「霧立」さんのページ

総レビュー数: 33レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年05月13日

7点 Dr.STONE

高校生が不条理とも言える突発的事象によって非日常へ放り込まれるサバイバルものはそれこそ飽きるほど氾濫しているが、これは面白い。
それは敵(障害かな)が化け物や未知の生命体などではなく、同じ人間である事。目的がサバイバルではなく、「自分たちの手で文明を取り戻す」という壮大なものである事。そしてその作業が地味である事!
そう、文明とは科学だ。科学は地味だ。やってる事は原初世界での理科実験だ。なのにこんなにワクワクする。
この漫画は「知ろうとする事」と「地道な努力」の大切さを教えてくれる。それでいて少年漫画に欠かせないエンターテイメントを忘れていない。
週刊連載である故にこの初期のクオリティが維持できるかが唯一の心配だが、どうかこのまま走り抜けて欲しい作品。

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[投稿:2018-02-04 11:13:21] [修正:2018-02-04 11:13:21] [このレビューのURL]

今なお島本和彦の最高傑作と言っていい。ギャグの切れ味もさることながら、伊吹三郎を筆頭とする強烈な脇役陣(ちなみに主人公を含め殆どが卑怯者)。加えてその一人一人がボケもツッコミも出来るという「ビートルズ的効果」を呼び、更に一定の伏線も貼られて綺麗に回収されるという構成力まで合わせ持つ。極め付けは十分な人気があったにも関わらずすっぱり12巻でまとめ上げるという潔さ。ギャグ漫画の傑作に出会った感動はストーリー漫画のそれを凌ぐという好例。

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[投稿:2017-12-22 07:36:59] [修正:2017-12-22 07:36:59] [このレビューのURL]

評価は11巻までのもの。
10巻過ぎまでは8コマという風変わりな構成で「間」を駆使した独特のギャグを楽しませる単ページと、複数の場面がやがて収束する見事な構成力、そしてベースに流れる哲学的思考と、本来並立が困難な複数の魅力を内包した唯一無二と言える漫画だった。
11巻以降の評価は敢えて割愛するが、その理由は「才能を削りながらでなくては描けない」ギャグ漫画家の宿命だと思うから。10巻以上に渡ってギャグのジャンルを超えた漫画を作り上げた。それだけで十分評価されるべき作品。

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[投稿:2015-08-18 22:36:43] [修正:2015-08-18 22:36:43] [このレビューのURL]

不思議な漫画です。
イケメンで高身長で勉強もスポーツもできておまけに性格もいい。
こんな♂が主人公ってだけで破り捨てたくなるような設定なのに素直に読めてしまうのがまず不思議。
内容は料理をツールにしたハートウォーミングという今時珍しくもない設定なのに既視感はあまり無いし読後感も悪くない。
キャラクターにしても別に表情豊かでもなく、どちらかというと能面みたいに乏しいのにその心情はしっかり読み手に伝わってくる。
これが狙っているのか偶然なのかはともかく、この作品(作家)は表情やコマ割りなどを抑え目にすることでかえってわざとらしさや感動の押し付けを排除する事に成功しているように思えます。あとセリフ選びが中々秀逸ですね。
「心に滲むような」そんな表現をしたくなる漫画です。

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[投稿:2015-06-28 23:15:28] [修正:2015-06-28 23:15:28] [このレビューのURL]

散々レビューされているので今更ですが、歴史物だからというより普通にエンターテインメントとして面白いです。主人公の心身の成長と舞台の広がりがリンクしていて、古代ギリシアの世界でエウメネスと共に読者も旅をするような錯覚を覚えてしまいます。
導入部は前半生で設定した大胆なIFが活かされた感じですが、後半生ではそうした解釈の余地がなく、予定調和的になってしまうのではと思わせながら、アンティゴノスやヘファイスティオンの独自設定などを織り交ぜることで、「今後どう展開するんだ?」という興味を持たせ続ける事に成功しています。この辺りのストーリーテリングは見事。
また、細かいところでエウメネスが成長するにつれ、寄生獣の新一のようないわゆる主人公顏から、より狡猾な面構えに変貌していきますが、これも王宮で生き抜いていく強かさが表現できていて素晴らしいです。
作品の質は8点レベルですが執筆ペースが目に余るので1点減点で。

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[投稿:2015-06-22 22:45:27] [修正:2015-06-22 22:45:27] [このレビューのURL]

よくあるサバイバル物に能力バトルをミックスさせた感じの漫画。点数は低めですが実は割と楽しく読んでます。
特徴的なのがサバイバルが一年というスパンの為、「日常の緩さ」が並行していること。古いですがガンパレードマーチのような日常と戦闘のミックス感が個人的には好きです。
これをメリハリと捉えるかダレと捉えるかは好みの分かれるところで、常に緊張感があり、人が死ぬ辛さや無常観などをよりリアルに感じたい人にはオススメできません。
点数に関してはヤマの設定とか主人公の秘密とかその辺がちょっとごちゃごちゃし過ぎなので基本的なオススメ作品6点から1点減点で。

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[投稿:2015-05-26 12:55:59] [修正:2015-05-26 12:55:59] [このレビューのURL]

女性専用アパートに宇宙人が居候する話なのに9割方宇宙人が関係ないという斬新な漫画。じゃあその9割は何かと言うとしょうもない下ネタや下世話なガールズトーク。でもそれが実に面白い。
外ではすましていても家では…なんて女性は漫画でも別に珍しくないんだけど、この作品は作者のタッチもあいまって女性たちが良い意味で生々しい。8ページのショートストーリーなのに捨て回があまりない。そして基本女子が部屋で駄弁るだけなのでセリフばっかり。でもそれもいい。
休日にゴロゴロしながら読むのがぴったりの緩さですが男性でも十分楽しめる作品なのでオススメです。友人の形容するのに「量産型ゆるふわパーマ」なんて出てきたら興味湧きません?

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[投稿:2015-05-18 08:39:06] [修正:2015-05-18 08:39:06] [このレビューのURL]

4点 87CLOCKERS

こうした「オタクな業界作品」では鉄板とも言える「マニアな美人に惹かれて気がついたらのめり込み」というベタベタなファンタジー展開をのだめの作者がやるとは思わなかった。
マイナー故に知られざるその分野の魅力を伝えるのがこの手の作品のテーマのはずなのに、「女でもぶら下げねーとこんな世界片足どころか足指一本突っ込まねーよ」と自ら白旗を揚げているようで、安易な話作りをしているなと残念な気持ちになってしまう。
オーバークロックにしても自作全盛期の2000年前後ならともかく、今となっては現実的な価値が見出せない中で「世界が変わる」「世界平和のため」という作中のセリフをどこまで読者に実感させられるか。今の所「マニアの自己満足」の域を出ていないのだが風呂敷を畳まれるまで我慢できる自信が正直ない。

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[投稿:2015-05-16 10:04:26] [修正:2015-05-16 10:04:26] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

森永あいの作品ということで楽しく笑えるかと思ったがちょっと風合いが違った。
想い人の異性と身体が入れ替わる話なのだが肝心の想い人とは一向に恋愛が進展せず、お互い異性の体のまま自分達の親友(つまり同性)と関係を深めていってしまう。
つまり見かけ上は男女のつきあいでも本質的にはBLであり、それが許容できる読者でないと基本受け付けない作品なのだ(当然他方では百合も発生するがそちらはヒロインが元来粗暴なので全然期待できない)。
森永あいの笑いは、基本的に無垢な善人が不運や人格破綻者に翻弄される悲劇を同情しつつ笑い飛ばす事にある。しかしこの作品では主人公の想いがブレる事が原因で話が拗れるため正直あまり同情できない。それはすなわち笑えないという事になるのだ。

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[投稿:2015-02-23 15:36:31] [修正:2015-02-23 15:36:31] [このレビューのURL]

古代ローマと現代日本を温泉というキーワードで繋げた発想は面白いし、こうした作品を描くには相応の造詣というか作者自身のバックボーンが必要なのでそこは素直に感服します。
ただ全巻読み終えて感じるのは何か「足りない」という事。印象に残るエピソードも、もう一度読みたいシーンも、思い出し笑いしてしまうようなギャグも、おっと思わせるような台詞も、あーこいつ好きだわと思えるようなキャラクターも見つからない。じゃあ破滅的につまらなかったのかと言えばそうでも無い。
ただ間違いないことはもう一度作品を読み直そうという気にはならないということ。厳しい言い方かも知れないが作者の「熱量」をあまり感じられない作品に思えた。

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[投稿:2015-02-05 22:01:18] [修正:2015-02-05 22:01:18] [このレビューのURL]