「boo」さんのページ
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「闇夜に遊ぶな子供たち」の続きも読みたいけど、出ても同人になりそういうのは実に残念な話。
ホラーMがなくなったのはやっぱり痛い。
10点、9点…個人的なバイブル、名作。
8点、7点…お気に入りの作品。
6点、5点…十分楽しめた作品。
4点以下…うーんって感じの作品。わりと適当。

7点 片恋の日記少女
中村明日美子は今でこそ少女漫画やらサスペンスやら果ては相撲まで幅広く描いているのだけれど、元々はBLで有名な作家だった人。彼女の少女漫画、そして一般向けの初の単行本がこの片恋の日記少女になる。
しかし少女漫画の定義が曖昧なのは置いておいても、一般的に言う少女漫画とはかなりずれているなぁと思うわけで。これは多分生粋の少女漫画家には描けない。
何かもう目の付け所と話の展開が絶対的に違うなと。ゲイもの、ロリ、出会い系、シスコン…など表だけ見てもそうだし、端々にも普通の少女漫画にはないエグみを感じた。
よしながふみの対談本で、よしながふみが「BL界というのは今の少年漫画にも少女漫画にも青年漫画にも居場所がない作家が行き着く場所なんです」的なことを言っていたのだけれど、中村明日美子がそこから出てきたというのはすごく納得できる。独特の嗜好って意味でもそうだし、圧倒的に自由な所からしか出てこない才能なのだろう。
そして中村明日美子のすごさは、そのエグみと短編一つ一つのクオリティの高さが完璧に融合しちゃってる所で。この人の短編は本当におもしろいのだ。長編の延長線上で短編を描く漫画家とは根本的に違い、中村明日美子は短編を短編としてしっかり描ける人。私の短編読みたいなって気持ちを完全に満足させてくれる。
例えば「父と息子とブリ大根」では、東京でオカマちゃんになった満が家に帰ってくると、息子を訪ねてきた親父が何と部屋の中に。親父は息子がオカマになったとは知らず、女の格好をしている満を息子の彼女と勘違いしてしまう。こんなとんでもない冒頭が、捻りに捻った話に魅せられ、父の憎めないキャラに笑った挙句、最後は“父と息子”の心温まる話に帰結する。
このように、どの話もかなり突拍子もなくて作者の独特の性的な嗜好も伺える短編なのだけれど、最後にはかなりぐっと心が動いてしまう。本当に構成と語り方が素晴らしい。特にお気に入りは「父と息子…」、「とりかへばやで出会いましょう」あたり。ただどれも珠玉と言ってよいくらいのクオリティ。
また絵も達者だよなぁ。綺麗で見やすい絵を描けるのはもちろん、デフォ絵も上手いのだけれども、それだけではなくて。例えば前述のオカマは美人なのに、あくまで美人なオカマなのだ。また「娘の年ごろの娘」なんてロリっぽいとかじゃなくて見事なまでにロリ。ここらへんは絵が達者すぎてちょっとやばい匂いがするくらいに。
中村明日美子は本当に短編好きにはたまらない作家ですよ。「曲がり角のボクら」、「鉄道少女漫画少女」とそれぞれ違った味で楽しめる。特にこの作品はエグみが強いので、少女漫画好きな方だとかなり新鮮な気持ちで読めると思う。おすすめです。
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[投稿:2012-03-08 00:38:21] [修正:2012-03-08 00:38:21]
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