「boo」さんのページ
- ユーザ情報
- 1990年生まれ(性別:男性)
- Webサイト
- http://honetsukitaro.blog.fc2.com/
- アクセス数
- 299609
- 自己紹介
-
「闇夜に遊ぶな子供たち」の続きも読みたいけど、出ても同人になりそういうのは実に残念な話。
ホラーMがなくなったのはやっぱり痛い。
10点、9点…個人的なバイブル、名作。
8点、7点…お気に入りの作品。
6点、5点…十分楽しめた作品。
4点以下…うーんって感じの作品。わりと適当。

小プロの最近人気の2000円シリーズ。正史ではなくパラレルワールドのスーパーマンのお話。いわゆるDCのエルスものというやつ。
スーパーマンといえばアメリカのザ・ヒーロー的存在。とはいえあんまりにもテンプレートなイメージのあるヒーロー像が今一受けが悪いのか、日本では圧倒的にバットマン人気だよなぁ。まあアメリカでも最近はバットマンどころかグリーンランタンにさえ売り上げでは上を行かれているみたいだけれど。私もDCスーパーヒーローズ収録作とラストエピソード、スーパーマンの最期くらいしかスーパーマン関連の作品は読んだことがない。
このスーパーマン:レッドサンにおいて、そんなスーパーマンの宇宙船はアメリカではなくソ連に落ちることに。ソ連で育った彼はスターリンの跡を引き継ぎ、共産圏の幸福の支配を世界に推し進めていく。スーパーマンに対抗するはアメリカを率いるルーサー、そしてソ連内のテロリスト・バットマンであった…。
アメコミとしてはもちろん、SF・世界改変ものとして傑作。ソ連に落ちたスーパーマンというアイデアに留まらず、平和を愛するスーパーマンはスーパーマンゆえに独裁者となり、スーパーマンゆえの悲哀に直面する。決して明るい物語ではないのだけれど、そんなスーパーマンにはヒーローの魅力が溢れていた。
そしてやはりとことん「個」の人間であるバットマンとはどこまでも相容れず、ルーサーは謎めいた存在ながらもさすがスーパーマンの宿敵たる存在感。さらにはワンダーウーマンやグリーンランタンまでもが登場し、本来とは立場・関係性を異とする彼らが破滅に向かって突き進んでいくストーリーからは目が離せない。
しかしオチの鮮烈さはもちろん、この世界の円環構造にはちょっと唸らされてしまった。単純に上手いというだけではなくて、巻頭の言葉を借りるならマーク・ミラーの“灰色”なセンスがものすごい。理想的な共産主義的な管理社会を推し進めていくと、その先に待っているのはユートピアのようなディストピア!というありがちな結末、ひいてはいかにもアメリカ的な資本主義万歳な結末をマーク・ミラーはラストで全てひっくり返してしまう。スーパーマンとルーサーの対決が決して正義と悪の闘いではなかったように、とことんまで曖昧になる善悪の境界と幸福の定義。痺れるよこれは!
値段も比較的手ごろで、アメコミの知識がなくても読める一冊。SFの中でも特に世界改変ものが好きな方なら外さないはず。ぜひぜひおすすめ。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2012-09-17 16:33:46] [修正:2012-09-17 16:34:59]
月別のレビュー表示
- 月指定なし
- 2007年06月 - 1件
- 2007年07月 - 7件
- 2007年09月 - 1件
- 2007年10月 - 1件
- 2007年11月 - 2件
- 2008年03月 - 1件
- 2008年07月 - 3件
- 2009年01月 - 2件
- 2009年03月 - 1件
- 2009年05月 - 1件
- 2009年12月 - 1件
- 2011年06月 - 2件
- 2011年07月 - 33件
- 2011年08月 - 28件
- 2011年09月 - 26件
- 2011年10月 - 36件
- 2011年11月 - 20件
- 2011年12月 - 12件
- 2012年01月 - 21件
- 2012年02月 - 8件
- 2012年03月 - 5件
- 2012年04月 - 10件
- 2012年05月 - 7件
- 2012年06月 - 7件
- 2012年07月 - 4件
- 2012年08月 - 1件
- 2012年09月 - 8件
- 2012年10月 - 3件
- 2012年11月 - 3件
- 2012年12月 - 3件