「まれら」さんのページ

総レビュー数: 112レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年02月12日

四畳半でみっともない片意地を張っているサルマタの怪人が、実は一番カッコいい。
例えばトチローや鉄郎は、宇宙へ行くからカッコいいわけではなく、銃が上手いからカッコいいわけでもない。そんなカッコよさを純化させた究極がおいどんだとするのは誉めすぎだろうか。
流されてしまえば楽なのに、どうしてもそれができないとおいどん自身が知っているし、読者もそれを知っている。そこがまたみじめで、カッコよくて、やがて哀しい。

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[投稿:2008-02-11 01:00:01] [修正:2008-02-11 01:00:01] [このレビューのURL]

ギャンブル漫画かと思って読んでいたのだが、どうもおかしい。「用心棒アクション」なるジャンルらしい。しかしパチンコやパチスロの勝負を題材にしておいて、全くその魅力が感じられないのはどういうことだろうか。作者はパチンコやパチスロが嫌いなのではないだろうか。
パチンコやパチスロの勝負シーンを描きたいなら、まずその前提として機種の面白さやスリルを伝えるべきだろう。独自の機種を登場させるのはよいにしても、陳腐なこけおどしばかりでは、全く魅力が伝わってこない。
また、確率や機能についてもっともらしい解説が挿入されるが、専門誌でもないのにわざわざ読みたがる者は少ないだろうし、その反面パチンコ打ちなら誰でも知っている程度のネタで、正直煩わしいだけ。
肝心の勝負そのものも乱雑なばかりで、理屈抜きで唐突に主人公が勝って終わる。そしてお決まりのように悪趣味なイメージ絵が挿入される。
必然性や方向性がさっぱり見えないストーリーといい、嫌悪感をもよおす地獄絵のようなキャラの造形といい、どこを楽しんでいいのかさっぱりわからない。ただの下品なチンピラ漫画という印象。

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[投稿:2008-02-09 01:29:40] [修正:2008-02-09 01:29:40] [このレビューのURL]

キャラ設定はいかにも少年漫画っぽい軽さがあるが、内容はくそ真面目に真っ正面から青春を描いたラブコメの王道。犯罪者はいても悪人のいない生ぬるい世界の中で、ひたすら青春が爆発している。臆病さや蹉跌など、すべて爽やかに笑い飛ばせる若さが素晴らしい。
あまりにも純真でストレート過ぎる話のようにも思うが、ここまで直球勝負で来られては、もはや照れや気恥ずかしさを感じる余裕はない。ただ素直に「あの頃」の気持ちに戻ればいい。
羨ましいほど清々しい作品。

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[投稿:2008-02-09 01:13:44] [修正:2008-02-09 01:13:44] [このレビューのURL]

タイトルからして暴走気味。いまさら三木のり平でもあるまいに、若い読者のどの辺をくすぐろうというのか。そんな非常に困惑させる味わいが本編でも繰り広げられる。
時代劇パロディの需要がどのくらいあるのかわからないが、それでも水戸黄門や遠山の金さん程度なら万人受けする可能性もある。しかし「新五」や「人形佐七」を前振りなくネタにする勇気はなかなか見上げたものではないか。「花の生涯」のパロディなんて、元を知らなければ何のことやらさっぱりだろう。時代劇を見ない方にはお世辞にも薦められない。
しかし元ネタさえわかれば楽しめることは請け合いだし、深すぎるギャグが爆笑を誘う。作者のテレビに対する造詣や愛情を存分に味わえる作品。代表作と言えるだろう。

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[投稿:2008-02-05 00:56:25] [修正:2008-02-05 00:56:25] [このレビューのURL]

5点 B型H系

実に他愛もない下ネタ4コマだが、ベタなネタと癖のない絵柄で気軽に楽しめるのは確か。小須田をひたすら地味(ある意味無個性)に描写することで、男女読者の反発をうまく避けているように感じる。
女性キャラは、流行りものをずらりと揃えており壮観。それでいて主役がかすんでいないのは構成が上手いせいだろう。女性作者ならではのサービスと余裕を感じさせる。

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[投稿:2008-02-05 00:55:31] [修正:2008-02-05 00:55:31] [このレビューのURL]

自宅のごく近隣を中心に、極めてありふれた日常を描いているだけのはずなのに、何故か読んでいる方まで楽しくなってくる。作者の童心のような興奮が伝わって来るような、そんな暖かい作風。街に対する好奇心と愛着がしっかり感じられるのも好感度が高い。
ただ暖かいだけでなく、ギャグ漫画としてもレベルが高いのもよい。飾らない本音のコメントと作者特有の含蓄ある言い回しが、絵柄に似合わないスパイシーな笑いを誘う。
これは散歩に行きたくなる。

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[投稿:2008-02-04 19:25:20] [修正:2008-02-04 19:25:20] [このレビューのURL]

6点 鬼市

一応オムニバスの形式をとってはいるが、燕光(燕見鬼)の活躍を描く連作になっている。怪異譚の味わいを残しながらも特に後半は冒険に比重がかけられ、また謎解きの要素もあって面白い。以下各話寸評。
「鬼市」民話調の怪談だが、どこかとぼけた味わい。落語の首提灯を彷彿とさせるあたりが要因か。(6点)
「羽化庵の来訪者」阿鬼の成長後の登場を語る話。これもまた民話的味わい。(5点)
「石の中の女」作者には珍しく、官能要素を取り込んだ怪談。「厄介なやつだった」で済ませる淡泊さが味わい深い。(5点)
「チョウ鬼」何故か挿入される阿鬼の幼少時の話。さらにスターシステムに似た二重虚構が仕掛けられており、気の利いた娯楽作品になっている。(7点)
「空園の戦い」1回だけの脇役と思われた長命さんの再登場。その後の冒険談の幕開けになっている。(5点)
「艮嶽の龍」時代や政治背景が語られ、前作に続いて冒険談のプロローグ。(6点)
「推背図」人物の見立てが非常に面白い。これをさらりと漫画にした作者の知識と力量に圧倒される。(7点)
「小玉」謎の呂氏の登場。サスペンス仕立てで、珍しく燕見鬼が戸惑ったりしている。(6点)
「天后」とりあえず推背図の謎解き。だが武則天を知らなければ面白さ半減。何か作者が暴走気味な感じがしないでもない。(7点)
「鬼弾」エピローグではなく、明らかに次巻への繋ぎ。(5点)

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[投稿:2008-02-04 00:07:09] [修正:2008-02-04 00:07:09] [このレビューのURL]

利己主義むき出しの人間模様を、美化することも卑下することもなく描いている。読んでいて辛くて息苦しい展開が多く、いつかは明るい展開が待っているかと思って読み進めたが、辛いままで終わってしまった。
誰一人救われないままの終わり方も陰鬱で残酷であり、むしろ悲惨さがこれで終わってくれるという安心感さえ与えるほどだった。
しかし忘れられない漫画であることは確かである。人の心を揺り動かすのが名作であるなら、やはりこの作品も名作と言えるだろう。

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[投稿:2008-02-03 00:58:13] [修正:2008-02-03 00:58:13] [このレビューのURL]

不条理漫画のパイオニア作品の如く言われているが、さほど取っつきにくくはない。確かに起承転結を意図的に壊してはいるものの、朝倉世界一や高野聖ーナのようにどこで笑ったらよいか戸惑うような作品は少ないように思う。
非常に多くのキャラクターが登場したはずだが、やはり記憶に残るキャラクターと言えばかわうそだろう。初登場から数回の「かわうそだから」の台詞には、暴力的ともいえるほどの可笑しさと、それまでに見たこともないギャグに接した興奮があった。
やがてかわうそ自身が意図的にギャグを仕掛けるようになり、かえってシュールさが半減したのはやや残念に感じたが。

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[投稿:2008-02-03 00:56:44] [修正:2008-02-03 00:56:44] [このレビューのURL]

絵の上手い下手で漫画を評価したくはないが、いわゆる上手い絵から意図的に遠ざかろうとしている作者は稀少だと思う。しかし野太い線と大胆なコマ割りで描写される世界は、いかにも熱い話に似つかわしい。
もともとストーリーを読ませる作風でもないが、それにしても読者がついて行けないほどの突飛な展開が続く。将棋漫画でありながら将棋の醍醐味を描くつもりでもないようで、現時点では方向性を見いだしにくい。ただ作者が巨大な何かを描こうとしている情念だけは伝わってくる。今後が楽しみな作品である。得点は暫定。

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[投稿:2008-02-03 00:55:56] [修正:2008-02-03 00:55:56] [このレビューのURL]