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大分話が分かってきたのでレビューを修正。

第1章では主人公トルフィンが父親を殺されてヴァイキングになった理由とヴァイキングによる陰惨な略奪やイングランド戦争が描かれる。
ここでは多少の葛藤はあるものの父親の仇をとるという目的しか見ていない単純な主人公で、ある意味プラネテスにおける序盤のハチマキみたいなものと考えてくれればいい。
第2章ではトルフィンは仇をとるという目的を失い、自失の中でクヌート王子を傷つけ奴隷に堕ちてしまう。第1章との表情と性格の違いは必見。
ここでようやくトルフィンは本来の自分に戻り、何もない状態から自分の意思で考え始める。奴隷からの脱却というのも意味深だ。ここからトルフィンの目覚めが描かれていくのか?
ちなみに作品中で章が分けられているわけではなく、個人の解釈です。

とりあえず、1章長すぎ!
完璧に8巻までが本筋でこのままの流れで進むのかなと思っていたのに、まさか壮大な前振りだったとは…。ヴィンランド・サガってタイトルなのにヴァイキングものっていうのはおかしいとは感じてはいたけどね。少し驚いた。
ちなみに第1章のヴァイキング編は卓越した画力で描かれるので見ごたえはあるもののそこを抜きにすると普通。神父が愛を語りだす所から王子覚醒までの展開は興味深かった。
第2章以降は最終的にトルフィンがヴィンランドに最終的に移住するまでを描くことになるのだろう。恐らく幸村先生としてもこちらが書きたいことなんだろうな。

魅力がないと評されがちなトルフィンだけど、彼がこれから手に入れるものを強調するためにあえて真っ白に描いてたんじゃないかな。第2章以降の展開やトルフィンの成長でどれだけ彼が魅力的な人物になれるかで評価は決まると思う。まだどう転ぶか分からないので7点のまま保留で。
幸村先生の愛や哲学的なストーリーは好みが分かれる所なのでうまくやってくれることを期待してます。期待と不安が半々ってとこ。
これからが本番ということは確かです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-11 21:25:48] [修正:2011-07-24 10:41:12]