「ジブリ好き!」さんのページ
- ユーザ情報
- 厄年生まれ(性別:男性)
- Webサイト
- https://github.com/darai0512
- アクセス数
- 948623
- 自己紹介
-
レビュー予定
・敷居の住人
・天空の扉
・人造人間キカイダー
・ナンバー5
・世界鬼
修正予定
・放浪息子

9点 火の鳥
壮大なる、「命」をめぐる物語!
古今東西、権力者から動物まで、あらゆるシチュエーションで紡がれる不老不死を巡る物語です。
不老不死の血をもつ火の鳥が全ての物語を通したキーであり、本当に多様な物語が描かれています。今も昔もそして未来も、人が求めるのはやっぱり「不老不死」だからこそ、全く状況は違うのに求めるものが同じという物語がいくつも生まれたのでしょう。
命をめぐる問答が恐ろしく深く、また説得力を帯びてます。それは、手塚先生が戦争を生き延びた数少ない漫画家の代表者だからでしょう。最近の漫画でも、戦いにおける生や死を描くものは多いですが、しょせんそれを描いてる漫画家は戦争を間接的にしか知り得ません。嘘っぱちとまでは言いませんが、その描写のリアリティや説得力において、手塚先生は一線を越えていると思います。そういう意味で、手塚先生は今の漫画家にとって、越えられない壁をもっているのだと思います。
漫画としての面白さも一級品です。
展開や見せ方が半端じゃなく多様で飽きません。
子供の頃から家に初版で大判の単行本があったので、読み耽っていた思い出作品でもあるのですが、ロビタやナメクジ帝国の話や、宇宙船で彷徨う話はものすごく怖かったです。
昔の漫画には説教くさいものが多いのですが、この漫画はそんなことはないと思います。てゆうか、これはもう説教とかいうレベルじゃないです。
説教臭さは、作者の意見の代弁者として、キャラが自分の意見を頑なに貫いたりアピールすることで、読者が押し付けられた感じになって生まれるものですが、この作品では命についてあらゆる考えをもったキャラが登場しながらも、そのほぼ全てのキャラの考えが火の鳥に一蹴されてしまうのです。
また、火の鳥自身は考えを一蹴しながらも、自分の意見を押し付けません。明確な答えを提示しない場合も多いです。
つまり、読者は物語を読みながらどの考えに共感できるかを探し求めればいいのです。物語として、各話とも火の鳥以外の主要キャラの死までが描かれていますが、きれいな死に方も志半ばな死に方も様々です。男も女も子供も老人もロボットも動物も、十人十色の生き様・死に様が魅力的で感動的なんです。
不老不死が正しいか否かということ以上に、生とはなにか?死とはなにか?を問われます。
「死」というものに恐怖を感じている方は必見!
僕も「死ぬのが怖い」とか「不老不死が欲しい!」なんて思ったりしますが、この話を読む度、大切なのは「生きる喜びを感じること」や「生き様」なんだなぁと思います。
ナメクジ帝国の話で、不老不死になった主人公が何千年と孤独に彷徨う姿を見てしまった時、「死ぬことには生きることと同様の喜びがあるのかもしれない」、なんて思ってみたり…
未完だけど、それぞれの話は基本独立なので、読む分には問題ありません。なにより、火の鳥の物語は、僕らがそこから何かを感じ取ることで完結するのだと思います。
ナイスレビュー: 4 票
[投稿:2010-04-05 15:15:58] [修正:2010-04-11 19:39:04]
月別のレビュー表示
- 月指定なし
- 2009年12月 - 9件
- 2010年01月 - 24件
- 2010年02月 - 8件
- 2010年03月 - 40件
- 2010年04月 - 28件
- 2010年05月 - 25件
- 2010年06月 - 16件
- 2010年07月 - 12件
- 2010年08月 - 13件
- 2010年09月 - 6件
- 2010年10月 - 8件
- 2010年11月 - 13件
- 2010年12月 - 19件
- 2011年01月 - 11件
- 2011年02月 - 16件
- 2011年03月 - 9件
- 2011年04月 - 21件
- 2011年05月 - 14件
- 2011年06月 - 1件
- 2011年07月 - 13件
- 2011年09月 - 7件
- 2011年10月 - 4件
- 2011年11月 - 3件
- 2011年12月 - 2件
- 2012年01月 - 2件
- 2012年02月 - 3件
- 2012年03月 - 2件
- 2012年06月 - 1件
- 2012年11月 - 1件
- 2013年02月 - 1件
- 2013年04月 - 5件
- 2015年12月 - 1件
- 2016年01月 - 3件
- 2016年09月 - 2件