「souldriver」さんのページ

総レビュー数: 110レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月21日

7点 MONSTER

途中までは百点満点。連続殺人事件に東西問題や戦争による利害といった社会問題を絡め、各人物の思惑が交錯していくのがザッピング群像劇的でおもしろい。
いくつもの謎が複雑に絡まりあい、少しずつ事件の全貌が明らかになっていく展開はスリル感抜群。いつももう一歩というところで真相がするりと手の平から逃げていくのにやきもきさせられた。

ただこういう「引き」は適度にあってこそ効果を発揮するというもので。
終盤に向かうにつれ、だんだんいいところで必ずCMが入るテレビ番組を見ているような気分に。また次から次に新たな謎が出てきすぎるせいで、それまでの展開との関連性を見失ってしまいがちになってしまう。このグダグダが本当に残念。

サブストーリーや脇役は相変わらず魅力的。最後もなんとかうまくまとめたと思う。
読み応えは重量級。大作と言っていいでしょう。

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[投稿:2008-03-12 00:34:38] [修正:2008-05-20 14:14:20] [このレビューのURL]

そこはかとなく伝わってくる無駄なテンションの高さに圧倒されて、読み始めの期待度はかなり高かった。

ただセリフのこねくり回しぶりが少し度を越えてると感じたり、ステレオタイプすぎるキャラクタライズ、あまりにも現実離れした現象(ショットガンのようなものでクルーザーを吹っ飛ばす、傘で弾丸の雨を防ぐetc)の連続でページを繰るごとにだんだん興味が薄れていき、メイドさんのあたりでもうお腹いっぱい。

B級映画のノリは嫌いではないけど、あれはチープさが視覚・聴覚からダイレクトに伝わってくる実写映像でないと魅力が半減してしまうような気がする。
あとは・・・冒頭のエピソードが「いかにも」という感じで、芸がなかったのも物語に引き込まれなかった原因かもしれない。
あえて漫画でこのノリを貫く独自性は評価できる。

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[投稿:2008-05-20 12:41:33] [修正:2008-05-20 12:41:33] [このレビューのURL]

8点

毎年のように報道される冬山の遭難者のニュースを見て、「なんでこんなバカげた危険を冒す人間が後を絶たないんだろう…」と思ったことはないだろうか。僕もその一人だった。
この漫画はそんな疑問に対する答えの一つを示してくれると同時に、日常においても常に生と死が隣り合わせであるという現実の厳しさを語ってくれる。

人と人との関わり合い、人と自然との関わり合い、そして生者と死者との関わり合い、そんな「言葉以上の」コミュニケーションの描写が非常に上手い。主人公・三歩の救助活動に向き合う姿勢のまっすぐさには尊敬の念すら覚える。
画力にものを言わせて山岳の風景の素晴らしさを見せるのも一つの(最も簡単な)方法だが、この漫画はそれをやらない。しかしなぜか、あまり描かれることのない山頂からの壮大な眺めが頭の中にしっかりイメージできる。作者の持つ構成力の高さの産物だろう。

他の方の指摘にもあるように、巻を重ねるごとにマンネリ気味になってきてる印象は否めない。どんな終わり方を見せてくれるのか、そして個人的に好きなキャラであるザックの出番が増えることに期待を込めて。

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[投稿:2008-05-20 12:08:08] [修正:2008-05-20 12:08:08] [このレビューのURL]

うーん、出足は良かったんだけど期待してたほどではなかった。

もっと骨太の正統派忍者ものなのかと思ってたが、完全に能力バトルの様相。それはそれで嫌いじゃないけど、リアル調に描き切るのかイロモノ系で押し通すのか、どっちつかずに終わってしまった感がある。
さらに中途半端だったのが朧と弦之介の恋の顛末。あれだけの引きを作って至った終盤の展開がかなり駆け足で、膨らんだ読み手の期待をさらりとかわすようにあっさり終わってしまった。
それから時々紙面の雰囲気から浮いた実写(?)の背景が無理矢理ねじ込まれてるのが気になる。

まあリメイクというのはなにかと難しいのだろうけど。
戦闘シーンに限ればなかなか突飛でおもしろかっただけにもったいない。

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[投稿:2008-01-16 23:55:27] [修正:2008-01-16 23:55:27] [このレビューのURL]

薦めてくれた知人には悪いけど、これは…全く肌に合わなかった。

なるほど、確かに敵にも主人公たちにもそれなりの主義や主張はあるらしい。ただそれが総じて薄っぺらい。
主人公たちの向かう方向性があまりにもぼやけてはっきりとしておらず、それなのに当の本人たちは出どころ不明の信念と腕力だけで問題を解決していってしまう。そしてそれをやんわり肯定してしまう周囲の空気。
そんな戦後の混乱期というシビアな情勢には場違いすぎる、ある意味「天然」な世界に完全に置いてけぼりをくらってしまったという感じ。このノリがどうも理解できない。

まあこれはこれで、絵柄が好みに合いさえすれば意外と楽しめるのかも…。

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[投稿:2008-01-16 23:24:13] [修正:2008-01-16 23:24:13] [このレビューのURL]

得点は保留。
まだまだ地道な展開。でもつの丸先生ならきっと何かやってくれるはず…!
期待大。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-16 23:00:47] [修正:2008-01-16 23:00:47] [このレビューのURL]

「デカスロン」以来の山田芳裕。まず絵柄が全くと言っていいほど変わってないのに驚いた。
正確に言うと少し紙面はスッキリしたのだけど、この作者の最大の持ち味だった「勢いだけ」な突っ走り感が衰えてないのがすごい。

そして何と言っても着眼点がおもしろい。今まで様々なメディアでさんざん取り上げられ、いささか食傷気味だった戦国時代も、数寄という文化的な面から見ることでこれほど新鮮に映るものなのか。
武士道らしい禁私的な精神は隅に置かれ、欲望と野心に忠実な好き者:数寄者たちが幅を利かす。それが格好悪いことでも何でもなくて、ただただ粋!
そんな中で主人公・古田左助は茶の湯を通じ「侘び」の精神に惹かれていくことになるのだが…その顛末がまた実に黒くて、でもどこか滑稽に描かれるのがおもしろい。

改めてうちの国にかつてこんなにも素晴らしい時代があったんだなーと感心させられる。
かなりオススメ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-01-12 00:54:15] [修正:2008-01-12 00:54:15] [このレビューのURL]

もう細かいことは全部放り投げて、出たとこ勝負!っていう投げやり感が全開。月下の棋士とは別の意味でハイテンションな将棋漫画。
それでいて譜面はけっこう練り込んであったりするからニクイ。

至るところに突っ込みどころがあるのに、出てくる変人たちが勝手にバカ騒ぎの大立ち回りを始め、終わると休む間もなく次の展開に引っ張り回されるため最終的には強引に最後まで読まされてしまう。将棋が分かってようが分かってなかろうが関係なく巻き込まれる。
結果的に将棋初心者から経験者まで幅広く楽しめる作品ではないかと思いますハイ。

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[投稿:2007-12-26 19:54:37] [修正:2007-12-26 19:54:37] [このレビューのURL]

ひたすら足掻く主人公に共感できるか否か。他の方の言うようにこの点において大きく評価が分かれそう。

漫画というメディアで物語を描くにあたって、「理想」と「現実」の線引きはとても難しい。こと現代を舞台とした作品ではご都合展開が過ぎてもダメ、堅苦しすぎてもダメになってしまうところがあると思う。
その点、この作者は主人公が両者の間で悩む姿を適度に描いた上で、最後の結論を放っぽり出して全部うやむやにしてしまう(主人公の勢いに任せてしまう)。
無責任といえばそれまでだが、流れに身を任せようとする自分がいかに現実に納得の行かないもう一人の自分と上手く付き合って行くか、というのが社会で立ち回っていく上で大事なことなんだと言ってるように思う。これは個人的な解釈だけど。

小難しい話になってしまったけど、エンターテイメントとして良作なのは間違いなしです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-26 19:39:44] [修正:2007-12-26 19:39:44] [このレビューのURL]

ちゃんと略奪したり黒い政治に関わったりする海賊漫画。
内容自体はごく王道でありふれてるものの、それを力技で熱さに変えてしまうのがすごいところ。不器用そうな作者だけど、キャラの魅力と真っ直ぐさで見事に長編を描き切ってる。

中盤で張った大きな伏線をあっさり放棄して終わっちゃうあたり少し拍子抜けしたけど、ココの成長物語としては最高の締め方。海賊ファンタジーとして十分な読み応えがあります。
いや、いー作品だわ。

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[投稿:2007-12-26 19:23:09] [修正:2007-12-26 19:23:09] [このレビューのURL]