「punpee」さんのページ

総レビュー数: 104レビュー(全て表示) 最終投稿: 2016年02月06日

[ネタバレあり]

この作品からは尋常じゃないエネルギーを感じる。
完全に「負」のエネルギーの方だけど。
ただ、作者が出し惜しみ無く全力を注いでいるのが伝わってくる。

単行本の帯にもある、
「恋愛ゲームにも参加できず、学歴コースからも脱落し、現状打破をねらった漫画コンクールでは相手にされない。
このままじゃダメになる…すべてがダメになる大いなる予感」感はひしひしと伝わってくる。

まんが道やバクマン。も読んでますが、この作品の主人公は、あくまでも一人。
孤独、絶望、自己嫌悪と闘う鬱々とした日々が痛々しいです。

地に足が付いてない日々の中で、何度も諦めながらも、衝動的に湧き上がる漫画への情熱。

「意識を遮断して描くんだ…どこでも描くんだ…とにかく描くんだ…
原稿に何かされたら、刺し違えてでも殺す…殺すぞ?」と、定時制高校の授業中に漫画を描くシーン。

漫画からしばらく離れ、好きな女性と一緒に過ごす日々の中、
前触れも無く急激に沸いた「漫画が描きたい」という衝動に駆られ、喫茶店で彼女を前に原稿を取り出し、漫画を描き始めるシーン。

とにかく、熱いです。

なんとも言えない終わり方を迎えますが、
この後に細々とメジャー誌で連載したり、陽の当たる場所にいけたと考えると、結果ハッピーエンドなのだと嬉しくなりますね。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-02-13 18:37:40] [修正:2016-02-13 18:37:40] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

独特の世界観で綴られる4話の短編集。

表題になっている「虫と歌」は非常に秀逸。
ラストに後悔の念と葛藤を感じさせる心理ネーム、コマ割り、表情はお見事。

個人的には「日下兄妹」も、この作者の作品では比較的分かりやすくて面白い。

優しいタッチと構成力、魅せ方が特に優れた作家さんです。
単行本の装丁も美しく、これは手放せない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-02-13 18:30:17] [修正:2016-02-13 18:30:17] [このレビューのURL]

打ち切りだったんですね。
このサイトで知りました。
キリ悪い終わり方ではないと思ったけど、もっともっと続けられるし、見たかったなーと非常に残念でした。

この作品は新城直衛の人間性の魅力に尽きますね。
あとこの作者、この後の作品「シュトヘル」でも言えますが、セリフのセンスが秀逸です。
非常にパンチラインが多い。

一話一話の密度が濃く、一切の無駄無く5冊でまとまっているという点でも評価に値します。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-02-06 15:51:25] [修正:2016-02-06 15:51:25] [このレビューのURL]

8点 SUGAR

センスと才能に溢れたボクシング漫画。
スロースターターなのは相変わらずですが、才能の片鱗が見え始めてから最後までは、怒涛の面白さです。

天才の天才による天才語を理解・体現した天才の孤独で歪なボクシング半生。
初期の主人公と、才能覚醒後の主人公の人格があまりにも違うのが、唯一の違和感。


「おそらく早いよ 登りつめるの!」

「すべての罪の犯人はオレの才能だから」

「アメリカ 南米 オセアニアの連中 アジア アフリカ ヨーロッパな輩の
オレを追う努力の空しさを世界に見せつけちゃうのオレ!」

「なんだこれ?人柄の良さに才能の無さ付けた実演販売なの?「宛て先」どこの誰?」

「じゃあ伝えてよ!パンチも思いも少しは真面目にやれってさ オレの様な繊細な人間には届かねえんだよ ってな」 

セリフのセンスが最早、異次元です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-07-31 20:09:24] [修正:2017-07-31 20:09:24] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ローザンヌに挑む4日間を綴った物語。
5冊で4日間なので、1部ほどの密度は無いが、相変わらず抜群に面白いです。
最終巻でのまさかの展開には面食らっちゃいました。
1部に続いてですが、今回は良い意味での衝撃でした。

「これが千花ちゃんなら…」と、自分を奮い立たせる六花の成長が著しく、
1部の千花ちゃんの死を本当に丁寧に扱い、糧にしている。

「ローラと六花ちゃんがダンサーと振り付け師として一緒に歩んでいく
二人はパートナーとして生きていく」

それをよしながふみが代弁してくれてるのが嬉しかったです。

3部のストーリーは全部頭の中に全部出来ているらしいですが、
今の著者には振り付けのテクニックが無いので描き表せないとの事です。
(「マンガのDNA」 山岸凉子インタビューにて)

HUNTER×HUNTERの次に連載再開が待ち遠しい作品になってしまいました。
「レべレーション」よりこっちを描いてほしいです。笑

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-07-31 20:06:01] [修正:2017-07-31 20:06:01] [このレビューのURL]

アクションシーンを描かせたら鳥山明に次ぐレベルなんじゃ…ってくらい、ド派手でグロく、スタイリッシュな描写力や構図に脱帽。

特に他作品では、動き無しの会話だけでも読み手を楽しませる技量を持つ、静も動も才能を発揮できる作者です。

前半部はまだ絵も荒く、キャラも微妙でしたが、中盤から一気にどちらも確立されていき、惹き込まれます。
六鬼団結成からクライマックスまでは怒涛の面白さです。

敵も味方も第3勢力も、ほぼ全員魅力的で、色んなマッチメイクに心躍りました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-07-31 20:00:00] [修正:2017-07-31 20:00:00] [このレビューのURL]

この作品は、大人になってからもう一度読みたくなって、藤子F不二雄完全版コレクションの中の、「大長編ドラえもんシリーズ」セットをまとめて購入しました。

分厚い完全版で、一冊に3作入り、全6巻で藤子F先生が携わった17作品が入っています。
紙質も良く、カラーページも再現、藤子F先生の意向を尊重しての加筆修正も反映されており、素晴らしい買い物になりました。

キャラクターの掛け合いが本当に面白い。
ドラえもんはよくのび太を馬鹿にするし、のび太はのび太でドラえもんをよく馬鹿にする。
スネ夫がたまにジャイアンに生意気な口を聞いていたり、ドラえもんはたまにママに敬語だったり、キャラブレのラフさも面白い。笑

また、原始時代、宇宙、魔境、海底、魔界、動物の惑星、雲の上、絵本の中、
あらゆる世界観を表現しているという点でも、表現力の幅を感じます。

私のベストは雲の上の王国です。
子供向け映画なのに、環境問題を訴え、ラストはバトルではなく、ディベートで終わらすというお見事な締め括り。
また、中盤からドラえもんが故障して完全にポンコツになり、人間サイドのみでの主張だったので、良かった。
終始ドラえもんを守り、介護したのび太。二人の友情にも胸が熱くなりました。

ちないに、ねじ巻きはF先生の逝去もあり、明らかに絵柄が変わっていたので、読んでいません。。。


とにかく、漫画好きな人はもう一度藤子Fに立ち返ってみましょう。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-02-27 18:01:31] [修正:2017-02-27 18:01:31] [このレビューのURL]

8点 白眼子

静かで深い作品です。
最初から最後まで丁寧で誠実な作品でした。
何より、相変わらず完璧な構成力。

シロさんの人柄、
戦災孤児の光子との不思議な関係性には、思わずホロリと涙がこぼれてしまいました。

たった一冊でここまでのドラマを作れるのは本当に才能ですね。

他にもスペシャルセレクションや「ヴィリ」なんかも是非、お薦めしたいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-27 17:39:43] [修正:2017-02-27 17:39:43] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

言わずと知れた、西洋ダークファンタジーの傑作。
私が読んできた漫画の中では最も壮大なスケールであり、
最も「このペースでどうやって完結するんだ」感のある作品。笑

何よりも「壮大さ」を表現している圧倒的な画力に感動を覚えます。
画力や表現力で心底感動した漫画家は鳥山明と松本大洋、そして三浦健太郎だけなんです。(偉そうですいませんが。。。)

もちろんダークファンタジーの世界観もしっかりしており、
FFの召喚獣や、西洋神話に出てくる怪物達に想いやロマンを馳せた私にとっては非常に魅力的な作品です。笑

画力の話に戻しますが、
戦闘シーンの迫力はもちろん、怪物の神秘さやグロさがひしひしと伝わってきます。


また、そういった大枠だけでなく、ストーリーやキャラクター作りも非常に丁寧だと感じられます。
主人公ガッツの壮絶過ぎる生き様はカッコ良過ぎます。
また、漫画史上、壮絶な裏切りをしたライバルのグリフィスに対しても若干の感情移入をしてしまいます。
本当に個人的にですが、「NARUTO」のサスケ、「うしおととら」の流等、イマイチ腑に落ちない「味方の裏切り」が多い中、グリフィスはその背景や動機、目標が明確になっており、納得する部分もあります。

絶賛しちゃいましたが、
惜しむべきは、一つ一つの戦闘を丁寧にやり過ぎており、少し中弛み感は感じます。
雑魚モンスターは、もうぶっ倒してる体でいいんです。
スーファミ「MOTHER2」の様に、いちいち戦闘画面に移らずに、エンカウントした瞬間に画面フラッシュで倒した事にしといたらいいと思います。。。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-12-05 21:35:26] [修正:2016-12-05 21:35:26] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

今、連載中の作品の中では、非常に楽しみな部類の作品です。

主人公の成り上がり、
魅力的なキャラクター、
壮大な目標と世界観。

オリジナル性は高いものの、ベースは史実に乗っ取っているので、
敵味方問わず、良キャラも死んでいきます。
死に方がドラマティックなので、演出力に長けていると思います。

現在44巻と、そこそこの長丁場ですが、今のところ中弛みは感じていません。
勢いや、テーマに対する目の付け所だけでなく、しっかり地力のある作家さんなのは間違いないですね。

唯一の突っ込み所として、
強いと設定されているキャラ達の体の大きさや人外じみた強さはやり過ぎ感がありますが、
ジョジョ4部で一部キャラクターがどんどん小さくなっていく事に対してあまり違和感を抱かなくなる様に、慣れれば気になりません。笑

一番痺れたシーンは、信vs輪虎のバトルのラストシーンですね。
その後の羌瘣がボロボロになっているシーンまで合わせ、最高でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-12-05 21:02:26] [修正:2016-12-05 21:02:26] [このレビューのURL]