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ほんわか日常と蠢く陰謀が交錯する、不思議学園物語!


外部から遮断された、異能力者のみが通わされる学校「アリス学園」
そこで繰り広げられる、ドタバタな日常やイベントがメインなのですが、その背後で学園や外部組織の影が見え隠れします。
そんなわけで物語の根幹は非常にシリアスなのですが、天真爛漫な主人公や仲間たちのおかげで暗さを感じさせません。

個人的に学園ものというジャンルは、好きじゃないし、キャラ媚び路線に走ってるものも多いので受けつけ難いのですが(しかも主人公たち小学生だし…)、この漫画はめちゃめちゃ楽しめました!その理由をいくつか紹介してみます。

1.デフォルメされまくったキャラクターたちがなんとも漫画らしい!
→最近の漫画って、等身大でリアルな姿を綺麗な画で、性格はテンプレ通りに描かれることが多いと思うけど、この作品のキャラたちは顔も姿もかなりデフォルメが効いていて、いかにも「漫画」って感じであまり媚びた感じがしないのが好き。
それでもオマケページや本編において読者を狙ったサービスもあるのですが、キャラ一人一人の性格や人物像はかなりしっかりしているおかげで、容姿で惹きつけようというよりその性格を楽しんでください、といった感じです。なので自分のような読者にもほとんど悪印象を与えることなく、それでいてそういったことが好きな読者向けのサービス提供にも成功しています。

2.魅力的な能力の数々!
→大御所的な能力はもちろん、「そんなのあり!?」って感じの変な能力も多いです。能力には制約や種類もあり、また一人一つ、というわけでもないのがまた面白い。

3.キャラの多さ!
→能力の数だけキャラがいる!でもキャラの魅力は能力だけじゃなく、性格や生い立ちも練られてます。特に主要メンバーは、かなり人間関係が複雑に絡み合っているのが秀逸。

4.能力者という下地がありながらバトル化せずギャグ漫画を貫く!
→少女漫画なので恋愛はあってもバトルはありません。敵との対峙はありますが、そこで行われるのは能力を使った「バトル」ではなく「駆け引き」。
少しもったいない気もしますが、能力という設定はシリアスパートで存分に生かされています。何よりあまりにアクションシーンが残念なので、そういう意味でもギャグやコメディに徹する姿勢は大成功だと思います。もしアクションが上手く描けてたら…と思うことも多いですが、この作品はこれでいいとも思います。

5.肝はあくまでシリアスパート!
→この物語は、序盤中盤とギャグ&コメディで進みますが、実はそこでやってることのほとんどがシリアスパートへの伏線に繋がっています。明らかなギャグ回でも気が抜けない。ほんわかな展開されながらも、その終わりには奥深い闇が垣間見られ、心温まるだけの話では終わらせてくれません。
17巻以降は物語の核心と伏線回収に入り、ギャグが姿を消しますが、心理描写がうまく非常に感動できる話になってます。
ギャグやコメディ自体も結構おもしろいです。子供向けらしいギャグも、かなりシュールなギャグも混在。蜜柑の関西弁も新鮮だし、蛍の能力がドラえもん的役割も果たすので話の発展が面白い。

6.見せ方が秀逸!
→猛プッシュしてきたこの作品、実はシリアスパートでやってること自体は王道です。しかし見せ方・惹きつけ方が非常に巧く、例えば少女漫画特有の、回初めに言葉(心内語)で語り、回終わりに言葉で締める、というやり方がかなり効いてます!この言葉は、誰の気持ちわかることが多いのですが、たまに複数に当てはまれることがあり、かけ方が本当に秀逸。
もちろん王道であるが故に話の安定感も抜群、それでいて従来の王道と違い飽きさせない工夫がこさえられ魅力的な作品に仕上がっています。


以上のように様々な魅力をもつ漫画です。ハリー・ポッターに似てる気もしますが、個人的にはこっちのが好き!多少百合やBLっぽい部分もあるのですが、あくまで小学生なのでそこは友情と表しましょう(笑)
老若男女誰にでもオススメな作品ですが、あくまで「少女漫画」であることをお忘れなく。

【2010年末、追記。23巻まで所持】
17巻以降の怒涛の展開、若干スパートをかけるのが早すぎた気が…20巻以降テンションを維持しきれてません。
正直テンポが悪いです。「花とゆめ」の看板になって以来、誌上を見てると無理に持ち上げられすぎなような…編集部から長引かせろと指示されていそうで怖いです。

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[投稿:2010-05-01 20:51:11] [修正:2010-12-30 20:07:11]