「とろっち」さんのページ

31歳の小説家・内海真一はスランプ中。 そんな彼の家に1匹の猫と10歳の少女・森本遥がやってくる。
小説が書けなくなっていた真一に担当編集が提案したのは、遥をモデルにした恋愛小説だった…。
少女は思った。「そばにいたい」と。
男は感じた。「放っておけない」と。
そう…これは恋のはなし。

31歳男性と10歳少女のラブストーリー。
とんでもないシチュエーションに聞こえますが、ファンタジーっぽくならず、面白いです。

主人公の真一は、世間一般が作家に対して抱いているようなステレオタイプ的な性格そのままで、
厭世主義的なところがあって、中身は悪ガキで、立派な大人とは言い難いキャラ。
人との付き合い方も不器用で、子供嫌い。 そう、子供嫌い。 要するにロリコンではないんですね。
空き家だと思い込んで真一の家に入り込んだ遥に対しても邪魔臭いとしか感じておらず、
厳しい(というか結構キツい)言葉で追い返そうとします。
まあこれは大人としては当然の行動か。 変質者として通報されたらアウトですし。

その後、複雑な家庭環境のために行き場のない遥を出入り自由にしてあげることになっても、
あくまで真一の遥に対する感情は、自分と似た境遇による同情、そして保護者のような気持ち。
一方の遥はおとなしいながらも芯の強い子で、自分の気持ちに真っ直ぐ向き合います。
と言うか10歳だから駆け引きとかのしようもないんですけどね。
真一に対する「好き」の気持ちも、恋愛感情なのかどうかよくわからない。

遥は初恋を自覚していくものの、少なくとも真一の遥に対する気持ちはほぼ同情一択で変わらず、
そういう意味ではラブストーリーとはなっていないのが現状です。
そう考えてみると、映画「レオン」のような関係に近いかもしれません。

ただしここで秀逸なのがこの作品のタイトル。 そうなんですよね。 「これは恋のはなし」。
ぶっきらぼうながらも端々で優しさを見せる真一と、その優しさに気付いてさらに惹かれていく遥。
その二人の関係がどこでどう変化していくのか。 そこがこの作品の見どころだと思います。

もともと連載当初は3巻程度で終了予定だったそうですが、思わぬ人気が出たためか、
現在(3巻まで刊行)のところはまだまだ終わりそうにありません。
その代わりに新キャラが出てきましたが、これがまたグダグダ気味で。
中途半端にトラブルを起こして中途半端に解決して中途半端にレギュラーキャラになった感じ。
少なくとも2巻までの展開とはちょっと違ってしまったように思えるので、立て直しに期待。

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[投稿:2011-10-11 00:59:59] [修正:2011-10-11 00:59:59]