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グリーンランタンは1940年代に生み出されたDC古参のヒーローの一人。なので当たり前だが、そのオリジナルのオリジンを知ろうと思えばかなーり初期の作品を読む必要がある。しかしあまりに絵も話も古すぎるのでなかなか手が伸びにくいよねぇ。
ということで、今の人向けにグリーンランタン(ハル・ジョーダン)の誕生を分かりやすく説明するための作品がこのシークレット・オリジン。スーパーマンやらジョーカーやらは複数回オリジンが語り直されているけれど、グリーンランタンは多分これだけかと。

シークレット・オリジンでは地球最初のグリーンランタン、ハル・ジョーダンがグリーンランタンになるまでの経緯と彼がランタンとなった理由が描かれている。
また後のブラッケストナイトへ至る伏線もふんだんに盛り込まれており、まさにジェフ・ジョーンズが手がけるグリーンランタンシリーズに相応しい序章と言えるだろう。

現在のグリーンランタンというのはDCでも非常に人気のあるキャラクターで、DCの代名詞であるバットマンやスーパーマンと肩を並べるくらいの勢いがあるらしい。読めばその理由は何となく理解できる。

というのも、非常に分かりやすくてポジティブなヒーローなのだ、このグリーンランタンは。
DKRやウォッチメン以降、ヒーローものには小難しい話や暗い話が増えてきた。それがメインストリームになってきたと言ってもいい。でも本来私がヒーローものに求めていたのって、爽快感や痛快さだったはずなんだよなぁとも思うわけで。

スーパーマンみたいに初めから力を持っているわけでも、バットマンみたいに強迫観念に取りつかれているわけでもない。ハルは私達と同じような一般人で、力をふっとわいたように与えられる。
そこにグリーンランタンのおもしろさがある。要はハルは私達のような普通の人に非常に近い。彼には当初ヒーローとしての自覚はない。だから軽率な行動はとるしあまりに無鉄砲だったりする。

でもそれって当たり前じゃないか?ハルは普通の人なのだから。急に世界に責任を持てるわけもない。
無鉄砲でありでも軽率な行動もとる、だからこそ読んでいて彼に親しみを、共感を覚える。一般人出身のヒーローとしても、人間としても。
オリジンで最重要であろう、ハルがグリーンランタンになる理由も非常にシンプルなもの。ただ自分の力で“飛びたい”、というシンプルで、でも非常に強い願望。

そして、その意志の力がグリーンランタンの力となる。何気にこの“意志”が力になるというのも巧いなと思うわけで。
というのも日本の漫画でも土壇場で覚醒みたいなのって嫌がられるよね。でもグリーンランタンというヒーローは気合で勝つというのを自然に出来ちゃう。少年漫画的なノリを大人の人間ドラマの中で違和感なく実現できるのだ。そりゃ熱いさ!そりゃ人気出るさ!

もちろんグリーンランタンをここまでの人気シリーズにしたのはライターのジェフ・ジョーンズの手腕があってこそ。よくもここまでシンプルに練り上げたもんだ。

オリジンとしては過不足無しの良作。
今邦訳で読めるものだと、シークレットオリジン→GR/GA→リバースと読んでいくとわりかし分かりやすい。リバースが色々ふっ飛ばしすぎなのでそれでも面食らうけど。
グリーンランタンに関しては、日本の漫画読みでも楽しく読めると思うのでおすすめ。良質な大人向けの少年漫画といった感じの痛快なシリーズなのでまずはぜひここから!

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[投稿:2011-09-20 01:41:08] [修正:2011-12-04 23:08:02]