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「闇夜に遊ぶな子供たち」の続きも読みたいけど、出ても同人になりそういうのは実に残念な話。
ホラーMがなくなったのはやっぱり痛い。
10点、9点…個人的なバイブル、名作。
8点、7点…お気に入りの作品。
6点、5点…十分楽しめた作品。
4点以下…うーんって感じの作品。わりと適当。

高畠エナガがどのような経歴の方なのかがあんまりはっきりしないのだけれど、どうやらWEBや同人誌を中心に活躍をしてきた人のようで。九井諒子がそうであったように、そういう所からこれからは新しい才能がたくさん出てくるのかもしれない。
青年とアンドロイド、亜人と妖精、人に変身する猫又たちと下宿人、天使と悪魔…違うものたちが心を通わせる異種交流譚4編が収録された短編集。
異種交流譚、さらには人間とアンドロイドの恋愛だと聞いては、SF好きの心がくすぐられないわけはないぜ!…なんて思ってましたが、正直SFとしては評価しがたい作品だったりする。友情にしろ恋愛にしろ、この手の異種交流譚では“違い”を乗り越える姿こそに魅せられる。だからこそ姿だけでなく、何がどう違い、それをどう乗り越えるのかを作中で見せて欲しかったのだ。
例えば、表題作「Latin」における青年とアンドロイドのラテン。ラテンはそもそも人間と変わらない感情を持っていて、温かみだってあるし、涙だって自然に流す。見た目以外は人と遜色ない存在。その時点で、果たしてラテンがアンドロイドである意味はあるのだろうか、と思ってしまうわけで。そういう意味では、似た物語であり、さらには人と機械の違いを深くえぐった岡崎二郎の「マイ・フェア・アンドロイド」とは全く趣が違った。
要は表題作「Latin」に限らず、違うもの同士の理解や交流がテーマになっているにも関わらず、多くの短編では両者が違うものである意義が薄いわけで。別に人とアンドロイドじゃなくとも、天使と悪魔じゃなくとも話は成り立っちゃう。だからこそ、どうしてもSF的な読み心地や感動は物足りない。また物語としても傑出しているとは言いがたい。
結局何が良いかって、キャラクターの表情が抜群に良い。とにかくよく笑ってよく泣く。とにかく心の内をさらけ出す。物語が凡庸でも、その直情さには心が打たれてしまうのだ。
デビュー作ということもあって、絵も話も荒削り。でも、その荒削りな勢いがこの短編集にはよく似合っている。一方で、さすがに天使と悪魔のお話「reversi」までいくと、心情を全て一人で語りまくる芸のなさに辟易したのも事実なのだけれども。ここらへんの語り口の稚拙さからも分かるように、最近のニューウェーブ系の漫画家さんとは良くも悪くも一線を画す方なのだと思う。
ちょっと感じたのは、高畠エナガのSFやファンタジーの源流は、スレイヤーズに代表されるような少し前のライトノベルから来てるんじゃないかってことで。この古臭いエルフやら魔法やらのばたばたな雰囲気は、昔姉の本棚で触れたものにそっくりだ。
ただ決して懐古趣味が新しく感じられるわけではなく、高畠エナガは絵柄も含め上手く現代風にリファインしようとしているのは伝わってくる。だからこそ「猫又荘の食卓」のように違うことが切なくも温かい物語だって作り出すことが出来るのだ。
絵柄と表情にはとにかく力があってほとほと感嘆しました。これにおもしろい物語を作る力と語り口が身につけばどんな傑作を生み出すことができるのだろう。次の作品を楽しみに待っています。
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[投稿:2012-05-08 20:33:22] [修正:2012-05-08 21:46:15]
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