「まれら」さんのページ

総レビュー数: 112レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年02月12日

凡百の漫画が叙事詩だとすれば、この作品は叙情詩なのだと思う。設定の無茶苦茶さや展開の唐突さなど些事に過ぎない。読者はただシュウジとチセの感情を辿り続けていればよい。むしろストーリーを追おうとすることで、却って筋道を見失いそうである。
形而上的なものを素材のまま提示すれば、消化に悪いのは事実である。万人受けするとは到底思えないが、うまく折り合った読者にとっては、非常に面白いものになるだろう。(レビュー点数の見事なバラつき具合を見るに、これほど極端な評価を受ける作品も珍しい。)
私にとっては衝撃的な作品だった。読後は何ともいえない喪失感・寂寞感に襲われた。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-11-23 15:33:38] [修正:2007-11-23 15:33:38] [このレビューのURL]

5点 ねじ式

比類なき作品であることは間違いないが、世間の評価ほどには面白いと思わない。
心象風景の残滓が随所に見られ、どっしりと読み応えはあるのだが、チヨジやべんさんや李さんが織りなすピラミッドの頂点に存在していることを「読者が知っている」からこそそう感じられるのだと思う。
単体の評価としては正直3点がいいところだが、つげ作品のカンバンであることに遠慮して5点献上。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-22 01:15:09] [修正:2007-11-22 01:15:09] [このレビューのURL]

1巻〜3巻くらいまではゲーム関連のパロディ中心であり、元ネタを知らないと全くわからない世界。(もっとも、知っていてもさほど爆笑というわけではない。)
俄然調子が出てくるのが3巻後半以降の絵日記漫画部分であり、ヒロポン暴走以降のユルユル具合は現在へとつながる定番ネタになっている。
絵日記漫画や楽屋オチが嫌いでなければ、そこそこ笑える佳作。
「そねみ」も含めて、漫玉日記シリーズほどアクが強くないので、手軽に流し読みできる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-22 01:12:48] [修正:2007-11-22 01:12:48] [このレビューのURL]

ギャグとして非常に面白い。いわゆる萌え系の漫画ではあるが、たとえそうでなくても漫画として成立している。
この手のギャグは、「面白い絵」で表現するのが古典ではあるが、ボケ役の美羽を筆頭に可愛い少女を並べ、日常的な風景で描かれる日常は、却ってシュールですらある。
いかにも今風の萌え要素と、比較的オーソドックスな笑いの構成の落差は、作者の計算のうちかも知れない。微妙に瓢箪鯰な印象を受けるが、それも笑いの要素か。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-21 19:23:21] [修正:2007-11-21 19:23:21] [このレビューのURL]

いつの時点からか、さっぱり面白くなくなった。取材内容をすべて吐き出さねば気が済まないのか、ストーリー置き去りで受け売りのネタがだらだらと綴られていく展開が多く、辟易する。撮りっぱなしの素人ビデオを見せられている気分。
その間に挿入される浅薄に社会派ぶった展開が、これまた嫌味で、相乗効果でつまらなさを増幅させている。
昔はもっと面白かったし、何よりも料理が旨そうだった。得るところのない蘊蓄漫画・不味そうな料理漫画は存在意義がないのではないだろうか。
10年前に終わっていれば名作だった。10年前までの面白さで、3点献上。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-21 00:32:17] [修正:2007-11-21 00:32:17] [このレビューのURL]

ネタとしてはねじ式やゲンセンカンの方が有名かも知れない。映画化された点を除けば実に地味な作品。
作品終盤で語られる井月は、安政年間から明治半ばまで伊那谷を漂泊し、芭蕉や西行にあこがれたまま野垂れ死んだ。やがて昭和の世には、山頭火もまた伊那谷を訪れる。漂泊の人は漂泊の人にあこがれ、彷徨い続けるのが宿命なのだろう。つげ氏もまた同じなのかも知れない。
井月の話が淡々と語られ、それまでの作中の喧噪が浄化されてゆく。陰鬱な話の筈なのに、なぜか清々しい結末。井月の辞世の句で締めくくられた後は、自分もまた無能の人にあこがれる穏やかな読後感。
つげ作品の頂点と感じた。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-11-20 00:40:31] [修正:2007-11-20 00:40:31] [このレビューのURL]

緩く読むにはさほど悪くない。
情緒垂れ流しの追憶漫画ではあるが、作者と年代が近いせいか、感情移入できる時代設定やエピソードはなかなかの出来。
惜しむらくは、掲載誌的にターゲットを外している感があるところ。周囲のページから随分浮いていた。やはり少女誌向きか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-18 21:19:05] [修正:2007-11-18 21:19:05] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

連載中の漫画であるため、あえて9点としているが、このままの勢いで連載が続けば間違いなく10点献上できる作品。
史実と虚構のバランスがきわめてよく、史実に詳しい読者も、そうでない読者も一様に楽しめる作品になっている。(勿論ある程度の予備知識があった方が、深く読めそうではある。)
壮大な戦争描写や派手な戦闘シーンに気を取られるが、敵役・脇役の端々まで実に個性的であり、わずかなセリフや漫符で暗示される心理描写も出色である。安易に表現してしまってもストーリーに影響しないレベル(尾兄弟、黄離元、シュンメン、昌文君の部下、信が喧嘩をふっかけた伍の面々など)まで、しっかりキャラが立っている。
ただ、あまりに緻密に描かれているため、通常レベルでは問題にもならない程度のアラが目立つのも事実である。例えば壁だけ諱で呼ばれなかったり、山の民の中で楊端和(史実では漢民族?)だけ漢字表記だったり、昌文君や肆氏は敵方や部下にまで称号で呼ばれたり、なんとなく気になってしまう。

(以下は漫画中に未だ登場しない史実を記しますので、知りたくない方は飛ばしてください。) 

作者は、今後どこまで描くつもりか気になる。史実を辿れば、当然李信の惨敗や昌文君の裏切り、壁の死(壁死(笑))、始皇帝の暴政などに到達するが、娯楽作品としてはあまりストーリーに乗りにくい部分かと思う。そう考えると、あまり遠くない時点でフィナーレとした方が作品としてのまとまりはよいと思うのだが、これほど面白い作品の終わりを願うのも変な話ではある。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-18 19:52:14] [修正:2007-11-18 19:52:14] [このレビューのURL]

「ドラえもん」を読んだことのない日本人がどのくらいいるだろうか?現代日本漫画の代表作であることは間違いないだろう。いい歳をした大人の間でも、「ドラえもんの道具で何が欲しい?」といった論議が十分に成立するのはすごいことだと思う。
万人受けするストーリーは感動や爆笑といった類ではないが、あれだけのアイディアをコンスタントに描き続けた才能にはただ敬服するのみである。
余談だが、のび太のママの「なりませぬ」や静香ちゃんの「ヘ長調ね」など、本筋とは関係ない台詞に爆笑のツボがあることが多い。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-03-12 00:33:14] [修正:2007-03-12 00:33:14] [このレビューのURL]

確かに面白い。
しかし漫画の面白さとは少し質が違うような気がする。例えばジョークや漫才の面白さに近いのかも知れない。ネタ勝負であり、オチを知ってしまったら二度目は面白さが半減する。(もちろんストーリーを読ませる作品ではないのだが。)
力作ではあると思うが、一度読んだら十分と思う方も多いだろうと感じた。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-03-06 19:56:56] [修正:2007-03-06 19:56:56] [このレビューのURL]