「ジブリ好き!」さんのページ

手塚思想の集大成「火の鳥」と逆の視点で救いを描いた短編集。

巻末で作者も言っているけど、そんなにスケールの大きな話でもないし、どちらかといえばオーソドックスな話が多いです。けれど一貫して、生ではなく死に、「生きろ!」ではなく「生きない」に、希望を見出すプロットは、年を跨いで発表された短編集であるにもかかわらず強い想いを感じられます。

全5章のうち、第3章の話が琴線に触れました。
孤高のF1ドライバーとそれに憧れる売人が入れ替わる話。
厳しい「プロ」の世界で生きる幸せ
「アマ」のまま生きる幸せ
そこには違いこそあれど上下はない…
そして
「勝つためには限界まで踏み込まなければいけない、だけどどこが限界かは、愛する者がいるから見えるんだ…」
このセリフは本当に上手い。

第5章も集大成的な位置づけとして非常に良いです。
ある意味王道的なプロットかもしれないけれど、演出や見せ方が素晴らしい。

荒い画だけど、女性はかわいらしく、物語は力強く描かれてます。
テーマ性の割に重くなく気軽に読めるのもgood!

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[投稿:2011-02-27 15:19:22] [修正:2011-02-27 15:19:22]