「ジブリ好き!」さんのページ

6点 洗礼

怖い。

ホラーのような目に見える恐怖はあくまでグロテスクの代名詞な画が引き出しているのであって、その本質は人の心(特に女性の心理)の怖さを描き切っていることです。

「わたしは真悟」や「漂流教室」とはまた違った絵柄ですごいです。作風ごとに絵柄を変えられるとはなんという技量。でも今作はどちらかと言うとホラーよりの絵柄なので、静止の中で怖さを体現する楳図さんの技法では人の動きが弱くなり、かくかくな印象が目立ちました。
あと、オチが読めてしまった…もちろん、「今でこそ」だと思います。いくらか、同じパターンの作品を知っていましたが、たぶんそれらはこの作品より後の作品かと。この作品内でも、いくらか矛盾はありますが、そう長い作品ではありませんので勢いが勝ります。

人の心の闇の更に深淵…それがホラーをもしのぐ恐怖を生み出す物語。

エピローグは、プロローグの母親と娘をほぼそのまま神と人に置換えた言葉で締められます。

神にとって人とは何か?
人にとって神とは何か?
そして……
神は人に何を与えたか?

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[投稿:2010-09-13 23:48:47] [修正:2010-09-13 23:48:47]