「クランベリー」さんのページ

総レビュー数: 37レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月12日

タイトルに惹かれて読んでみました。
だってこれ藤子先生のオマージュでしょ。藤子先生LOVEの私にとっては看過できないタイトル。

で、タイトルからするとコテコテのSFみたいだけど、内容は割と王道のボーイミーツガールもの。
主人公の広瀬くんが、可愛いけどちょっと痛い系の女の子(希ちゃん)に目を付けられて、「私は宇宙人よ」なんて言っているその希ちゃんを鬱陶しく思っているうちに事件が起こって…、というお話。

希ちゃんが本当に宇宙人なのか、それとも単に痛い子なのか、その真偽が案外あっさりと判明してしまう。
そこはもうちょっと有耶無耶なままで引き延ばしてくれても良かったかも。
だってこの作品はSF部分よりもボーイミーツガール部分に主題が置かれていると思うので。
そういう意味ではすごく変な作品。「最終兵器彼女」と同じ匂いがする。

「二人で一緒に この星を征服しましょう!」
ずっとひとりぼっちだった希ちゃん。
広瀬くんが遂に仲間になってくれたことが嬉しくて、一人でなく二人で過ごす時間が楽しくて、そんな大切な時間を壊したくなくて。

広瀬くんに「仲間」と言われて涙する希ちゃんがいじらしいのです。そんな彼女に幸あれ。

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[投稿:2012-09-23 22:53:49] [修正:2012-09-23 22:53:49] [このレビューのURL]

「喰種」(グール)というのは見た目では人との判別ができず、人間界に溶け込みながら人肉を食する存在。
主人公が人喰い種族であるグールと戦うありがちな漫画なのだと思ってたら全然違ったな。

とある出来事がきっかけで、半分がグールになってしまった主人公。
「ヒトの心とグールの身体」なんて言っているように、身体は人肉を強く欲しながらもヒトの心を強く持ち、何とか人間の社会で生きていこうとする。
ただしグールの社会も(好戦的なのも多いけど)人間臭い温かみがあって、しかもグールというだけで人間に狩られる者も続出し、彼は自分の立ち位置に非常に思い悩む。

かの名作「寄生獣」では半分が寄生獣の主人公は悩みながらも人間の側について戦ったものだけど、この作品では同じような境遇の主人公がグール側について人間の追手と戦ったりする。
でも追手側の人間だって当然家族がいて仲間を殺された恨みがあって、どちらが悪とも言えず、単純な勧善懲悪では無い感じ。
割と斬新でなかなか面白い。主人公はまだなよなよしていて弱っちいんだけど、そのうち頼れる存在になってくるのかな。

基本グロいので女の子にはお薦めしませんよ。

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[投稿:2012-09-23 22:45:35] [修正:2012-09-23 22:46:27] [このレビューのURL]

中村明日美子の耽美な傑作。

もう深くて暗くて重くて、書きたいことはいくらでもあるんだけど、それをどこまでも書いていくとこのサイトの字数制限(あるのかな?)に引っ掛かってしまうかもしれないのでやめときます。
以下、軽くネタバレありますのでご注意ください。

とにかくこの作品は耽美的。
皆さんのレビューにも必ずこの言葉が出てくるし、中村明日美子さん自身が「耽美」と、それと最も相性の良い言葉の一つである「退廃」とを念頭に置いてこの作品を描いたであろうことは想像に難くない。
中村明日美子さんは体調不良で一時期断筆していたことがあって、その時の心情も作品に取り込まれているのかな、とも思ったけど、この作品の1巻は休む前に出ているので考え過ぎかもしれない。

「耽美」以外では、藤乃朱の醸し出す「艶美」=黒と、コヨミちゃんの純真無垢な「健康美」=白との対比が印象的で面白かった。
作者は女の持ち得る美を二つに分けて、それぞれに惹かれていく男の様を描きたかったのかも。
でも正直その部分に関しては作者は描き足りなかったんじゃないかなとも思う。
不満を感じるほどでもないけど、この作者ならオセロのように黒白を引っくり返すぐらいのことは平気でやると思っていたので、最後までコヨミちゃんが純真無垢の白のままだったのは意外だったし拍子抜けした。
辻さんの役回りが中途半端だったのかな。もっとコヨミちゃんに溺れてくれれば。

溝呂木先生のキャラはとても良かった。その堕ちっぷりも含めて。平成の時代に明治の文豪のようなキャラを持ってきて、しかもそれが見事に成立しているところに作者の世界観の奥の深さを感じる。
この作品はサイコサスペンスという一応の骨格はあるんだけれども、結局は作者の思い描く美意識を享受し、共有し、美に耽る作品なのかもしれないな。

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[投稿:2012-06-30 21:09:29] [修正:2012-06-30 21:16:22] [このレビューのURL]

がんばって読んでみた。

ここのレビューに限らず、「彼女の作品の面白さを理解できない人は漫画好きとしてどうかと思う」みたいなメッセージが暗に込められた論調が各所でまかり通っていて、読む前から息苦しくてやだなーって思ってた。
で、がんばって読んでみた結果は点数のとおり。


前作「虫と歌」は私には全然ダメだった。「作者のセンス」なんていう言葉でうまく誤魔化されてはいるものの突拍子もない素材を並べ立てているだけで、結局は作者と共感すること、しかも読者の方から歩み寄って作者のいる高みまで登り詰めていかなければいけないような作品に思えた。
そんな私だったので、この作品が私にとって作者への適合性を問う試金石のような形で読んでみた。そしたら、あらなかなか面白いじゃないの。
前作よりもずっと読みやすかった。と同時に、前作ではさっぱり見えてこなかった作者の特徴がやっと私にも見えた気がする。

この作者、すごく照れ屋なんじゃないのかな。だって、全3篇のうちちょっと趣向の違った真ん中の話は置いといて、他の2篇はすごくシンプルなお話だったから。
根幹にあるのがすごくシンプルでストレートなお話で、でもそれをストレートに表現するのがこっぱずかしくて、「貝殻になった女」とか「皮膚に穴が開く奇病にかかった月の王子様」とかそういう突拍子もない設定でカモフラージュしているだけなんじゃないかって。

だから世間ではそういう突拍子もない設定、すなわち「作者のセンス」を喜んで評価している人が多くて、それはそれでいいと思うんだけど、私はそれを剥がしていった中にある根幹のお話が面白かった。
姉と弟のそれぞれちょっとベクトルの違った優しさだとか、姉の偏屈な愛情とそれを受け止める弟の大きさとか。
「虫と歌」では根幹のお話を覆う殻が分厚すぎて話がさっぱり見えなかったのに。

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[投稿:2012-05-04 23:00:50] [修正:2012-05-04 23:00:50] [このレビューのURL]

おもろい。

製本屋、銀細工職人、画家、小説家、蝋燭屋、花屋、布小物屋、万華鏡屋、美容師、靴屋、などなど、京都のとある路地の長屋に集まる若手の作家や職人を題材にした恋物語。
オムニバスなんだけど各登場人物がそれぞれの話でつながってるという今はやりの形式。

何かもうあったかーい。
どのお話も派手ではないんだけどよく出来ていて、読んだ後に気持ちがほっこりする。
登場人物がみんな京言葉(たまに大阪弁とか東京弁の人もいるけど)ってのもどこか奥ゆかしくて風情があってすごくいいかもしれない。でもそれはうちの実家が京都だから私が個人的にそう感じるだけかもしれへんけど。

肩肘張らないで自然体で読めてすごくあったかくなれる作品。こんな長屋いいな。

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[投稿:2011-12-10 20:32:28] [修正:2011-12-10 20:32:28] [このレビューのURL]

タイトルどおり、キスよりも早く結婚してしまったカップルのお話。

「だったらあたしと結婚して養ってくれんの!?」 「あーしてやるよ!」っていうラブコメディの教科書のような展開で、テンポ良く読みやすい作品ではあるんだけど、本当にキスすらしないのね。
至極プラトニックと言うか、強烈おあずけ感と言うか、最近の読者はそれで満足できているのかしら。
何だか無理やりキスをゴールにしている気がする。

担任の先生と生徒の女子高生が皆に内緒でドタバタ結婚生活を送るという古典的なお話を現代的に味付けした作品。もはや日本の伝統芸能のような設定だし、話作りはさて置きテンポと見せ方が上手い作家さんなので外しようがない安心感。
この手の設定が好きな人にはたまらないかも。

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[投稿:2011-12-10 20:20:24] [修正:2011-12-10 20:21:15] [このレビューのURL]

最近は音楽を題材にした漫画が多い。
いろんなところで言われ尽くされているとは思うけど、漫画というのは視覚だけに頼るものであり、聴覚や嗅覚、味覚までも使うのは現時点では当然ながら不可能ですよね。
ただ、料理漫画というのは昔からあって、その表現力が視覚を通して想像力によって補われ、嗅覚や味覚を刺激してきた。
いまや料理漫画は漫画の一大ジャンルとして隆盛を誇っているぐらいだから、視覚との相性は悪くなかったんだろうな。
それに比べるとずっと難しいのが音楽漫画だと思う。
美味しそうな料理の絵を見てヨダレが出ることはあっても、綺麗な音の絵を見て心が和むなんてことはまずないから。
だから音楽漫画を描くような漫画家は、音楽が好きだから描くという以外にも、自分の漫画の表現力の可能性に挑戦しているって意味合いもあるのかもしれない。

と偉そうに書いてしまったけど、あの羅川真里茂が少年漫画を描くって知ってかなり驚いた。
違う舞台で挑戦してみたくなったのかな。
でもこれ主人公が男の子なだけどノリとかは完璧に少女漫画ですよね。
にもかかわらず人気なのは、少女漫画と少年漫画とのボーダーレス化が進んでいるからかな。
少女漫画にも少年漫画みたいなノリのやついっぱいあるぐらいだし。

この漫画、何が凄いって、三味線なんていう超ニッチなテーマなのにすごく面白い。
やっぱりお話作りの上手い人が描くと違うな。
1巻が一番面白くてちょっとずつ落ち着いてはきてるけど、この先まだまだ面白くなりそうな展開が待ち受けていそうで楽しみ。
で、やっぱりこの人の表現力は凄いよ。
演奏している絵って動きが単調だから難しいと思うんだけど、カメラワークを駆使したり、いろいろなコマや場面をはさんだりして、飽きさせないような工夫が随所にされてる。
なんか、「音が見える」ような錯覚に陥る。私が見た音楽漫画の中では一番だと思う。凄いよー。

この漫画でちょっと興味を持ったので、初代・高橋竹山(松吾郎のモデルの人?)のじょんがら節を動画サイトで見てみた。
凄い。私このレビューで凄いって何回使ったんだろ。でも本当に凄い。
当たり前だけど私の知っている狭い世界の外側にはまだまだこんな凄い人がたくさんいるんだし、そういうのを知るきっかけになるのもこういう漫画の醍醐味だと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-07-17 18:50:15] [修正:2011-07-17 18:50:15] [このレビューのURL]

すごく有名な漫画。レビューもたくさん。なので内容紹介は他の方にお任せします。

私が高校生のとき、当時お付き合いしていた同学年の男子と生まれて初めて漫画喫茶(というよりは漫画読み放題の綺麗なカフェ)に行って、そのとき選んだのがなぜかこれでした。
ちなみに彼氏が選んだのは「ベルサイユのばら」。私たち絶対なんか間違ってた。
で読み出したらもう二人ともはまっちゃって。全く無言で夢中で読んでた。
帰りの二人の会話も噛み合わないったらありゃしない。
「打つべし! 打つべし!」 「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」
その後もう一回通って読破。面白かったな。

ごめんなさい、何が言いたいかって、そのぐらい面白いから読んでみてくださいってことで。
読まず嫌いな人多いと思うので。高校生の女の子でもはまるぐらい面白いですよ。
それにしても女性のレビュー少ないですね。寂しいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-07-17 18:31:20] [修正:2011-07-17 18:31:20] [このレビューのURL]

想いが届くまでは最高の少女漫画の1つかもしれない。
どこまでも正統派の少女漫画なんだけど、これだけ良質だと男性にも受け入れられるんだな。

風早くんのキャラをファンタジーだって言う人は多いけど、そんなこと言ったら爽子ちゃんのピュアさだってファンタジーだと思う。
リアルさを追求する漫画じゃないと思っているから、私はその辺は違和感なく受け入れられた。
爽子ちゃん大好き! もしかしたら今まで読んだ漫画のヒロインの中で一番好きかもしれない。
見ていてこれだけ応援したくなる娘もなかなかいないよ。

こういう漫画だと、ヒロインの爽子ちゃんが憧れの風早くんに少しずつ少しずつ想いを届かせ、風早くんの中で爽子ちゃんの存在がだんだん大きくなってきて…、なんていう展開が定番だけど、この漫画は違うのね。
途中からはどちらかと言うと風早くんが鈍い爽子ちゃんに想いを届かせようとする展開になってきて、少女漫画としてはなんだか新鮮だった。

読んでてこっぱずかしくなっちゃうぐらい初々しくて、心地良い漫画。
いつまでもこの世界に浸っていたいぐらいだけど、もうお話が下り坂になっているのは誰もが感じているところだと思うので、想いが届くまでの素敵なお話が無駄になってしまわないうちにきれいに終わってほしい気もする。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2011-04-02 20:51:55] [修正:2011-04-02 20:53:51] [このレビューのURL]

サエコさんっていう到底ヒロインとは思えないような性格の女性に盲目的に恋をするショコラティエの兄ちゃんが主人公で、心情的にちっとも応援してあげる気にならないんだけど、でもそれでも面白い。

普通の少女漫画みたいに本音と本音のぶつかり合いっていうのじゃなくて、駆け引きとかズルさとかそういうのを前面に押し出して話が進むから、見ていて続きが気になってしょうがない。

キャラもみんなクセがあるんだけど、そんな中で唯一まともな薫子さんにはぜひ幸せになってほしいな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-02 20:32:29] [修正:2011-04-02 20:32:29] [このレビューのURL]