「punpee」さんのページ

総レビュー数: 104レビュー(全て表示) 最終投稿: 2016年02月06日

8点 茄子

独特のセンスがあり、色々な読み味のある短編集。
茄子をテーマにしてるというか、作中のシーンで茄子が出てくるという程度。
茄子が食べたくなります。

この作者の描くキャラクターはとにかく全員がユニークで自由で躍動感に溢れ、生き生きしている。
だから悲壮感が無いんですよね。
作中、人が死ぬところもあるんですが、「まぁ、好きな様に生きたしね」という、さっぱりした空気が作中でも流れており、読み手にも伝わってくる。

また、モラトリアム節のキャラもいれば、凄く大人なキャラも描ける、味のある作家さんです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-02-13 18:34:09] [修正:2016-02-13 18:34:09] [このレビューのURL]

「undercurrent」の意味
1.下層の水流、底流
2.(表面の思想や感情と矛盾する)暗流

日常のドラマの中で、登場人物の深層心理が掘り下げられていくストーリー。
クライマックスが近付くにつれ、それぞれに抱えたものが解けていくが、解けた先は描かれていない。

ただ、そういったものが解け、気が晴れ、自分と向き合っていける未来を考えると、ハッピーエンドを想像出来る事は難しくない。

傑作だと思います。

ヴィレッジヴァンガードのサブカル的な品揃え・売り方は嫌いだが、長年に渡ってこの作品と新井英樹の「TWIM」を担ぎ続けている点は素敵です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-02-13 18:33:10] [修正:2016-02-13 18:33:10] [このレビューのURL]

素晴らしいです。
特別この作者が好きな訳では無いのですが、これは名作。

世界観に入り込めるという点で、漫画の表現の可能性を感じた作品でもあります。
他のレビュワーの方の「写実性」という表現が一番ピンと来ました。

自分もそこにいるかの様な、
ここまで臨場感を覚えた漫画は初めてです。

タイトルも秀逸。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-02-13 18:32:06] [修正:2016-02-13 18:32:06] [このレビューのURL]

「虫と歌」を初めて見た時程の衝撃はありませんが、相変わらず世界観とクオリティは秀逸。

大場つぐみ×小畑建ペアの作品ほど説明しろとは言わないが、作品の世界観や設定を読み手が整理しながら読まないといけません。
なので読み応えはあるが、非常に疲れます。

市川春子に少しでも興味を持たれた方は、まず「虫と歌」を試してください。
「25時のバカンス」と読み味は一緒なだけに、多少クオリティ&インパクトの高いそちらがハマれば、どんどん開拓していきましょう。


この作者は月が好きですね。
あと、そういう作品が多いだけに、血の繋がりをそこまで重要視しない方なのだろうか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-02-13 18:31:09] [修正:2016-02-13 18:31:09] [このレビューのURL]

このサイトの採点基準でいうと10点にふさわしい作品だと思います。
ただ、私は偉そうに、独自の採点基準で他の作品もレビューしちゃってるので、この点数です。

作中の胸に刺さる様なセリフや、作者のあとがきで感銘を受けた一文を引用しようと思ったら、もう既に他のレビュワーの方々が引用してたので、これ以上は野暮ですね。

一個だけ、この作品に付加価値を与えるスパイスを投下しておきます。

作者の座右の銘
「私は常に真の栄誉を隠し持つ人間を書きたいと思っている」

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-02-06 17:57:03] [修正:2016-02-06 17:57:03] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

夫婦(途中から家族)生活を綴ったエッセイ作品という形を取りながら、
独特且つ偏った視点で各業界にメスを入れる、作者のチラシ裏主張も半分の割合で込められている、一風変わった作品。

若手芸人や2世タレントに対する恨みつらみ、
若者の性や同世代の才能に対する激しいコンプレックス、
漫画業界の裏話や、自身の将来に対する不安を鬱々と綴る等、、、

これらの後ろ向きなテーマと、「ほのぼの妻可愛い?」テーマの共存。
「こっちは好きだけどこっちはちょっと…」と、完全に読み手を分けてしまってる感は否めませんが、私はいいバランスで読んでいます。

中には、
野球中継において、「こんなにカメラや映像機器が最先端になっているのに、何で未だにストライクかボールかの判断が審判のさじ加減なの?」とか、
格闘技中継において、「目尻のカットや金的で試合中断すると冷めるから、こういう器具を作ってほしい」とか、
2ちゃんねるのまとめサイトを読んでる様な持論も展開されます。

「歯磨き粉のベストな捻出方法」や、「袋スナックはこう開けれる様にしてほしい」といった、クソどうでもいい持論も、楽しく読ませてもらっています。笑


深く考えずほのぼの漫画を読みたいという方には、持論パートのアクが強く感じると思います。
なので基本的には、ひねくれてて、ネガティヴな思考共感者の方にお薦めする漫画です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-07-31 20:13:05] [修正:2017-07-31 20:13:05] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

山田芳裕先生の作品の中では、一番好きです。
他に例が無い10種競技を題材にしており、エンタメ性が高く、いい意味でぶっ飛んでいます。
ラストは何故か一夫多妻制の部族の族長になってる辺りも、この作家らしいぶっ飛び具合です。笑

序盤は「よく知らんけど10種競技ってすげーなぁ」から始まり、
中盤から本作者の真骨頂であるテンション・表現力・演出力が発揮されてきます。

主人公の強さは、おそらくかなりご都合主義です。
中盤、確かにトレーニング編はあったけど、ここまでの強さの根拠には乏しい気がします。
(多分、福満しげゆきが認めないパターン。笑)

勢いや凄みで解決させる展開はジョジョを彷彿させますが、
冒頭で言った様に、エンターテイメントとしての面白さは見事。

主人公を本物の馬鹿に設定する辺り、本作者らしいです。

生命を削りながら限界を超えて戦うハングリーなアスリート、
ワンショットワンキルの生き様を貫く孤高の野生アスリート、
勝利の為に喜怒哀楽全てをコントロールして勝ち続ける完璧絶対王者、

それらアスリートの偉大な哲学を崩したのが、
主人公のブレブレな本能と煩悩という点に、ある種の真理を感じました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-07-31 20:08:00] [修正:2017-07-31 20:08:25] [このレビューのURL]

好きな作家さんの一人であり、毎回テーマに対する真面目で丁寧な姿勢が伺えるだけに、
前作「からん」に続き、2連続打ち切りが非常に残念。

個人的にボクシングが好きなのですが、地味でも技術的・科学的に真面目にボクシングを描いた作品は、本作品と新井英樹の「SUGAR」シリーズくらいじゃないでしょうか。

少なからず一定の評価を受けている作家だとは思えますが、
本作は少し構成が悪かった様に思えます。

心理描写を描くのが秀逸なだけあり、
ジムメイトのキャラクターの過去を掘り下げる場面は読み応えが十分あるのですが、
少し気を抜くと「あれ?これ、何漫画?」と思うくらい、脱線を感じる事もありました。

最終回も、無理矢理綺麗に畳める気はサラサラ無く、中途半端上等という潔さでしたね。

知識の幅が広く、表現力や文章力に、心理描写に長けており、良い作家だと思いますが、
この作家に少しでも気になられた方は、「からん」から読まれる事をお薦めします。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-07-31 20:00:54] [修正:2017-07-31 20:00:54] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

個人的に生き生きしている頃の荒木先生の作品です。

ただ、作者自身も語っている様に、基本的にはアイデアは長編(連載)用に取っておくので、
そこから外れたしょぼいアイデアを、持ち前の勢いと演出力で膨らませた様な短編ばかりです。笑

それだけのネタでそこそこの読み応えにしてしまう辺りは流石です。
何て事ないテーマを色んな角度から膨らましながら一つのネタにしてしまう、ガキ使フリートークの松本人志の様な感動はあります。

褒めてるのか褒めてないのか分からないレビューになりましたが、
「岸辺露伴は動かない」は傑作だと思っています。
ジョジョ4部でたかがジャンケン描写を異様に盛り上げた様に、ポップコーン食べにここまで緊迫感を持たせるのか。。。と、当時の衝撃が忘れられません。


装丁も凝っていて素敵です。
カラーページも再現してますし、良い買い物でした。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-07-31 19:58:17] [修正:2017-07-31 19:58:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

かなりネタバレ含んでるので、まだ読まれてない方はスルーして下さい。

うしおととら以外の藤田和日郎作品は、絶妙に肌に合わないと思っていた時、スピリッツで出会った作品です。
当時、スピリッツスレでも異様に評価が高かったのを覚えてます。

見るだけで生物全てを殺せるフクロウと、それを殺すCIAとかアメリカ国務省とか漁師親娘の話。

物語の構成、演出が抜群に上手くて、やっぱりこの作者凄いなと思わされました。
他の方が仰るように、短編で生きる作者なのかもしれない。。。


フクロウがまったく悪くないんですよね。

自分が見ても死なない置物のフクロウを愛し、子供を欲し、脅威の人間の兵器に立ち向かう最後のシーンは痺れました。

「彼は羽を一打ちして飛び上がったんじゃ
何が来ても、もうこのフクロウは渡さん
そうでなくとも、今日はこの大切なフクロウを奪われて彼は頭にきていたんじゃろうな
どんな敵が来ても、負けん気持ちが彼にはあったしな
ひとにらみ、
この世のひとにらみでどんな生き物も死んでゆくんじゃ
彼は思ったのさ
そうじゃ
どんな時も
最後に月の光の中を飛んでいるのは、
この自分なのだと」

個人的に臭いセリフの多い作者ですが、タイトルもなかなか格好良いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-27 17:53:07] [修正:2017-02-27 17:53:07] [このレビューのURL]