引き継がれる。ただ前作から15年以上の制作間隔があり、絵柄やストーリーは随分異なっている。カオカオ様の意味が最後まで語られないところが不安感を煽る。(7点)
「第三信ナルム山紀行」ナルム馬の解説のシュールさが凄い。(6点)
「第四信荒れ地にて」連作の最終作になると共に、主人公の旅の終着点になるのだろう。モボクや壁の現在が語られるが、「夢の木の下で」で示された希望とは裏腹に、絶望や虚無で終わっている。荘厳なラストは圧巻。(8点)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-12 10:34:11] [修正:2008-01-12 10:34:11] [このレビューのURL]

子供の頃読んで、窒息するほど笑っていた。復刻版が出たのを機に再読してみて、20数年ぶりに窒息した。
意味のない展開と非常識なギャグの連発。比喩でも嘲笑でも風刺でもなく、誰も傷つけず何に役にも立たない、ひたすらに純粋な笑いがそこにある。
綺麗なデッサンとゆるい笑いで作られるギャグ漫画が大勢を占める昨今の世代にとっては、お世辞にも上手いとは言えない絵とプリミティブな笑いは古くさく感じるかも知れないが、試しに一読してみて欲しい。
「ちゅどーん」「みゅいん」「しびびび」などという妙な擬音と、「しり」「こしまき」など、なぜか対象物にそのまま書いてある下品な書き文字の可笑しさは、とにかく読まないと理解できないだろう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-15 16:04:04] [修正:2007-12-15 16:04:04] [このレビューのURL]

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