「souldriver」さんのページ
- ユーザ情報
- 1985年生まれ(性別:男性)
- Webサイト
- http://
- アクセス数
- 121497
- 自己紹介
-
しばらく漫画から遠ざかってましたが、少し余裕がでてきたので過去のレビューの修正などぼちぼちやってます。
自分のレビューを読み返していて気付いたことが1つ。それは「緊張感」という言葉を多用していること。
僕にとっての漫画の評価基準とはつまり、(ユルい作風でも、ギャグ漫画であっても)「独自の緊張感」を感じられるか否かということろに終始するようです。
7点でオススメ、8点で秀作、9点以上で傑作、10点は特別な点数。点数は気分次第でけっこう変わるので、なるべくレビュー本文をしっかり書くように心がけてます。
○定期的にチェックしてる作品(レビュー変更の可能性あり)
「ヴィンランド・サガ」 「岳」 「銃夢 Last Order」 「CRAYMORE」 「さよなら絶望先生」 「シグルイ」 「SIDOOH 士道」 「ジパング」 「スティール・ボール・ラン」 「Damons」 「賭博堕天録カイジ」 「バガボンド」 「ハチワンダイバー」 「ヒストリエ」 「PEACE MAKER」 「へうげもの」 「BECK」 「HELLSING」 「魔人探偵脳噛ネウロ」 「無限の住人」 「よつばと!」 「ラストイニング」 「リアル」 「WORST」

8点 寄生獣
ミギーをはじめとする寄生獣たちの思考は、人間の敵として描かれているにも関わらず非常に説得力があり、逆に人間とは何なのだろう?と考えさせられる。
一方で自分たちの社会を守ろうとする人間側の考え方も当然理解できる。
双方の主張を聞くことのできる読者の立場は主人公シンイチの置かれる不安定な状況に照らし合わせることができる。一巻から最終話まで無駄な部分は一切なく、緊迫感を持って読み進めることができた。
「いちばん『悪魔』に近い生物は、やはり人間だと思うぞ…」
物語全体を象徴するこのセリフは人間社会の抱える矛盾を鋭く突いている。
いろんな意味で衝撃を受けた作品だった。
ナイスレビュー: 4 票
[投稿:2007-06-21 04:50:46] [修正:2007-06-21 04:50:46] [このレビューのURL]
8点 レベルE
着眼点や発想の面白さは言うまでもなく、王子を筆頭にキャラクターもそれぞれ最高に魅力的。作者の変人ぶりがフルに発揮されている作品。
かなり非現実的な設定なのにもかかわらず現実とのリンクがものすごく上手くいってる。また構成も良く、シリアスかと思ったらオチはコメディー、というやり方には何度騙されたことか。それでも許せてしまう「発想の斜め上をいく」茶目っ気がこの作品にはある。
とにかくやりたいことが無駄なく納められており、他の長編のだれっぷりを見るともう「短編だけ描いてください」な気分。
たった3冊でこれほどの満足感を与えてくれた漫画は他にない。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2007-06-26 00:02:48] [修正:2007-06-26 00:02:48] [このレビューのURL]
9点 MASTERキートン
それぞれのエピソードの奥深さが素晴らしい。かなり専門的な知識を素人にも理解しやすく、かつしつこくなりすぎないように料理して物語に溶け込ませてるのがすごい。
かといってコテコテの雑学ものでもなく、情のあるドラマとサスペンスが随所に散りばめられてるから飽きが来ない。エンドレスで話が繰り返されるのではなく、世界情勢の変化に伴ってゆったりと時間の進行を感じさせてくれるのも良い。
これだけの内容を基本1話完結方式で惜しげもなく投入できる引き出しの多さにはただただ感心。このとてつもなく幅広くて深い知識はいったいどこから生まれてるのだろうか。ああ、それにしても、褒めるところしか見つからない…。
登場人物のさり気なく気が利いたセリフや、行動の1つ1つが「知ること」の楽しみと「生きること」の素晴らしさを教えてくれる。
これを外して浦沢直樹は語れません。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-01-29 12:06:38] [修正:2008-01-29 12:06:38] [このレビューのURL]
5点 ARIA
決して悪い漫画ではないと思うけど、果てしなく退屈だった。たとえるならアルコールの抜けた甘い白ワインという感じ。平たく言うと物語に酔うことができない。
設定に関して言えば、せっかくテラフォームされた火星が舞台なのに、風景がまんま古き良き地球のコピーというのがもうひとつ腑に落ちない。こう言うのは無粋かもしれないけど、わざわざ遥か火星まで開拓に行って時代遅れの街を作る理由はどこにあるのか…と思ってしまう。
雰囲気は底抜けに良く、僕があまり好きになれなかったのは単に絵柄が好みじゃなかったという部分も大きいと思う。
合う合わないはあるとして、一度読んでみるだけの価値はある。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-01-29 11:09:08] [修正:2008-01-29 11:09:08] [このレビューのURL]
9点 月下の棋士
完全にイカレてる。
ちっぽけな81マスの盤上に、この世の全てをごちゃまぜにして突っ込んだような狂気が満たされている。どんなバトル漫画よりも静かなのに、ボードゲームとは思えないほど激しく勝負の臨場感が伝わってくる。
淡白で無鉄砲な主人公の代わりと言わんばかりに、次々と登場する濃ーい棋士たちが見所。どう見ても変人としか思えない彼らにも彼らなりに様々な生き様があり、それぞれの揺るぎない信念がある。それでこの作者の描く汚い爺さんたちがまた、不思議なことに、読めば読むほどにカッコイイのだ。
命を削った勝負を経て成長していく将介の姿に心踊り、強敵を次々と打ち負かしていく様子にカタルシスを感じる。
何よりこの漫画が素晴らしいのは、対局に勝った者だけに未来が用意されているのではないというところ。敗者のドラマもまた、同じぐらい眩い光に満たされてる。
将棋が分かるかどうかなんて関係ない。ここにあるのはただ壮大な人間ドラマだ。傑作!
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2008-01-22 23:38:41] [修正:2008-01-22 23:38:41] [このレビューのURL]
8点 無限の住人
それほど画力がすごい訳ではないと思う。
ただ、演出が抜群に上手い。気の利いたセリフ回しや立居振る舞い、奇妙な武器やファッション、背景の細かな描き込みに至るまで、構成要素の一つ一つが全く違和感無く統一されている。
一見デタラメな世界観に見えるが、しかしそこには完璧な「エセ江戸時代」が完成されているのだ。
もう一つ特筆すべきが、キャラクターの魅力。特に女性の描き方が素晴らしい。
ファンタジーものに必ず一人は出てくるような、問答無用に強い女性というのは出てこない。
が、戦いの場における女性の絶対的な劣位性(力の弱さや精神的なもの、全て含めて)という現実を踏まえた上で、それでも「儚くも強い」。ある意味理想的な戦う女性像を見事に描いている。
加賀編まではストーリーの組み立ても最高だった。ダルーい監禁編がようやく終わったここから、どんな結末に向かっていくのか楽しみ。注目。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-11-06 23:44:40] [修正:2007-11-06 23:44:40] [このレビューのURL]
8点 キーチ!!
ずっと気になってた作者さんだったけど、やっと1作読めた。いや、スゴイわ、この人。
次から次へと目をそらしたくなるような光景が突きつけられて、でもイマイチ現実感が湧かないのが正直なところなんだけど、これって決して架空の出来事じゃなくて全部実際に日本で起こってるんだよね。そう思うととてもフィクションだと笑い飛ばす気分にはなれない。
確かに今の世の中で一番欠乏してるのは、周りに流されず「悪いことは悪い!」と言うことができるシンプルな価値観なのかもしれない。でも、そんな強靭な精神を持つことは生やさしいことじゃない。
そんなもどかしさまで作中で表現しているのは本当に見事だ。
小学生編の途中まではほぼ文句なしだったんだけど、ただ終盤のアレはさすがにやりすぎじゃないかなーと。
一読者がこんなこと言うのは少し気が引けるけど、キーチたちがもう少し成長した後でああいう行動に出たんだったらもっと納得できる結末になってたんじゃないかと思う。
ともかく、久々にガツンとくる作品だった。もうちょっと時間が経てば感想も変わるかもしれないけど、ここは今の興奮をそのままに、ってことで。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-09-22 23:21:30] [修正:2007-09-22 23:21:30] [このレビューのURL]
6点 かってに改蔵
リアルタイムで読んでたら面白かったんだろうけど、連載が終わった後にまとめて読んでも元ネタが分からなくてイマイチ笑えなかった。
時事ネタとともにかなりマニアックなネタも数多く仕込まれてるから、分かる人には実にツボを刺激される内容なんじゃないかな。
後半に向かうにつれだんだん登場人物や設定が混沌としていくのは笑えた。初期の頃のまともな羽美はどこへ…。
ギャグの方向性と終わり方は大好き。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-08-21 00:23:03] [修正:2007-08-21 00:23:03] [このレビューのURL]
7点 ヘウレーカ
面白かった。1巻完結ということで深い話にはなってないけど、広がりすぎずシンプルにまとまってるところが潔い。
やはりこの作者の持ち味である「異質感」は、歴史の舞台でこそ発揮されると思う。あの一見普通だけど隠しようもない狂気が滲み出る目の描き方を見てると、「ああ、戦争に明け暮れてた時代の人間ってこんな目をしてたんだろうな」というのが伝わってくる。
また連載時期を考えると、この作品からヒストリエへのつながりも見えて興味深い。
あまりに主人公が優等生なのと、小奇麗に終わりすぎてるところに物足りなさも感じた。欲を言えばもう少しこの舞台で話の続きが読みたかったかな。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-08-08 14:02:39] [修正:2007-08-08 14:02:39] [このレビューのURL]
あくまで「銃夢」の正統な続編になるので前作を読んでることが楽しむための前提になるけど、まさに期待を裏切らない出来。
まず格段に絵が上手くなった。デジタル加工のおかげで線がすごくすっきりしたのに昔と変わらない熱さが感じられるのはすごい。
やけに男ぎったキャラとか無駄に熱いノリも受け継がれててうれしい。この人間感溢れる描写と無機質なSFの世界観のミスマッチがたまらない。戦闘のスピード感も相変わらず抜群で、十分前作に匹敵するテンションの高さ。特にカエルラのカッコ良さは一見の価値あり。
難点をいえば、やたらSF用語が出てくるがゆえの説明文字の多さ。一回目は軽く読み飛ばしてストーリーだけを追って、二回目以降で噛み砕くのが吉。
また前作に比べて人物の心理描写や世界観の説明を丁寧に描こうという意図が見受けられる。それ自体は悪いことではないが、ややガリィの葛藤の描写がくどいのと、展開がスローなので月刊ペースの現状のまま最後まできちんと描ききれるかどうかちょっと不安。
ともかく今一番続きが楽しみな作品の一つ。
SF世界が好きな人は前作から通してドバッと読んじゃって下さい。
(07.07.18加筆)
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2007-07-05 22:34:47] [修正:2007-07-19 04:47:08] [このレビューのURL]