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町外れの森の中に一台の野ざらしになったボロボロのピアノがあった。森の端に住む少年カイにしか弾くことの出来ないピアノが…。

少年時代編はカイが昔有名なピアニストだった阿字野、同級生の有望なピアニスト雨宮などの多くの人々と出会うことでその天才的な才能を開花していくストーリーとなっている。
カイや雨宮を代表とする少年少女の葛藤を描くのが一色まことはうまい。演奏シーンだけを見ると美しいものの傑出してはいないが、その積み重ねてきたドラマ性の高い演出によって良いカタルシスを得られるしたまに泣ける。
この少年時代編の甘酸っぱくも美しい物語は心に残った。

問題は第2部のショパンコンクール編。
カイはこのコンクールで優勝することを目的とする。今までの他人のピアノと比べられることを嫌い、自分のピアノのみを追求してきたカイらしくない展開ではあるもののそこは作中でその経緯が説明されるので別にいい。
しかしだ、パン・ウェイなどライバルの細かい描写と必要以上の審査員の描写は必要なかったように思う。コンクールでも流されず自分のピアノを貫くカイと、自分のピアノとカイに対する気持ちに葛藤する雨宮を描いている所にこのライバルたちは必要ない。名前と経歴を紹介するくらいでよかった。
群像劇ではないのだからカイと雨宮の2人中心の物語に留めて欲しかったのが正直な所。他の不純物のためにあまり楽しめないし感動も出来ない私がいる。

現在ピアノの森はクライマックスに差し掛かっている。今の所第2部は盛り上がりに欠けているが、それでも一色先生ならすばらしい最終回にしてくれるんじゃないかという期待はまだあるのだ。そうなれば加点するつもり。

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[投稿:2011-07-18 12:08:13] [修正:2011-07-23 14:23:41]