「そのばしのぎ」さんのページ

総レビュー数: 194レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月04日

一巻を読んで、え?ジアース?コエムシ?
これってジョージ秋山の「ザ・ムーン」のオマージュ?と思ったら、秋山先生も推薦文も寄せていたのですね。
それにしてもまたえらくマイナーな名作を引っ張りだしたものだ。
ちなみにアニメは未見です。内容変わってるみたいなので見ない方がよさそうですね。

「ザ・ムーン」は最終的に到達できなかった希望の儚さが描かれていましたが、「ぼくらの」は命と引き換えにロボットを動かす事ができる為、一戦する毎にパイロットが死亡していく事が確定されています。
地球に未来はあるかもしれないが、主人公達には生きる未来がありません。
どことなく「アルジャーノンに花束を」を彷彿させる内容です。
うん、もう少しタイトル凝って欲しかったな、そういう意味では。

大一のように家族を守る為に命を投げ出す。これは分かりやすいです。
しかしチズのように自分を辱め、殺したい程に憎んでいる相手を助ける為に
自分と自分の子供の命を投げ出さねばならなくなった場合、暴走しない人間などいるだろうか。

子供達には戦闘をしないという選択支も存在する。
もちろんその場合は地球自体が消滅する。
自分達が生きるためにパイロットに死んでくれというのは、正義ではなくエゴだろう。
実際にこのような状況になれば子供達は見殺しにされそうですが、この物語では出来た大人が多いです。

単純に15人死んでいく展開であれば途中でダレるかなと思ったが、契約者の人数が合わないという謎、コエムシ達の正体という展開があり、良い具合に消化されていた。
なかなか面白い作品ではないでしょうか。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-01-04 05:50:26] [修正:2011-01-04 05:56:52] [このレビューのURL]

0点 Doubt

冒頭から誰が犯人か?という煽り文句。
囚人のジレンマにかけた謎解きミステリーか・・・と、思って読んでみたら、ただのオカルト話だった。
1巻から「推理物なら怪しいのはこいつかこいつだなぁ」と思いながら読み進めたが、結局犯人は何のひねりも意外性もなかった。
4巻を読んだ時の脱力感は20世紀少年のカツマタ君に匹敵する。
まぁ、そもそもノックスの十戒破ってるし。
ひぐらしも最初はミステリーとして宣伝しまくっていたらしいから、こんな内容でも大丈夫と思ったのだろうか?

絵や雰囲気は良いので2、3点をつけてよい気もするが、この思い切りのよいザンネンさが半端な点数はつけるなと言ってる気もする。
ここまで肩透かし食らわせてくれると、ネタとしては楽しめるので、是非とも友人・知人に広めてほしい。ただし、時間を返せと怒られる可能性も非常に高いので、シャレが通用する相手に限る。
おそらく原作者でもつかない限り、この作者の漫画を読む事は今後ないと思う。

マンガにゴールデン・ラズベリー賞があるなら是非とも一押ししたい作品。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-09-30 18:46:15] [修正:2011-01-03 09:21:46] [このレビューのURL]

タイトルに惹かれて手に取ってみたが看板に偽りあり。
心理学的要素などほとんどない、ただのダジャレ漫画。
それでも面白ければいいのだが、ギャグが寒すぎる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-30 17:05:47] [修正:2010-11-30 17:05:47] [このレビューのURL]

序盤はそこそこ面白くなりそうな雰囲気があったのだが。
思徒の背景と過去、みちるとアカシック・レコードの関係など、
後から次々と話のスケールが飛躍していく。
ここまで風呂敷広げすぎると、話の続きも終わり方も何でもありとしか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-14 23:59:18] [修正:2010-11-14 23:59:18] [このレビューのURL]

この人の絵のタッチは流行り廃りに無縁な分、古い作品などを今読んでも全く古臭い印象は受けない。
それでいながら、作品によって見せる顔が異なる。
この辺りの作品を読んでいると、なんとなくフランスの挿絵画家グランビルなどにも似たシュールな趣がある。
この擬人化されたソーセージや鼠など、栞と紙魚子のシリーズとはまた違って非常に味わいがあります。

あくまでも「グリムのような物語」であってグリム原作ではない。タイトルなどから元の作品を想像して読みはじめながらも、いつの間にか諸星流の迷宮世界に迷い込んでしまいます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-14 23:28:34] [修正:2010-11-14 23:28:34] [このレビューのURL]

発表された当時の世相、歴史考証の間違い、などなど、現代となっては考え直すべき問題もあるだろう。

作者は決して反戦・左翼思想といった啓蒙漫画を描こうとした訳ではなかったと思う。単純に戦争という運命に翻弄された人間達の生きようとする力を描いたのだと思う。

悲惨な描写がトラウマになるという意見もあるが、生きるという事は、時代や場所が変われば本来これだけ重い話になるという事だろう。
死体や汚臭ひとつないファンタジー架空世界の戦争といった娯楽も悪くはないが、それしか読まないのでは平和ボケと言われても仕方がない。
そして、小説や映画以上にマンガという表現手段が視覚・文字という両面から、こういったメッセージを乗せるに適したメディアであるという事を改めて知らされる。
ただし、教育の一環として押し付けるのもいかがな物かとは思うが。

ネットの時代になり、海外の反日教育を受けている国民などが事あると日本に対して「もう一度原爆を落としてやれ」といった中傷をするのをよく見かける。

こういった人達には、被爆国日本に生まれたからという感情からではなく、核がもたらす惨劇の知識として読んで欲しい本でもある。
そういった認識を持っていれば、例え嫌いな国家が相手でもそのような発言がどれだけ軽率で非人道的な事を指しているのか位わかる筈である。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-11-14 04:53:02] [修正:2010-11-14 18:16:47] [このレビューのURL]

「戦争論」以降は読まなくなった。
小林氏の思想に同意できる・できないの観点ではなく、
単純にマンガとして面白くなくなったと感じたから。

オウム真理教信者について「こいつらはわしのおぼっちゃま君や東大通を読んでないから、実際に自分の常識から外れた存在である麻原彰晃に疑いも持たず傾倒するんだ」といった旨の主張をしています。
こういった部分は本当に真理をついていると思う。

しかしながら、これはそのままこのゴーマニズム宣言にも当てはまる。
他に例のないスタイルで展開されるこの漫画。少年誌などの連載漫画しか知らない者が読むとちょっとしたカルチャーショックかもしれない。

だからといって小林氏の描く事を鵜呑みにする事はまた問題だと思います。
いろんな事に疑問を持ちながら読むのが良いのではないだろうか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-12 13:16:49] [修正:2010-11-14 04:20:08] [このレビューのURL]

身に覚えがあるとただのフィクションとは思えない話。
ただし同人の世界に共感できず、首をかしげる箇所もいくつか。
遥と姉の確執など、どうでも良い話を変にプライドで持ち上げているようにしか見えない。
あまり「おたく」を正当化するのも考え物。
マンガ・アニメに限らず、どんな趣味・娯楽でも限度を越えると新興宗教に入って買わされる壷と何ら変わりはない。本来おたくという物が嫌われていたのは、自分の価値観だけに囚われてしまっていたからではないだろうか。
趣味を正当化する事ではなく、現在背負っている家族・絆といった物を正面から見つめる事で、この話は成り立つのだと思う。

序盤の叶が風邪を引く話はせめて単行本化の際にもっと手前の話数で収録すべきだった。親子関係があそこまで構築されての耕太の失敗は、失敗というより人として大丈夫か?というレベルに思える。

めぞん一刻はそう好きな訳でもないですが、ここまでオマージュしているのには笑えました。

余談ですが、2000年に岸谷五朗主演で「神様のいたずら」というドラマをやっておりました。
この漫画と同じくうだつの上がらないダメ男の元に突如、娘だと名乗る女の子が現れるという話です。
そのドラマでは、主人公は安月給とはいえ一応はサラリーマン。
愉快な下宿人達も出てきませんでしたが、なかなか面白かった。あれビデオ化してくれないかなぁ。
この漫画もあぁいったドラマでやれば結構面白いのではないだろうか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-05 02:34:11] [修正:2010-11-14 04:00:53] [このレビューのURL]

著作権が切れ、新訳ブームに便乗したコミカライズだと思うが、
原作が原作だけにこういったベタな漫画家でなく
もう少しアート志向の強い漫画家、たとえば時代は古くなるが
たむらしげるや鴨沢祐二あたりにやって欲しかった。
ぼっちゃんの登場シーンなど、あまりにバタ臭くて読んでいる方が恥ずかしくなる。
まるでプロポーションのひどい体型の人がするコスプレのよう。
しかしながら、原作が名作であるのであまり低い点数もつけられない。

ただ宮沢賢治にしろテクジュペリにしろ、著作権切れ文学作品のコミカライズはもっといろいろ挑戦してよいのではないかと思う。
出来る事なら漫画家の持ち味を加えて。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-11 19:49:32] [修正:2010-11-11 19:51:37] [このレビューのURL]

イエス・キリストと新約聖書の世界を舞台に繰り広げられるSF作品。
タイムトラベルがテーマとなっているが、肉体を伴って過去の世界を遡る他のSF作品と異なり、精神だけが過去を遡り、波長の合う人間に同化するという設定。

歴史の改竄を目論む犯罪者がナザレのイエスに乗り移り、それを阻止せんとする主人公は使途ペテロに同化する。
意外なのが、裏切り者として知られるユダがこの物語では年端もいかない少年であったこと。

地味ではあるが、聖書に出てくる話をうまく組み込んであり非常に面白い。
ノリ・メ・タンゲレ(私にふれるな)というタイトルも本来は聖書の中の言葉であるが、SF的解釈が加えられていたり、ユダの台詞となっていたり、面白いキーワードとなっている。

最近のSF漫画作品というとどうも似たりよったりの内容ばかりだが、
この位骨のある物も読んでみたい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-11 02:00:39] [修正:2010-11-11 02:00:39] [このレビューのURL]