「boo」さんのページ
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「闇夜に遊ぶな子供たち」の続きも読みたいけど、出ても同人になりそういうのは実に残念な話。
ホラーMがなくなったのはやっぱり痛い。
10点、9点…個人的なバイブル、名作。
8点、7点…お気に入りの作品。
6点、5点…十分楽しめた作品。
4点以下…うーんって感じの作品。わりと適当。

恋人マリアに裏切られ、自殺しようとしていたチカ。しかし彼女はその際で妙な男レオナルドに出会い、彼の言葉を受けて誰もが見える場所で“死ぬために”女闘牛士になることを決意するのだった…。
自殺願望を持った女性が死ぬために女闘牛士になるというとけっこうとんでもないけれど、要はチカ(スペイン語で女の子の意)が自分の名前・居場所を見つけていく物語だ。そういう意味では闘牛という題材は脇に置いておくけば、決して珍しくない普遍的なお話だと思う。
しかしそんな物語よりも、えすとえむのハッタリの力に惚れ惚れとしてしまった。
元々この人は現実味があってなおかつ格好良い外国・外国人を描ける、何気に稀有な作家のように思う。そういう意味では絵柄が似通っているオノナツメや多くの少女漫画のような現実味の感じられないひたすらお洒落な外国の生活を描くわけではないということで。でもえすとえむの描く海外の暮らしには生活観が溢れているにも関わらず、最高に素敵で格好良い。
そんなえすとえむが描く「闘牛」のその迫力と存在感にはちょっと酔いしれてしまった。私は多くの世間一般の人と同じように、闘牛について特に詳しい知識はなくて、年に何回かテレビのニュースで流しているのを見る程度。正直に言うとあまり興味があるわけでもなく、牛を見世物で殺すのは残虐のように感じたりもする。
しかしえすとえむのフィルターを通すと、それがこんな風に見えるのかというのは本当に鮮烈な体験だった。目の前にいるのは私たちがいつも食べている牛とは思えない。一種神とも言える風格を醸し出す存在。そんな神の前に立ち、彼らと一体になり、そして最後には刺し殺す。そんな強烈な一体感と忘我の瞬間をえすとえむは鮮烈に切り取ってしまう。
何気に登場人物だって大したことを言ってるわけじゃなかったりするのだ。ほら、同じ台詞でも本田やイチローみたいな人が言うと重みが違うじゃない。でもえすとえむは気持ちよく私たちを騙くらかしてくれる。気持ちを冷まさないように物語を読ませてくれる。そんなえすとえむのハッタリの名手っぷりが本当に心地よい。
えすとえむはやっぱりすごい! 本当にこの人の作風は幅が広くてまだまだ底が見えないよなあ。また短編集も出してくれると良いのだけれど。もちろんおすすめ。
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[投稿:2012-11-06 23:27:49] [修正:2012-11-06 23:27:49]
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