「DEIMOS」さんのページ

総レビュー数: 126レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年01月14日

働き方の姿勢には学ぶものがある。

医療現場の問題点を描き出し、、、なんてことには私には全く興味がない。白い巨塔をはじめ、縦割りの医局システムに由来する権力構造と腐敗は幾度と描かれてきたし、医者不足や金銭主義はもはや手垢のついたテーマ。脳死・透析・癌宣告・精神病など、個別のホットイシューを取り上げ、わかりやすく噛み砕いている点は感心するが、私は漫画でお勉強したいわけではない。

この漫画で共鳴する最たる点は、主人公の「仕事への姿勢」だ。何の目的もなく、ただ勉強することを目的化し、生きてきた人間にとって、「目前の仕事」というのは最もとっつきやすい目標であり、人生テーマになりうる。そして、縦割り組織においては、仕事に真摯に取り組めば取り組む程、「矛盾」「腐敗」といった問題に出くわす。正義を振りかざせば振りかざすほど、それは自らの立場を危うくし、上層部の因習的なルールと衝突する。セクショナリズムの壁に打ち当ったとき、われわれは往々にして良い子になって引き下がってしまうが、この主人公は諦めない。とことんまで安直な正義を追及する。

私も、そういった「青さ」を持って働けたら、と思う。保身は何も生まない、と信じて。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-03-21 20:51:55] [修正:2011-03-21 20:51:55] [このレビューのURL]

愛という言葉を借りて、人間のダークサイドを描き出した欲望丸出し漫画。

もうなんかね、とりあえず汚い。えげつない。勢いだけ。
読んでいてとにかく疲れる。心地悪い。

しかし、読み続けてしまう。のめり込んでしまう。
これが、新井英樹の力。もはや麻薬。計算というよりは暴走で描かれた故の愛おしさ。

不必要な性描写は、同人誌か、と思えるほど。
しかも、キャラクターがみんな不細工なのは新井作品の共通点。
かわいい萌えキャラなんて描いているけど、鏡を見てみなよ、現実のお前の顔なんて所詮こんなもんだよ、と言わんがばかり。
汚さを描き続けることで、かえって、その中に光る「愛」の美しさが強調されるというコントラストの妙。

岩男の人生を誰が否定できるというのだろう?
20年後、自分が岩男になっていないという保証がどこにあるのだろう?
本当は決して笑えない内容なのだ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-03-21 20:30:02] [修正:2011-03-21 20:30:02] [このレビューのURL]