「橙木犀」さんのページ

総レビュー数: 63レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年05月29日

私が漫画にハマッた原点の作品です。
続きはどうなるんだろうと、弟と一緒に中古書店を漁って回り、書店を巡ったことが懐かしい(笑)

壮大なストーリーや魅力的なキャラクターについては、皆さんお書きになっているので、ここではもう言いません。
私がどうしても主張したいことは、『うしとら』が少年漫画で「愛」の全てを物語を通して語った名作だということです。
親が子に注ぐ愛。
互いを支え合う兄妹の愛。
心から大切な人を想い、守り抜こうとする恋人達の愛。
色んな、ほんとにたくさんの愛が、思いがこの作品には溢れているように思います。これを少年漫画で、わざとらしくなく物語として描いている。本当に素晴らしい傑作だと思います。

ただ、時々物語の設定の辻褄が合わなくなることが欠点かな(汗)
何にしても、少年漫画の王道であることに間違いはありません。
日本人に生まれて良かった!と、この作品を読むたびに思い返します。


ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-07-03 10:43:38] [修正:2007-07-03 10:43:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

何よりもまず、読んでいて、とにかく魚が食べたくなる(笑)
主人公の旬太郎が素人ながらも、味覚と舌の記憶力に非常に優れており、(やや人が良すぎる面も含めて)人間的にも魅力的なので、安心して読むことが出来ます。
基本は、毎回魚介の食材を1つテーマとして採り上げた人情話。
その中でも、毎回出て来る旬太郎の食いしん坊っぷりは、読んでいてちょっと心配なぐらい凄い(苦笑)
でも、私も一緒になって食べたくなってしまうぐらい、美味しそうに食べてくれちゃって!

時折、環境問題を含めたシリアスな話も出て来ます。
消費者として、私たちはどうしていけばいいのだろうか?
楽しいだけでなく、読んでいて深く考えさせてくれるという、漫画の魅力を再度認識させてくれる良作だと思います。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-07-02 17:42:24] [修正:2007-07-02 17:42:24] [このレビューのURL]

相変わらず、藤田和日郎さんの漫画は素晴らしい。
それは間違いない。
だけど、違和感を感じてしまう。
「邪眼〜」からは「うしとら」「からくりサーカス」などで迸っていた“熱さ”が感じられなかったように、私は思うのです。
ぐいぐい引っ張り寄せて、掴んだ読者は決して放さないという強引なまでの力強さに欠けていた。

それは、掲載されていたのが青年誌だったからかもしれません。
ついて来るも来ないも貴方次第。
少し離れたところで静かに佇み、手招きするでもなく黙って読者を見つめているような、そういう印象を受けました。

…まあ、単純に短期連載で、こういう話を藤田さんが書きたかっただけなのかも。
安定した質の高さは、流石としか言いようがありません。
描き出される敵キャラの内面、深い哀しみ・苦しみも、静かに心を揺さぶってくれます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-10 00:15:44] [修正:2007-06-10 00:15:44] [このレビューのURL]

私の場合、本は2種類に分けられます。
1度読むとお腹いっぱい。素晴らしい内容だけど、読み返したいとは思わない作品。
そしてもう一つは、何度でも手にとって読み返したくなる作品。
味わいがあり、読み返すたびに新しい発見や感傷に浸ることが出来るお話。

私にとって、金魚屋古書店は後者の作品です。
ほのぼのと穏やかな日常が流れ、漫画が大好きな人達が繰り広げる、思わず笑ってしまいそうな騒ぎの数々。
『ああ、私も金魚屋古書店の常連になりたいな〜』
この作品を読むたびに、いつもそう思います。

どちらかと言えば、あっさりとした話運びではあります。
これからの人間関係の展開次第では、ちょっと味わいが変わってくるかも。
でも、この漫画は「愛すべき漫画バカ達と漫画」が主軸の物語。
そこだけは変わらず、持ち味を大事にしていって欲しいです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-09 23:49:26] [修正:2007-06-09 23:49:26] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

なかなか先に進めない、けれども確実に前を向いて歩いている青年達の恋愛群像劇。
読んでいて、そんな印象を受けます。

自分をなかなか押し通せないでいるリクオの心情が、なんとなく分かるようで歯がゆいところがある。
でも、不思議と腹が立たないし、変に力んで彼を応援しようとも思わない。ゆっくり着実に前に進むリクオを、素直に見つめることが出来るのが、この作品の魅力かも。
そして、亡くなった兄を忘れかねている幼馴染みに片想いし続けている浪の気持ちが、読んでいて切なくなってしまう。
彼にとってどんな結末が幸福なのか、読んでいてなかなか掴めないのが、自分でもちょっと面白く感じています。

私的に、5卷で登場した美術予備校の面々がちょっと気になっています。
才能溢れる現役生・夏樹や、彼女の才能に焦りを感じている彼氏・船塚。浪が通う美術予備校の講師・居沢が、実は晴が働く喫茶店の店主・杏子さんと同級生で、告ってフラれた過去があるとか。
彼らを是非深く掘り下げて、物語と絡めていって欲しい。
絶対面白くなると思うんだけど…。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-09 15:47:47] [修正:2007-06-09 15:47:47] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

この作品の素晴らしさは幾つもあります。
まず、加害者にも感情があり、事情があり、人間であることを描き出していること。
そして、被害者の心に優しく寄り添う姿勢を忘れていないこと。
最後に、一人不祥事を起こせば全体が非難されてしまう社会で、黙々と自分の信念に従って闘っている人々を正面から見据えているところにあると、私は思います。

人は、ふとしたことがきっかけで、加害者にもなるし、被害者にもなってしまう。
誰も傷つけず、傷つけられずに生きることの難しさを、見せつけられるのはやっぱり苦しい。
それでも、優しさを、愛情を忘れることはしたくない。
そんな人としての叫びが、読んでいて聞こえてくるようでした。

下手に道徳観念や倫理観を押しつけるよりも、この『PS-羅生門』を読んだ方が、ずっと心を揺さぶられるはず。
漫画の力の偉大さを、しみじみ感じました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-06 21:21:57] [修正:2007-06-06 21:21:57] [このレビューのURL]

7点 妖逆門

[ネタバレあり]

この作品のテーマは、「友達というものの意味と、孤独の克服」だと読み終えて思いました。
最初は冒険に憧れる明るい少年という面が強かった三志郎が、確固たる目標を持ってから、どんどん格好良くなっていくのは読んでいて熱くなってしまう。
それでいて、相手を思い遣る心、優しさを決して忘れないところが彼の一番の魅力です。

物語のキーパーソンである「きみどり」が『ひとりぼっちは苦しい』と泣いたときに三志郎がかけた言葉は、とても深いものがある。
この作品が少年誌に掲載されていて、本当に良かったと心から思いました。たくさんの子ども達に、三志郎の言葉をぜひ聞いてもらいたい。

登場人物やストーリーによって、5点・6点のものもあれば8点・9点の話もあった。
だから、平均して上の点数になりました。
冒険活劇の面も勿論ありますが、自分をそっと支えてくれる言葉が欲しい人にも、オススメだと思います。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-05 12:25:02] [修正:2007-06-05 12:25:02] [このレビューのURL]

主人公の明神が格好良くて、可愛くて。
ヒロインの姫乃がいじらしくて。
キャラみんな、大好きでした。
ストーリーも温かみがあって、夢中になりました。
私はコミック派なんですが、毎週雑誌を買ってアンケハガキを出しましたね。それ位、連載時は「みえるひと」一色でした。

絵も上手だし、ストーリーの組み立ても良いのですが、日常話ももっと入れて欲しかったです。
そこで主要キャラの内面を掘り下げて、キャラ同士の関係をもっと深めて欲しかった…。
それでマイナス1点(泣)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-04 23:04:40] [修正:2007-06-04 23:04:40] [このレビューのURL]

主人公の奈津が良い意味で「良い子すぎる」ので、好き嫌いは人によって分かれるかも。
でも、私は彼女がとても魅力的だと思います。
職人として和菓子作りに真摯に取り組む姿勢。それだけでなく、彼女を取り巻く周囲の人々に対しても、彼女の温かさと一生懸命さが発揮されているからだと感じるからでしょうね。
奈津の出生の複雑さは、『漫画だから』と割り切って読んだ方がいいかと…。

和菓子に関するうんちくは、読んでいて非常に楽しいです。
実生活で和菓子を見たときに、ふと「あんどーなつ」で知ったことが頭をよぎるのが、なんとも快感。
まさしく、トリビアの世界ですね。

欲を言えば、職人としての奈津だけでなく、等身大の女の子としての奈津を見てみたい。
恋とかして、心を揺り動かされたり不安になったり、途方に暮れたりする彼女が見たいと思うのは、贅沢なのかな〜?
それがあったので、マイナス1点です。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-04 22:29:28] [修正:2007-06-04 22:29:28] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

クロードは主人公ですが、彼が夢を叶えるためのスタートに立つまでに、様々な壁が立ち塞がります。
日本に滞在すること。働くこと。働く中でぶつかる日本語の壁。
一つ一つの問題を、様々な人たちの支えや手助けで乗り越えていく様子が胸を熱くします。
なぜ物語の舞台が松江になったのか、読み進むうちに見えてくることで、クロードの思いに心が揺さぶられるような気がします。

他にあと2人、主人公がいるのですが、彼らの成長も見所です。
自分のしたいことをはっきり見出せずにいた「せつ」が、どんどん成長していく姿は読んでいて爽快感あり。
現実に押し潰されそうになり、夢を見ることを諦めかけていた宏が、どんな次期蔵元に成長していくのかも楽しみです。

酒蔵だけでなく、飲食店や酒屋の心得、努力や工夫など丁寧に描き込んでいるので好感が持てます。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-05-30 00:36:09] [修正:2007-05-30 00:36:09] [このレビューのURL]