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島本漫画ではお馴染みのキャラ・炎尾燃を用いて、自らの青年期(大学時代)を叙述した島本和彦の自伝的作品。

漫画家・島本和彦は、同人誌を書き続けるとともに、幾度となくメディアに露出し、コンテンツ業界を論じ、分析してきた。個性が強すぎるため、好き嫌いは分かれるだろうが、分析派の漫画家としては一流。が、パロディや風刺、自伝を主戦場とするため、一流商業誌上でその作品を拝めることは少なく、人は彼をこう呼ぶ。「the・グレートマイナー」と。

そんな島本が、エヴァンゲリオンの庵野監督やオタキングこと作家・岡田斗司夫等、後に異なるフィールドで活躍することになる著名人達と運命を交差させる数奇な時代観を見て、右肩上がりのコンテンツ黎明期を懐かしむもよし、うらやむもよし。なんともいえない、その複雑な感情こそが、本作品の持つ魅力の本質だろう。

なお、同時代のコンテンツ史を研究するための貴重な資料として、本作とともに岡田斗司夫の「遺言」を併せて読んでいただきたい。さすれば、一つの時代の「うねり」を感じることができるだろうから。

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[投稿:2013-02-14 00:06:33] [修正:2013-02-14 00:06:33]