「勾玉」さんのページ

総レビュー数: 160レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月21日

4巻あたりまでずっとつまらなくて、読み進めるのが辛かった。
迫力のない敵の造形、乱立するキャラクター、読んでいて恥ずかしくなるセリフやシーンに、薄ら寒いノリ、
序盤はそれこそ打ち切られなかったのが不思議に思えるレベルだが、
物語が中盤に差し掛かった頃からようやくエンジンがかかり、
そこからは序盤の鬱憤を晴らすかのように、ラストまでギアが上がりつづけていった。

おそらくこの漫画は結末の構想が先にあり、そこから物語を組み立てていったのだろう、
物語が収束していく終盤は面白いが、序盤は設定と謎を散りばめるばかりで面白さを感じにくい。
キッチリ伏線の回収をし、それぞれのキャラのエピローグもフォローされており
読み終わったあとの充足感は見事なのだが、序盤のつまらなさが仇となって他人に薦める気にならない作品である。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2021-01-10 23:31:00] [修正:2021-01-10 23:31:00] [このレビューのURL]

6点 聲の形

[ネタバレあり]

絵も見やすく人物描写も秀でていて、上っ面で生きている人間の底意地の悪さがとても良く描けている。
特に担任の先生のクズ教師ぶりが最高ではないか、
自分がこの漫画のハイライトシーンを選ぶとしたら、竹内先生が声を荒げて石田を一喝するシーンだろう、
自らの指導力の無さを棚に上げて、生徒一人を吊るし上げる所業のなんと清々しいことか。
しかしそんな彼も、物語後半には意外な一面を見せる、
「あのクラスは運がなかった」と一笑に付すドライな性格に変わりは無いが、
それでも西宮の手話を読み取り、石田を立派になったと評価し、最終的には校内の撮影許可もだしている、
表面的だった彼の人物像が、より複雑に感じられた瞬間だ。
このように脇役の彼だけ見ても、人間一人一人を多面的に描いた秀逸な作品であることは疑いようがない。

だが、どんなに美しい絵画も、たった一つの染みのせいで大きく作品の価値を損なってしまうことがある。
この漫画では、過去にいじめられていたヒロインの西宮が、いじめていた当事者の主人公に恋心を抱いてしまうのだが、
この部分だけがどうにも受け容れられず、ヒロインの心理にも全く共感することが出来ない、
主人公の贖罪を恋愛にまで発展させてしまったことが、大きな染みとなって作品全体を歪めてしまった。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2019-12-09 09:53:45] [修正:2020-03-25 19:15:11] [このレビューのURL]

漫画のキャラクターは作者の人柄が出るとか言うけど、この漫画のキャラクター達はまさにそれ
しかも「全キャラ、作者から一親等しか離れてないでしょ」ってくらい同じノリを共有しており、
場面転換しても、ずっとほのぼのとした和んだ空気感が続いていく。
それはそれでブレが無い分、小気味良く話が進行し、安心感はあるんだけど、
一方で揺さぶられるものが無いというか…
事件の真相然り、最後の恋愛模様然り、どちらも内輪の出来事のように感じられて
ドキドキしなかったんですよね、そこが残念でした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2020-01-31 18:59:57] [修正:2020-01-31 18:59:57] [このレビューのURL]

1巻は未来予知ロボット(ピッピ)の自我の目覚めと
その危うさを焦点にして話が進む。
率直に言えば、もうこの時点で面白いし
後はこれを突き詰めていくだけで、充分名作に成り得ると思うのだが
そんな予想とは裏腹に、多くの謎と奇怪な現象をはらみながら
2巻はさらにストーリーがステップアップしていく。
すでに自分の想像の域を越えた展開に期待が膨らむ反面、
風呂敷を広げすぎて着地点がおぼつかなくなりそうな不安も大きい‥。

全てを収束させて傑作となるか、風呂敷をたためず凡作で終わるか、
完結しないことには、真の評価は下せないけど
いずれにせよ話の魅せ方が卓越しているので、一気に読ませる面白さがあります。

(2020.1.31追記)2巻発売から早や8年、完結どころか続巻の刊行も無さそうなので1点減点しておきます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-01-02 18:52:37] [修正:2020-01-31 06:11:43] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ナウシカの最後の選択は受け入れ難いものがあった。
個人的には、世界の理を捻じ曲げようとも貪欲に生を求めた、
旧世界の人間達の方が、自分にとってはよっぽど英雄と呼べる存在だ。
確かに「浄化」と称し生命を作り変えたその所業は人間のエゴと言えるかもしれないが
だからと言って、ナウシカの最後の行動も正当化されるものではないだろう。

生命の本来あるべき姿を尊重し、
自然のままに亡びさえも受け入れようとするナウシカの姿勢は崇高なものだとは思うが、
人類の存亡に関わる重大な選択を自分の思想だけで判断してしまうのはどうなのだろうか。
その上、腐海の真実や墓所でのやり取りを、他の人間に打ち明ける気も無いらしい。
独断で人類の存亡への道を閉ざし、他者へは選択する術も、
真実を知る権利すらも与えなかったナウシカもまた、
強烈なエゴイストのように思えて仕方無かった。

と、まあ結末には納得は出来なかったものの、
物語のスケールの大きさと細部まで考え抜かれた独自の世界観は文句のつけようがありません。
余談ですがワイド版は紙質も悪いし、無駄にでかくて本当に読み辛い。
単行本サイズの新装版とか出してくれないかなあ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-09-13 16:37:23] [修正:2019-12-15 09:50:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

この漫画の面白さの核となるのは、ダイの紋章覚醒とポップの精神的成長の2つ。
そしてそれが共に最高潮に達するのが最初のVSバラン戦で、
ここまではとても楽しんで読むことが出来た。
その後も少しの間、マァムの再加入などで面白さは持続するが、
バーンパレス突入前には完全に右肩下がりとなり、
終盤は、窮地に仲間が助けに来る&死んだと思ったら生きてました、
という展開をひたすら繰り返し、それまでが嘘のように退屈な漫画になってしまった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-02-24 16:31:14] [修正:2018-03-14 22:10:38] [このレビューのURL]

原作小説から大きな改変も無く、綺麗な絵で丁寧にコミカライズされた作品。
しかし、主人公の心情描写などは原作より大分劣っている。
この物語は、ある出来事を経験した主人公の心情の変化が
一番の肝となる作品だと思っているので、ここは大きなマイナス点だ。

とはいえ、これはそもそもしょうがない話で
詳細な心情描写なんてものは、小説媒体の専売特許のようなもの、
それを漫画に取り入れようものなら、
全コマモノローグ付きの間延びした漫画になってしまうだろう。

他に何か漫画版ならではの強みでもあれば良かったのだが、
原作を既読の人に改めて漫画版をお勧めする程の特筆すべき点もなく、
この漫画は、原作未読の人が本作へ触れる為の入口、
もしくは既読の人が内容を思い返す為の手助けに留まる作品だと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-03-09 22:04:14] [修正:2018-03-09 22:04:14] [このレビューのURL]

この作者の描く日常の描写は個人的にちょっと合わないところがある。
遊び心のある風変わりな技法を随所に取り入れてるんだけど
効果的な演出として作用しているものもあれば、
逆に分かり辛いと感じる場面も多々あって、一長一短といった感じ。
加えて、一話ごとのオチもピンと来ないことが多く
読み進めてる過程では、前半の日常描写にいまひとつ面白味を見出せませんでした。

とはいえ、穏やかで温かな雰囲気は充分伝わってきたし
それが布石となって、後半の崩れゆく日常は、身につまされる思いになりました。
悲劇的な部分を描きながらも、終わり方が温かいのは
この作者の感性の為せる業なんでしょうね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-07-19 22:55:56] [修正:2016-11-22 18:44:36] [このレビューのURL]

銭湯の共同経営者でもある夫の突然の失踪、
その後、臨時の従業員として現れたのはどこか影のある男性、
というのが物語の導入部。
個人的には、それぞれの事象が一本の線に結びつく様な
ラストを期待してしまったので、結末は自分が求めていたものとは違いました。

しかし、登場人物の傷心した表情や仕草の描写が出色の出来で
感傷的な主人公への感情移入も自然と入っていけます。
フォークソングを聴いてるような、しんみりとセンチな気分に浸れる漫画ですね。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-07-06 12:24:45] [修正:2016-04-28 18:21:06] [このレビューのURL]

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-07-16 21:27:36] [修正:2015-07-16 21:27:36] [このレビューのURL]

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