「勾玉」さんのページ

総レビュー数: 160レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月21日

この漫画のストーリーを構成している要素を五角形あるいは六角形のレーダーチャートで表現しようとすれば、
過激さという項目が突出したツノのようなグラフになるだろう。
他の項目が足りていないという訳ではなく、笑い、感動、友情、恋愛といった他の全ての要素は
この漫画にとって過激さを底上げするための材料でしかないと思えてくるからだ。
その上でストーリー展開の速さも際立っている。
「常にクライマックス」「全編サビ」そんなキャッチコピーが思い浮かぶ目まぐるしくてせわしない物語は、
その過激さと相まって登場人物達が水泡のように現れては消えていき、
少しでもコマを読み飛ばそうものなら、すぐにストーリーから置いてきぼりを食らってしまう。

当然、万人受けする類(たぐい)の漫画では無い、それどころか少年漫画という枠組みから大きくはみ出しているような気さえする、
だが、この過激さとスピード感は他の追随を許さず寄せ付けない、
好みに合致した読者にとっては唯一無二の漫画になり得るはずだ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-02-07 08:20:17] [修正:2022-02-07 08:28:25] [このレビューのURL]

デビュー曲「夜に駆ける」が2020年の国内総合ソングチャート1位を獲得した
男女2人組ユニットのYOASOBI。
小説を元に作曲を行うという特異なコンセプトを持つ彼らが放った5作目のシングルが、
この漫画にインスパイアされたという「群青」だ。
この歌を聴いた時、なんて実直で明け透けな歌詞なんだろうと思うと同時に、
歌の題材となった漫画を読んでみたいと率直に思った。

そのあと実際に読んでみて感じたのは、
「群青」が紛れもなくこの漫画の主人公のことを歌った曲だと言うことだ、
金髪ピアスという外見とは裏腹に、内面は意外なほど繊細で打たれ弱く、
また物事に対してひたむきな姿はまさしく群青の歌詞で抱いていた人物像と合致する、
本来、悪ぶった優等生といったキャラクターは主人公としては感情移入しにくい部類だが、
何の支障もなく彼の心情に寄り添えたのは、この歌を聴いていたからだろう。

漫画本編も美大受験を扱った新鮮で興味深い内容だった、
ジェンダー色が強めな点や、劇中の絵に提供者の名前がクレジットされていて現実に引き戻される点など、
気になるところはあるが、目標に向かって切磋琢磨する物語は万人にオススメできる。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2021-01-10 22:54:51] [修正:2022-02-03 16:25:24] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

先の読めない物語、なんて言うと決まり文句のような褒め言葉になってしまうが、
この作品の奇想天外さは今まで読んできた中でも群を抜いている。

タイトルにある通り主人公は不滅の存在であり人間ではない、
対象から刺激を受ければ物質、生命ありとあらゆるものに成り変わることが出来、
ゆくゆくはこの世界の全てを獲得し保存することが彼の使命になるという。

この設定だけでもかなり突飛な内容だがストーリーの進展のさせ方はさらにダイナミックだ。
人との出会いと別れを軸に丁寧に物語を刻んでいくのかと思いきや、
場面によっては一気に時が進むこともある、
この大胆な時の流れと千変万化の物語は手塚治虫のブッダ、火の鳥を彷彿とさせる。

漫画の神様を想起させる作品を今の時代に、
しかも週間で長期連載していることは本当に驚きだ、
話のスケールが大きいだけに間延びを感じてしまう部分もあるが、
今後の展開と結末が気になる作品である。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-05-25 11:27:18] [修正:2021-05-25 11:27:31] [このレビューのURL]

主人公の周囲で巻き起こるダークでバイオレンスな出来事と、
意中の相手とのスイートな恋愛模様、相反するような内容が同時に進行していき、
この漫画のジャンルは何なんだろう?と首を捻ったが、
そもそも色んな事が起こり得るのが人生で、
幸も不幸も全てを描写しようと思ったらジャンル分けなんて出来る訳ないよなあ、と勝手に納得。

それでも敢えて分類するならば青春漫画になるだろうか、
どこかの誰かの浮き沈みのある青春をそのまま切り取ってきたかのようなリアルさがある、
そんな描写ができるのもギャグとシリアスが描き分けられるこの作者ならではの芸当と言えるかもしれない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-08-24 00:48:17] [修正:2020-10-08 20:33:07] [このレビューのURL]

色々なトラブルに巻き込まれ波乱の展開を乗り越えつつも、
最後は急にフワッとした感じで終わりを迎える、
著者の漫画の中でならシガテラに近い印象、言うなれば中年版シガテラといったところか。
ギャグとシリアスの配分もよく相変わらずの面白さなのだが、結末が恋人ありきの為、
欲を言えば2人の出会いの部分をもっと深掘りしてほしかった。
付き合う切っ掛けが女性からの一目惚れという都合のいい理由じゃなければ、
ラストももう少し映えたのだが…。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-08-24 00:59:06] [修正:2020-08-24 08:55:29] [このレビューのURL]

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-08-24 00:32:10] [修正:2020-08-24 00:32:10] [このレビューのURL]

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-08-24 00:31:44] [修正:2020-08-24 00:31:44] [このレビューのURL]

タイトルが原作の「三日間の幸福」から変更されているのですが、
個人的にはタイトルだけで興味を引かせる良い改題だと思います、
美麗でどことなくもの哀しさを感じさせる表紙カバーの絵もgood、
内容の方も、ほろ苦いけど後味は悪くないビターエンドといった仕上がりで
なかなか考えさせられます。
後から原作小説も読みましたが、読み比べてみても読後感に差異は無く
漫画版は原作の良さを損なうことなく、
忠実にコミカライズされた作品なんだな、と改めて感心させられました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-06-18 16:41:56] [修正:2020-06-18 16:45:04] [このレビューのURL]

じわじわと日常が非日常に蝕まれていく様子にリアリティがあり、
日本を舞台にしたゾンビ物という、本来は不釣合いな舞台設定にも違和感はない。

刻々と変わっていく状況は没入感があり、巻を追うごとにますます目が離せなくなっていくが、
主人公の気持ち悪さだけは最後まで慣れることはなかった、ヘタレで優柔不断、
ストーリーを通してさしたる成長もなく、女に対してもだらしない、と良いとこ無し。

主人公の英雄(ひでお)が出てこないパートも充分面白かったので、
別人を主役に据えてればもっと評価出来る漫画になっていたかもしれない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-04-24 21:45:00] [修正:2020-04-24 21:45:18] [このレビューのURL]

7点 惡の華

[ネタバレあり]

第二次成長が始まり心身ともに変化の訪れる思春期、不安定なバランスの中で
鬱屈した感情が衝動的な行動に走らせる、というのはよく聞く話だ。

この漫画の主人公もそんな思春期の真っ只中にあり、
そこに中村さんという存在がトリガーになって暴走を始める。
だが特別不幸な生い立ちにあった訳でもないのに、
あそこまで自暴自棄な行いを繰り返したことは実のところあまり共感できていない。
周囲を巻き込みながら罪を重ねていく様子も
現実から必死に逃避しようともがいているようで痛々しく、
ページをめくる手も重くなっていった。

自分がこの漫画を楽しんで読めるようになったのは、
高校生になった彼が過去を背負いつつも前へ踏み出そうとし始めた後半の物語の方だ、
同級生の常盤さんとの恋愛模様も加わり前半とはうってかわってスラスラと読むことが出来た。
後半の展開は割と普通の青春漫画のようでもあるが、
前半の後ろ暗い過去がバックボーンとなり思春期の浮き沈みをより引き立たせている。
終わり方もまた良い、女子の体操着を盗んだところから始まり破滅の道を突き進んでいた物語が、
まさかこんな晴れやかな結末見せてくれるとは、予想外の嬉しい誤算だった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-12-15 09:56:30] [修正:2020-03-23 02:31:41] [このレビューのURL]

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