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9点 銭ゲバ

「ザ・ムーン」や「アシュラ」など、作者の作品には過度にダークでえぐいものが多いが、そこには少なからず真理が描かれていると思う。表現的にも内容的にも問題ないとは言えないけれど、果たして人間の汚い部分、さながらコンプレックスや性悪さに目をつむって生きていくことが本当に良いことなのか。

過程もラストも、あまりに残酷でダークで、悪であり、しかし正義と呼べなくもない、倫理観をぶち壊されるような作品を、結論を、読者にぶつけてくる。これが人間なのだろうか?これが真実なのだろうか?

「ザ・ムーン」が「力こそ正義だ」という真理を提示した作品ならば、
「銭ゲバ」は「金こそ正義だ」と悟った作品だ

…と思ったが、あのラストは、考えようによっては全く逆の結論を提示したとも言えるのかもしれない。


銭ゲバ

それは金こそがこの世の全てだと悟り、罪を重ね金を集め、ほしいもの全てを手に入れた男の話

己の過去もコンプレックスも金で補ってみせた男の話

そして

誰にもその心を支配させることなく、また、支配させても良いと思える心に出会えなかった、哀れな、いや、それ故に自らの正しさを証明し、人生に勝利した男の話である。

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[投稿:2010-10-04 12:37:15] [修正:2011-05-25 00:55:31]