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 フェローズの企画ものを中心に、福島聡との共作やら普通の読みきりやら森薫のここ10年弱ほどの短編が収められています。まあ短編は6割ほどで残りはイラストやらサイン会ペーパーなどの諸々。とは言ってもおまけであろうここらへんにも気合入りまくりなので見応えは相当なもの。裏の第何刷とか書いてる所にイラスト載ってるのはこの人の作品くらいだと思う笑。

 森薫という漫画家さんはそもそもフェティシズム色の強い作家なわけですが、短編ともなると物語性が少なくなる分、森薫のフェティシズムがより抽出された内容になっています。相も変わらず、(悪い意味ではなく)強烈に自身の性癖を押し付けてくるもんだから、こちらも有耶無耶のうちに首肯してしまうというか。こちらが好きって言うまでしつこく「好き?好きでしょ?好きだよね?」と聞かれ続ける感じというか。
 十八番のメイドものはもちろん、水着、眼鏡、バニー、ぶかぶかの制服…などなどそのテーマも多彩。ここらへんは個人の嗜好によって好きなのはかなり変わってくると思う。私が特に好きなのは「昔買った水着」と「見えるようになったこと」あたり。水着と畳にはやられました。後者は森薫の貴重な現代もの。

 またこの作品集を読んでて感じたのは本当に上品だなってことで。これだけ押し付けがましくて強烈なパワーなのに、上品なフェティシズム。これは最近BL系出身の作家にも感じることだけど、森薫は他と隔絶してると思う。もはや気品が漂っちゃってるあたりがすごい。女性ゆえなのかとも思ったけれど、岡本倫あたりを考えてもそれだけではないんだろう。変だけど、やっぱりすごい人だ。

 サイン会ペーパーやらイラストやらも読んでて楽しいです。正直コルセットや暖炉なんか微塵も興味はないんですよ。でもこれだけ愛に溢れてれば、魅力的に見えてきて困ったもの。本当に“好きこそものの上手なれ”を地でいく人だなぁと。またペーパーの後書きネタは爆笑しました。まあぶっちゃけこの作品集も後書きの方が…っていうのは多分嘘。

 ということで森薫の魅力を存分に堪能させてもらいました。森薫好きなら買って損はないです。短編以外もおもしろいので迷ってる方はぜひぜひ。
 後シャーリーの新しい短編が収録されてないってことは2巻が出るってことですよね?期待して良いんですよね森先生? 楽しみに待たせて頂きます!

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[投稿:2012-02-28 23:57:03] [修正:2012-02-29 23:53:39]