「とろっち」さんのページ

総レビュー数: 140レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年07月27日

10点 まんが道

熱い。二人の真っ直ぐな気持ちが、とにかく熱い。
作り物の熱さではなく、作者の人生を表現した熱さ。 漫画に賭けた熱さ。 二人の友情の熱さ。

当時には珍しく漫画に理解があり、女手一つで育ててくれた母親。 応援してくれた級友。
温かい職場の同僚。 下宿先のおじさん。 トキワ荘の友でありライバルたち。
二人が学生の頃からずっと目をかけてくれた手塚治虫。
そして、作者(A先生)が 「尊敬する漫画家」 であり 「生涯の友」 と呼んで憚らないF先生。

きれいごとではなく、こういう1つ1つの出会いが、幸運が、努力があって、その積み重ねがあって、
励まされ、けなされ、悩み、喜び、迷い、切磋琢磨しながら、まんが道を突き進む。
その感謝の気持ちが、情熱が、作品から溢れんばかりに伝わってきます。

戦後間もない時代、漫画家になる方法もわからずに、がむしゃらに漫画を描いていた頃。
お互い進む道が分かれながらも、夢を諦めないで歩き続けた社会人時代。
上京し、狭い部屋の中で語り合った下宿時代。
仕事の厳しさを知り、仲間の大切さを知ったトキワ荘での生活。
こうやって現在の漫画界が形成されていったのかと思うと、感慨深いものがあります。
自分も他のレビュワーの方と同様、A先生の作品の中でこれだけは別格です。 本当に面白いです。

漫画史に残り続けるであろう傑作。


A先生から亡きF先生への思いが温かいです。
「あいつは……彼は、ホントに天才でね。 僕はずっと「負けた!」って思っててね……。
 マンガ家っていうのは、歳を取るとだんだん子供から離れていくわけじゃないですか。
 それを50歳になっても、ずーっと「ドラえもん」を書き続けて……。
 「ドラえもん」は日本だけでなく、世界中の子供が読んで共感を得ているわけじゃないですか。
 あれは彼にしか描けない。 これは凄いことだと思うね。 やっぱり彼は本当の天才ですよ……。
 彼と何十年も一緒に活動したということは僕の誇りです。
 彼がいなかったら僕は絶対マンガ家になっていないしね。 現在もなかったと思うんですよね。」

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-27 00:22:05] [修正:2010-07-27 22:51:11] [このレビューのURL]

今の少年漫画の中では明らかに群を抜いた存在。
王道的な展開を否定しながらも、また違った切り口で王道を突き進む作品でもあります。
敢えて足りないとすれば、「幽☆遊☆白書」や「レベルE」では辛うじて描かれていた
ラブコメパートぐらいでしょうか。
と言うかこの人もともとラブコメ作家だったような気がしますが。まぁそれはさておき。

ストーリー、世界観、表現力、演出、心理描写、テンポ、バトル、構図、
作者の得意な斜め上を行く展開。
すべてがオリジナリティに溢れ、それぞれが高次元で融合しています。
なにより凄まじいのは、次の回、次のページ、次のコマで、いつどの登場人物が死ぬかもしれない、
という圧倒的な緊張感、緊迫感。
本当に強い敵と対峙したときの力の差、絶望感。
こういう感覚を味わえることにもうとにかく脱帽です。

作者の姿勢を問題視する人が多いのも理解できますし、その批判ももっともだと思います。
ただ、それでも続きを楽しみに待ち続ける読者もここにいるわけで。

ずっと読み続けたい作品ですが、続けるのが難しいのであれば、
せめてきれいな形で終わらせてほしいです。
そう心から願いつつ、毎年コミックスを待ちわびています。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-04-29 22:43:25] [修正:2010-04-29 22:43:25] [このレビューのURL]

天才の、天才による、大人のための短編集です。

不条理な設定、ブラックユーモア、鮮やかなドンデン返し、強烈な社会風刺。
もちろんハッピーエンドになる作品も多数。夢と希望と毒と皮肉に溢れた作品が満載です。

笑いあり、涙あり、驚きあり、怖さあり、下ネタまであり。もう言うことなし。
読むたびに衝撃が心にズシリと響きます。
凡庸な作品ではどれだけ長く描いても表現できないような衝撃が、
一話30ページ前後の中にたっぷり詰まっています。

短編集のレビューが「異色短編集」と「SF全短篇」の2つに分かれてしまっていますが、
少なくとも異色短編集にある話はすべてこちらにもあるようです(たぶん)。
なので、もしどちらも選べるなら、こちらを手に取ることをお薦めします。
PERFECT版も選べるなら、もちろんPERFECT版の方がいいですが。

個人的ベストは「カンビュセスの籤」です。
他に3つほど無理に挙げると、「箱舟はいっぱい」「流血鬼」「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」あたり。

異色短編集も含め他の方のレビューを見ると、お気に入り作品の何と多彩なことか。
読んだ人それぞれに思い入れのある作品にきっと出会える、極上の作品集です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-02-07 20:33:53] [修正:2010-02-07 20:33:53] [このレビューのURL]

この漫画は楽しいんです。だから10点です。

これだけだとアホみたいな文章なので、ちょっと長くなってしまいますが、
思ったことをグダグダと書き綴っていくことにします。



何にでも興味を持つ年頃のよつばが、子供ならではの発想で、行動力で、
大人では考えも付かないこと、できないことをやる、そんな日常を描いた作品です。
登場人物の心の内が一切描写されておらず、すべて客観的視点で描かれているのが特徴です。
内に入り込む漫画ではなく、外からよつばを眺める漫画です。

ほのぼのとした雰囲気。飽きさせない展開。
人を小馬鹿にしたような笑いではなく、心和ませる笑いの取り方。
読んでいて安心できます。
温かい日常がここにはあります。

よつばがかわいすぎるという評もあるようですが、そんなのは当たり前。
かわいくない面も当然あるでしょうが、見せる必要がないだけです。娯楽漫画ですから。
子育てノンフィクションではないんです。
かわいさを誇張するのも立派な作風だと思います。

ちなみに、アニメ化には作者が今のところ乗り気ではないみたいです。
作者は、コマ割りやカット絵、敢えて省略、等の漫画的手法を駆使して、
よつばの自由奔放な動きを極めて自然に、非常に巧みに表現しています。
言わば、よつばの想像できないような動きを読者に想像させているのです。
それがこの作品の1つの特長でもあると思います。
アニメ化されたら、想像できない動きが予測可能なものになってしまいます。
それを懸念しているのかもしれません。

こんな生活が羨ましい、と読者に思わせることが作者の目的ではないような気がします。
この作品のように、ちょっと発想を変えるだけで、視点を変えるだけで、
毎日はこんなに楽しくなるんだよ、と。



かなり長くなってしまったので、そんなこんなで強引にまとめます。

この作品には、深いメッセージ性などはありません。頭を悩ませるような難解さもありません。
あるのは「ENJOY EVERYTHING.」のただ一点のみ。
でもそれが楽しいんです。
難しいことを考えずに楽しく読める。たまにはそんな漫画があってもいいと思いませんか?
現実逃避、大いに結構です。漫画はやっぱり楽しくないと。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-01-02 17:28:49] [修正:2010-01-02 17:28:49] [このレビューのURL]

10点 ARIA

作中で起こっているのは、ほんの些細なエピソードばかりかもしれません。
それらの出来事にも主人公の灯里は楽しみを見出し、日々を満喫しています。
雰囲気を楽しむ漫画と評されているようですが、一つ一つのエピソードがよく練られており、面白いです。
作品の雰囲気も堪能しつつ、灯里と一緒に何気ない日常を楽しむ、そんな作品です。

その雰囲気ですが、陽の光や影、水などが巧みに描写されていて、作品の世界に素晴らしい演出を与えています。
特に風の描写は見事としか言いようがありません。
美しい風景。幻想的な世界。作品に流れるゆったりとした時間。とても心地良いです。

少し優等生すぎる作品なので合わない方もいると思いますが、とにかく人に薦めたくなる作品です。
この作品を読んで気に入った方は、きっと他の人に薦めたくなると思いますよ。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-11-03 00:10:35] [修正:2009-11-03 00:10:35] [このレビューのURL]

一番好きな漫画は?と聞かれたら、この作品を挙げます。

確かに今初めて読むと時代を感じます。20〜30年前の作品ですから。

しかし、普遍的な面白さとでも言うのでしょうか。
恋愛の楽しさ、切なさ、悲しみ、喜び。そしてコメディとしての笑い。
それらがすべて詰まった素晴らしい作品です。

このサイトの点数基準で、10点は「漫画というメディアを超え魂を揺るがし、人生に影響する作品」だそうです。
自分にとって、まさにこの通り。傑作です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-10-18 02:29:03] [修正:2009-10-18 02:29:03] [このレビューのURL]

思い入れが強すぎて冷静に判断できないので、補正付きですが満点です。

リョウは本当にカッコ良すぎです。
ストーリーやギャグも面白いですが、このキャラクターの魅力が、すなわちこの作品の魅力ではないでしょうか。
この作品以降、オンとオフでのギャップが激しい主人公が増えたような気がします。

画力も素晴らしいです。この作品の中期〜後期あたりの絵は、歴代の漫画の中でも最高峰に位置しているのではないかと。
あくまで個人的な見解ですが。

それにしても、今の少年誌ではこういう作品はもう望めないかもしれませんね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-10-09 23:03:45] [修正:2009-10-09 23:03:45] [このレビューのURL]