「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 300レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年10月09日

これでもかっていうぐらいに王道でありながら、他の作品とは明らかに一線を画した存在感。
溢れんばかりの新鮮さ、瑞々しさ、爽やかさ。
ストーリー、絵柄、登場人物の個性、醸し出す雰囲気、すべてが高いレベルにあると思いますが、
爽子のキャラクターがこの作品をさらなる高みへと引き上げています。
そのピュアホワイトっぷり、頑張りっぷりがいじらしくて、本当に応援したくなります。

ちょっとしたエピソード、ちょっとした心理描写をも、丁寧に、繊細に、紡いでいったこの作品。
読んでいてこそばゆくなるような展開やセリフも、またそれがクセになってきます。
何だかベタ褒めですがしょうがない。この作品、大好きです。

前半の頃の突き抜けるような面白さをまた期待します。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-28 17:46:07] [修正:2010-03-28 18:16:57] [このレビューのURL]

主人公は祖父譲りの強い霊感を持ち、霊的なトラブルによく巻き込まれますが、
彼は退魔などを専門としていない一般人であり、基本的にはただ「見える」だけ。
妖怪や霊の類と戦ったり、逆に仲良くなったりするのではなく、
あくまでも畏怖の対象として描かれている点が良いです。

伏線が効果的に張られたミステリー仕立てのストーリーと、繊細で艶やかなタッチの幻想的な絵柄。
作品の雰囲気は、時にシリアスに、時にコミカルに、時にほのぼのと。
しかしその裏側には、気を抜けば引きずり込まれる恐怖が常に存在しており、
生と死が隣り合わせで身近にあることを感じされてくれます。

和の美しさ。迷信の怖さ。伝統の大切さ。そして人の思いの強さ。
恐ろしい話も、心温まる話も、考えさせられるような話もあり、
読むごとにじわじわとその面白さが伝わってくる良作です。
ちょっと読んだだけではこの作品の良さが伝わりにくいのが残念。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-28 17:29:52] [修正:2010-03-28 18:15:36] [このレビューのURL]

8点 魔女

わかりやすい作品ではないです。
が、「この世はすべて理解できることだけではない」ことを、圧倒的な表現力で描写している様は見事。
ページをめくる度に色が見え、音が聞こえ、匂いが感じられる感覚。
理性ではなく感覚に直接訴えてくる衝撃。
台詞の一言一言が重く、鋭く、深く、読者をえぐります。

自然と共存し、自分たちの土地を愛し、文化を育んでいくこと。
既存の論理や常識の範囲外にあるものを受け入れること。
「言葉で考える あなたは 言葉を超えることは、考えられない」
その雄大なテーマに想像力を刺激される作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-20 22:47:25] [修正:2010-03-22 19:45:13] [このレビューのURL]

6点 かりん

吸血鬼系恥じらいラブコメ(作者談)。

一見お馬鹿でドタバタな作品に見えますが、全体の雰囲気は暗く、重いです。
「不幸」がキーワードの一つでもあり、家族関係の描き方なんかも独特です。
ラブコメ部分が甘ったるすぎるだけに、その対比が際立っています。

ラブコメになったのは作者の意志ではなく編集部の陰謀とのこと。
なので、ラブコメ色を出そうと逆に力みすぎたのか、序盤は若干空回り気味かも。
落ち着いてきた中盤以降はしっかりとしたストーリーが展開されています。

全般を通してきっちり話が作られ、上手くまとめられた作品です。
やっぱり終わり方のすっきりした作品は気持ちいいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-20 22:33:43] [修正:2010-03-20 22:34:40] [このレビューのURL]

読んでいて温度がはっきりと感じられる作品。
寒暖が入り混じり、その温度差が強く印象的です。

将棋での勝負は、研ぎ澄まされ、冷たく凍てついた世界。
そしてその凍りついた心を優しく温かく溶かしてくれるあかりたち3姉妹。

冷たさと、温かさと。 寒くて、暖かくて。
まるで3月のように。

温もりに慣れていない主人公が本能的に温かさから逃げていく様が、なんとも切なくもどかしいです。
その温かさに身を委ねることは決して悪いことではないのに。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-03-15 22:27:26] [修正:2010-03-15 22:27:26] [このレビューのURL]

キャプテン翼の次に長く続き、キャプテン翼の次に売れたサッカー漫画。

自分と年齢の近いサッカー経験者なら、「必ず」と言ってもいいほど
ヒールリフトやクライフターンを練習したことがあるはず。
うちのチームなんか皆で真剣にフラッシュパスの練習をやってました(もちろん遊びで)。
かく言う自分も、試合中にダブルヒールを試みて監督にかなり怒られました。

そんなこんなで当時のサッカー小僧にかなりの影響力を及ぼしたこの作品。
この頃はサッカー漫画も今ほど多くなく、比較対象となるのがキャプテン翼やリベロの武田など。
それらに比べるとずっとちゃんとしたサッカーをやっていたのが妙に新鮮でした。
この作品の良いところは、主人公だけでなく脇役もしっかり描き、活躍の場を作ってあげていること。
それによってそれぞれの選手にかなりの思い入れができ、作品に親しみやすくなっています。
平松や神谷なんかはトシよりずっと活躍していたかもしれませんけど。

冬の静岡県予選決勝までは本当に好きでした。
その後は「困ったら最後にトシが点を獲る」パターンが横行してしまい、
試合の緊張感やワクワク感がなくなってしまったような気がします。
現実にそういう選手がいれば凄く頼りになると思いますが、
残念ながらこの作品ではどうしてもご都合主義みたいなところだけが鼻についてしまいました。
あと、アイドルとかの展開もはっきり言って全く不要でした。

当初はちょっと大人っぽくて熱い、本格志向の少年サッカー漫画でした。
この後のシリーズは、どんどん安っぽい感じになってきて、どうにも悲しい限りです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-15 22:19:03] [修正:2010-03-15 22:21:15] [このレビューのURL]

難しいテーマですが、不器用でドライながらも、ほのかに温かくて優しい物語です。
そういう空気を醸し出しているのはダイキチの漢っぷり。格好いいです。

第1部はダイキチ視点での子育て奮闘記、
第2部は主にりんの視点で、高校生としての等身大の思い、悩みが描かれています。

第1部の続きをもっと見てみたかったのが正直な感想です。
が、反対意見や批判が多く出ることが予測できたにもかかわらず、
敢えて新しいステップへと進んだ作者と関係者の決断には、ただただ敬意を表したいです。

第1部が面白すぎただけに、好きだった人は慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、
第2部だって捨てたものではないです。
と思っていたら、第2部もどんどん面白くなってきました。
作者が本当に描きたかったのは、もしかしたらこっちだったのかも。
年月が過ぎてもテーマは同じ。単純な恋愛ものにはしてほしくないです。

家族を持つとはどういうことか。親子とは。2人の生活は。将来は。
ダイキチは、りんは、どういう答えを出すのか。そもそも答えなんてあるのか。
温かく見守っていきたい作品です。

作者がこの作品のゴールをどこに設定しているかにもよりますが、
いつ第3部に飛ぶかわからないので、そういう意味でも目が離せない作品です。

とりあえず購読に当たって致命的な欠点があります。高い!
1冊979円(税込)はいくらなんでもやりすぎでしょ。
知らずに3冊まとめてレジに持っていったとき(2937円)は、
レジのお姉さんの打ち間違いかと本気で思いました。
確かにすごくいい紙とか使ってるんですけどね。1巻から愛蔵版みたいにしなくてもいいのに。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-07 21:44:23] [修正:2010-03-10 22:17:21] [このレビューのURL]

8点 Landreaall

よくありがちな絵柄でよくありがちな内容の、よくありがちなファンタジーものだと思っていましたが…。
面白いです。丁寧に作りこまれた作品です。

詳細まで丹念に練りこまれた世界観が特徴的。この作品を唯一無二のものにしています。
説明的でなく、自然に見せてくれるのがいいところ。
世界が少しずつ広がっていく感覚が好きです。
辻褄合わせや後付け設定のようなものも今のところ目立つものはなく、
全体の構成や展開の上手さが感じられます。

冒頭の竜退治編はそれほど楽しめませんでしたが、そこで挫折しないでよかったです。
マイペースで、揺るがず、一本芯の通った良作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-07 21:29:34] [修正:2010-03-07 21:29:34] [このレビューのURL]

旧作とまとめてこっちで。

妖怪がたくさん出てきて、バトルがあって、ハーレム要素まで兼ね備えた学園ラブコメ。
いろいろな良いとこ取りの作品ですが、
広く浅くという印象で、何だか全体的に薄っぺらい感じです。
ヒロインの二重人格っぷりラブコメなんかは、3×3EYESを意識しているのでしょうか。

ジャンプ系の作品ではバトルものに移行して成功しているものも多いですが、
ここまでバトルが蛇足だと思える作品は逆に珍しいのでは。
妖怪たちのドタバタでベタベタなラブコメはそれなりに面白いんですけどね。

世界観や雰囲気は良いだけに、考えようによってはもっと面白くなるかもしれない作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-04 22:12:38] [修正:2010-03-04 22:14:09] [このレビューのURL]

ドラゴンボールど真ん中世代の自分にとって、当時Vジャンプなどをむさぼり読んでいた頃の
懐かしい作品が詰まっています。
いま読むとかなり時代を感じますね。

「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」の影響力が、読者にも、そしておそらく作者にとっても大きすぎて、
その呪縛から抜け出せていないのかもしれません。
もうどの短編もDr.スランプかドラゴンボールの二番煎じに見えてしまうんです。

とは言え、他者の追随を許さないほどの素晴らしい画力とセンス。
これぞ鳥山ワールド。
おそらく2巻あたりが、溢れるような才能を存分に駆使し、
描きたいものが描けていた頃ではないでしょうか。

紛れもなく、圧倒的な天才だったと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-04 21:52:10] [修正:2010-03-04 21:54:46] [このレビューのURL]