「まれら」さんのページ

総レビュー数: 112レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年02月12日

藤子作品だからといって教訓や風刺を期待してはいけない。ひたすら喪黒の独善ぶりを描く話であり、ブラックユーモアを一層推し進めた形でピカレスクものに近い。
まんが道やハットリくんの著名度のせいでかすんでしまっているが、本作や変奇郎・魔太郎などの作品群も強烈な印象を残す名作である。世間が思う以上にブラックな要素の強い作者だと思うが、自身の子供向けの作品やF氏の呪縛でブラックな作品にスポットが当たらないことは残念に感じる。
随分前にアニメ化されており、大平透氏の怪演が印象的だった。今読み直してみると喪黒の台詞で大平氏の声が蘇ってしまう。

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[投稿:2008-01-14 17:09:20] [修正:2008-01-14 17:09:20] [このレビューのURL]

HPのシュールなイラストに惹かれて読んでみた。緩い萌え系の漫画を予想していたのだが、終始一貫して特有の暗さがあり、何か特異な印象を受けた。癒しや萌えと言うには少し陰がありすぎるし、ギャグというほど笑うようなものでもなく、今一つ位置づけを図りかねる感じがする。あえて言えば昔話の印象かも知れない。
ただキャラクターは完成されており、グッズやイラストには向いているだろう。

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[投稿:2008-01-12 03:16:27] [修正:2008-01-12 03:16:27] [このレビューのURL]

感動的な話や教訓的な話を期待して読むと肩すかしを食うが、軽い近未来SFとして気楽に読めば十分面白い。珍妙な宿泊客や月面観光など、ギャグに見えながらも意外と考証が行き届いており、作者の懐の深さや余裕が窺われる。
小松左京氏のジュブナイル「空中都市008」と、どことなくイメージがダブる。

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[投稿:2007-12-20 23:34:06] [修正:2007-12-20 23:34:06] [このレビューのURL]

無駄なテンションの高さと深いのか浅いのかわからないギャグで、何とも濃い世界を形成している。笑えるか笑えないかで言えば、確かに笑える。
しかしながら、中野予備校や南蛮帝国という設定が大仰かつシビアすぎて、直接の笑いに繋がっていないように感じる部分もある。電柱組(県立地球防衛軍)のような底抜けのバカさではなく、少し癖のあるブラックな設定であり、極めて日常的なレベルで展開する笑いとのバランスが悪いように思える。(コアなファンにとっては、そこが魅力なのだとは思うが。)
このあたりの違和感は近作に至るほど顕著に感じるようになっており、防衛軍<中野予備校<アンチョビー<火星人といったところか。

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[投稿:2007-12-17 01:29:51] [修正:2007-12-17 01:29:51] [このレビューのURL]

若干低年齢向けに感じる部分もあるが、プロレスが熱かった当時を疑似体験できる。とんでもない悪役やデスマッチのオンパレードはキッチュな魅力大爆発で、プロレスがスポーツや格闘技の威を借ることなく、ただ「プロレス」として存在できた時代を感じる。
特筆すべきは実社会に与えた影響だが、40年も前の漫画のキャラクターが今でも普通に現実のリングに立っているのを見ると、本当に凄かったのだとしみじみ思う。プロレスファン・格闘技ファンならずとも一度は読んでおきたい作品である。
試合描写や技が古びてしまうのは致し方ないところだが、元気がない今のプロレス界が忘れたパワーを再確認できる。

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[投稿:2007-12-14 20:56:59] [修正:2007-12-14 20:56:59] [このレビューのURL]

密室芸というジャンルがある。限られた空間・限られた対象を相手に演じられるアングラ芸だが、致命的欠陥として、不特定多数に公開したときには、大抵の場合その神通力を失う。場のテンションをコントロールして笑いに昇華させる手法なのだから、当然と言えば当然である。(希有な成功例がタモリや茂木淳一だと思う。)
漫画にも仮に「密室漫画」というものが存在するとすれば、ながいけんの作品はまさにこの密室漫画に相当するのだろう。相手を楽しませようとか、ストーリーを理解させようという努力は放棄し、ひたすらキャラクターと言語感覚だけが暴走していく。正直、これを商業誌に掲載するのは冒険だった筈である。それでいて密室漫画に徹し切れているかと言えばそうでもなく、非常に中途半端な作品になってしまっている。投稿時代の氏の作品(チャッピーもの、ラスカル軍団もの)と比較しても、明らかにパワーダウンしており、惜しい。
とはいえ、設定や台詞の端々に異才が感じられるのは事実で、往時のノリを知る者にとっては、結構楽しめるのではないだろうか。

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[投稿:2007-12-09 22:24:51] [修正:2007-12-09 22:24:51] [このレビューのURL]

表紙の不思議な魅力でつい買ってしまった。漫画のような、絵物語のような、あるいは紙芝居のような不思議なテイストで、既存のジャンルには納まらないように思う。
ストーリーはあまり進んでいないので何とも言えないが、気にはなる作品。(得点は暫定)
なお、「猫村ねこ」というネーミングセンスには脱帽した。

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[投稿:2007-12-01 00:22:54] [修正:2007-12-01 00:22:54] [このレビューのURL]

5点 ねじ式

比類なき作品であることは間違いないが、世間の評価ほどには面白いと思わない。
心象風景の残滓が随所に見られ、どっしりと読み応えはあるのだが、チヨジやべんさんや李さんが織りなすピラミッドの頂点に存在していることを「読者が知っている」からこそそう感じられるのだと思う。
単体の評価としては正直3点がいいところだが、つげ作品のカンバンであることに遠慮して5点献上。

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[投稿:2007-11-22 01:15:09] [修正:2007-11-22 01:15:09] [このレビューのURL]

緩く読むにはさほど悪くない。
情緒垂れ流しの追憶漫画ではあるが、作者と年代が近いせいか、感情移入できる時代設定やエピソードはなかなかの出来。
惜しむらくは、掲載誌的にターゲットを外している感があるところ。周囲のページから随分浮いていた。やはり少女誌向きか?

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[投稿:2007-11-18 21:19:05] [修正:2007-11-18 21:19:05] [このレビューのURL]

5点 SLAM DUNK

[ネタバレあり]

主人公桜木はいきなり身体能力抜群として描かれ、バスケットボール初心者という点を除けば何らハンデを背負わない形で登場する。メンタル面での能力ならまだしも、いきなり身体能力抜群と言われても「それなら上達して当然でしょう」程度の感想しか抱けないし、トントン拍子で成長する話が繰り返されれば、古典的なスポ根を期待して読んでいたのでは肩すかしを食らってしまう。無論バスケを通して何らかのドラマを表現しようとするのなら設定として理解できるが、ストーリーは著しく試合偏重で進行し、読者に感情移入する隙を与えない。
さらには周囲のキャラクターもいずれ劣らぬ超人揃いであり、その主人公すら埋没しがちであっては、何のための設定かと思ってしまう。
バスケットボールを題材にしたという点で騙されてしまうが、例えば古典的な野球漫画で言えば「打率10割の打者」や「200キロを投げる投手」ばかりが登場する話を描くようなものであり、設定の凄さと漫画的な面白さが直結するかと言えば疑問である。
おそらく作者はバスケが好きなのであろうし、スーパープレイが見たいという心情も理解できるが、それがそのまま形になった様な漫画である。普通程度には面白いが、面白さの質はまさにスポーツ観戦の面白さに類似しており、漫画を使って表現する必要性はないように思う。
余談ではあるが、脇役扱いの木暮や安田の方に人間的魅力を感じてしまうのは、古い読み方なのだろうか?

ナイスレビュー: 3

[投稿:2007-02-15 01:19:43] [修正:2007-02-15 01:19:43] [このレビューのURL]