「まれら」さんのページ

総レビュー数: 112レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年02月12日

不条理漫画のパイオニア作品の如く言われているが、さほど取っつきにくくはない。確かに起承転結を意図的に壊してはいるものの、朝倉世界一や高野聖ーナのようにどこで笑ったらよいか戸惑うような作品は少ないように思う。
非常に多くのキャラクターが登場したはずだが、やはり記憶に残るキャラクターと言えばかわうそだろう。初登場から数回の「かわうそだから」の台詞には、暴力的ともいえるほどの可笑しさと、それまでに見たこともないギャグに接した興奮があった。
やがてかわうそ自身が意図的にギャグを仕掛けるようになり、かえってシュールさが半減したのはやや残念に感じたが。

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[投稿:2008-02-03 00:56:44] [修正:2008-02-03 00:56:44] [このレビューのURL]

新聞四コマのような普遍性をあえて捨て、続けて読まなければ理解できない深くて狭い世界を綴っている。よくある四コマだと思って適当な部分だけをつまみ食いしても、あまり面白くないだろう。四コマのくせに「順を追って」「続けて」読まなければ味が出てこない面倒な作品。
その代償としてキャラクターの確立は大成功で、小ネタの積み重ねで時代や人物像を浮き彫りにしていく手法はなかなか見事である。郷愁にゆるいギャグを織り交ぜやがて感動へもっていく構成が、最初から意図されたものかどうか不明だが、間延びしながらもなんとかフィナーレまで描き切っている。
怠惰で無意味な大学生活を経験した覚えがある者にとっては、じわりと記憶が蘇るような作品。

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[投稿:2008-01-15 21:05:02] [修正:2008-01-15 21:05:02] [このレビューのURL]

一言で言えば野球ギャグなのだが、現実の試合にとどまらず、テレビ・スポーツ新聞・野球漫画などもごっちゃにしてパロディにされていく。野球の知識はほぼ不要で、むしろ往年の選手のキャラクターを知っていたほうが笑える。(ただ、土井や高田、広岡あたりのネタが今の読者にどこまで伝わるか疑問ではある。)
鋭いパロディの連発で選手を茶化していくのだが、不思議と嫌悪感はない。おそらく根底にスポーツや報道に対する思い入れが感じられるからだろう。
コマ内にごちゃごちゃ書きもまれている作者のツッコミなどが妙におかしい。

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[投稿:2008-01-13 20:14:51] [修正:2008-01-13 20:14:51] [このレビューのURL]

作者初の青年誌連載と言うことで、他の作品と比べると随分露出度が高い。(と言っても、今時は中学生でも喜ばない程度だが。)
あるいは制作側の意向であって作者の本意ではないのではないかと思ったのだが、後書きを見ると結構楽しんで描いているようである。
内容は良くも悪くも相変わらずで、超マイルドな味わいの割には本格的なSF仕立てになっており、考証も細かい。この路線でもっと読んでみたいと感じた。

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[投稿:2008-01-07 01:06:58] [修正:2008-01-07 01:06:58] [このレビューのURL]

6点 異界録

阿鬼と五行先生を主人公にした民話的作品と、独立した志怪小説的な作品が交互に並べられているため、あまり牧歌的にも陰惨にもなり過ぎず、心地よいバランスを保っている。以下各話寸評。
「犬土」軽い蘊蓄作品だが、アンチクライマックスの結末が却って深い余韻を残す。異世界の導入には程よいジャブになっている。(6点)
「異界録」表題作だけあって本格的な怪異談。虚実の境界をわざと曖昧にした導入から瞬く間に異世界へと話が移り変わり、まるで山海経の世界を思わせる幻想的な作品。(7点)
「妖鯉」阿鬼たちも登場するが狂言回しに止まっており、何か昔話を聞くような味わい。(5点)
「幽山秘記」性善説・性悪説や輪廻を題材にした面白い話だが、あまりにテーマが深く、その上登場人物がビッグネーム過ぎて、消化不良に陥っている感がある。長編で読みたい。(7点)
「鬼城」阿鬼と先生の出会いのエピソード。見鬼としてのデビューがいきなり殷墟という大物ぶりを発揮する阿鬼が見事。(6点)
「小人怪」寓話のような味わいだが、グロテスクにして滑稽な小人たちに妙な味がある。ストーリーとしては一番面白いかも知れない。(7点)
「魔婦」阿鬼のモテモテシリーズその1。春蘭が可愛い。(6点)
「三呆誤計」他作と打って変わったようなコメディ作品。道術ネタのドタバタギャグというのも類を見ない。(5点)
「花仙境」阿鬼のモテモテシリーズその2。(みょうがネタを引っ張っているし、本当にシリーズとの認識かも知れない。)公英が可愛い。(6点)
「毛家の怪」比較的軽い話が続いた後に来る怪談。時代設定も他と異なるようで、かなり異質な印象を受ける。(6点)
「連理樹」仏教的な題材が取り上げられるのは珍しい。ラストはやはり突き放したようなアンチクライマックス。(6点)

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[投稿:2008-01-07 01:06:01] [修正:2008-01-07 01:06:01] [このレビューのURL]

少女漫画とフィギュアスケートという、何となく絢爛な要素を組み合わせたまでは通常の感覚だが、そこに「ある要素」を投入することで俄然コミカルな話になった。技術論も入ってはいるが、あまりスポーツ漫画という印象はなく、スポーツを切り口にしたメルヘンという味わい。

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[投稿:2007-12-31 02:50:08] [修正:2007-12-31 02:50:08] [このレビューのURL]

ベイスターズ選手をモチーフとはしているものの、かなり高度にデフォルメされている。しかも繰り出されるギャグのほとんどがデフォルメ部分から発しているため、現実のエピソードのパロディにはなっておらず、ベイスターズファン以外でも問題なく楽しめる内容になっている。ちなみに野球をしているシーンすら少ないため、野球の知識がなくても構わない。
ベイスターズ選手を描いた野球漫画なのに、ベイスターズの知識も野球の知識も不要で、それでいて面白いという不思議な作品。

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[投稿:2007-12-24 00:56:18] [修正:2007-12-24 00:56:18] [このレビューのURL]

今思えば当時の少年雑誌の印刷はかなり酷く、色が滲むような青インクは本当に読みにくかったわけだが、その滲んだ世界の中で読んでもおそろしくカラフルな漫画という印象を受けた。それまでの野太い線と熱い展開で構成される少年漫画の中にあって、極度に洗練された絵柄や都会的なギャグは衝撃的とも言えるほどだった。
再読してみると結構薄味でたわいもない話が多いが、今でも通用するセンスが凄い。
コミックスに収録されていた絵日記風漫画(暗闇に石を投げる話や2階から落ちる話)が爆笑もので、本編より面白かった。

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[投稿:2007-12-24 00:55:00] [修正:2007-12-24 00:55:00] [このレビューのURL]

竹本泉の原点ともいうべき作品だが、ほとんど作風は完成されている。絵柄はきわめて柔らかなタッチのかわいらしい絵で、最近の萌え系とは異なり万人受けしそうな感じである。その一方、ストーリーはしっかりと練り込まれたSFであり、そのアンバランスさが味わい深い。
基本は学園ラブコメのような設定ではあるが、あまり深い人物描写はなく、どこかずれた変なシチュエーションを穏やかに楽しむ構成。氏の作品全般について言える事ながら全くといって良いほど毒がないので、刺激を求める向きにはお薦めできない。
「チャチャ=モチャノチャ=ヌートの1」「きぴきゃぴ」など、ぶっ飛んだ言語感覚が作品世界を彩っている。

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[投稿:2007-12-20 01:13:09] [修正:2007-12-20 01:13:09] [このレビューのURL]

キーキー叫びまくる謎の生物(?)を描いた4コマ漫画だが、ストーリーもなく主義主張もなく、極めてワンパターンな「あるあるネタ」が繰り返される。落書き寸前の強烈なタッチと「キー」「キシー」という心の叫びは何か癖になりそうで、決して嫌いではない。
好き嫌いが極端に分かれそうで、あまり他人には薦められないが。

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[投稿:2007-12-20 01:12:17] [修正:2007-12-20 01:12:17] [このレビューのURL]