「souldriver」さんのページ

総レビュー数: 110レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月21日

まず僕たちにとって今のところあまり身近な存在ではない古代ヨーロッパを舞台にしたという設定が良い。この作者特有の異質感がうまく表現できる時代だと思う。

話自体はオーソドックスな伝記ものながら見せ方が非常に上手く、はやく先が知りたい衝動に駆られる。言葉にできない心の叫びが絶妙に描かれており、特にエウメネスが叫ぶシーンやカロンが涙する様子には心をゆさぶられる。
また奴隷や戦争が当たり前のように存在していた当時の時代背景を伝える小話もさり気なく散りばめられていて、話の本筋とは別に興味深いものがある。
絵もシャープさを増しており、戦闘描写やリアルな残酷表現も違和感なく見れる。ただしかなり生々しいタッチなので苦手な人は避けた方がいいかも。

まだ3巻ながら、かなりの手ごたえが感じられる。今後の展開に注目。

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[投稿:2007-07-07 00:48:38] [修正:2007-07-07 00:48:38] [このレビューのURL]

8点 編集王

マンガ業界の現実を、その世界に身を置く人間の視点から痛烈に描き出すというアプローチは面白い。
少し誇大ではないかと思える表現も多いけど、漫画家の中でもいささかはみ出し者的な存在の土田先生ならではの問題意識の高さと、マンガへの情熱が伝わってくる。

目線をずらせば明らかに実在する漫画家や業界体質への批判にも見えるが、ただの批判で終わることなく問題点をきちんと見据えているのが評価できる。人間描写も相変わらず秀逸。一見カッコ悪いことをカッコ良く見せてしまうのがすごい。
またあからさまな自虐ネタ(マンガ業界を批判的に描くこと自体が自虐ではあるけど)も滑稽でグッド。

話が長引くにつれて間延び感がすることや結局キャラが立ち切らない人物が多いのは難点だが、それを補って余りある内容の濃さ。
マンガ好きを自負するならぜひ読んでほしい。

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[投稿:2007-07-06 23:23:55] [修正:2007-07-06 23:23:55] [このレビューのURL]

土田先生得意の泥臭い人間描写が、もとの話にこれ以上ないくらいマッチしてる。
どの話もリアルで痛々しいし、単行本に挿入されてる手記もより現実感を引き立てている。改めて、同じ日本の中に不幸な境遇に置かれてる人間がたくさんいるんだということを実感させられる。

ただし原作のチョイスがあまりにも土田先生「らしすぎ」て、全くと言っていいほど新鮮味がない。また原作そのものがいまや超がつくほど有名になっているので、今さらマンガ化する必要性があるのかどうか疑問。
原作をまだ読んでない人が夜回り先生を知るきっかけにするのには良い作品だと思う。

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[投稿:2007-07-06 23:06:45] [修正:2007-07-06 23:06:45] [このレビューのURL]

6点 LIAR GAME

シンプルなルールのゲームと、その穴を突いた駆け引きや心理戦。この作者の持ち味が遺憾なく発揮されてておもしろい。「ONE OUTS」は馴染めなかったけど、これはより閉鎖的な場所を舞台としているので違和感は感じなかった。
ただ雰囲気的にどうしても「カイジ」の限定ジャンケンとかぶってる感は否めないし、心理描写では福本先生の方が数段上。

それでもカイジとは違い、単純な主人公を中心にドライに物語を盛り上げるのはまた一味違う新鮮さがあり、また騙し合いという点ではこの作者に分があるような気もする。
これからの展開に期待。

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[投稿:2007-07-06 22:41:12] [修正:2007-07-06 22:41:12] [このレビューのURL]

作者の作風から考えて明らかに分不相応なテーマかと思いきや、蓋を開けてみれば持ち味の人情味が余すところなく発揮されてて意外と違和感がない。
華やかなホストの世界の裏で厳しい現実に打ちのめされ、足掻きながらも最後には自分の生き方を貫き成長していく男たち、それを影で支える女たちの姿が実に生き生きと描かれる。またどう見ても稲○五郎や阿○寛な人が出てくるのにはニヤッとさせられる。

しかし残念なことに、結末に至るまでの展開が強引すぎる。せっかく長い時間かけて徐々に盛り上げてきたストーリーを完全にぶち壊す駄展開に、取って付けたような薄い終わり方(どう見ても打ち切り)。最終巻を読み終えた後にひどく脱力感を覚えた。

とはいえ、7巻途中までの展開は本当に文句なしにおもしろい。
ホストマンガといえば夜王が有名だけど、これもあと1〜2冊かけてきっちり終わらせていれば自信を持って薦められる出来だったのに…。まったく残念。

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[投稿:2007-07-06 20:11:43] [修正:2007-07-06 20:11:43] [このレビューのURL]

確かに手放しで賞賛できるものではないけど、それにしてもこの点数はない。
話題作であるが故にもともとこういうジャンルに興味がない人が手を出して「合わない」と感じるのは分かるけど、ここまで人気が過熱するのはやっぱり内容が伴ってるからであって、やたらと0点とか1点とかつける極端な評価はどう考えてもアンフェア。

…という僕も友達に薦められて読んでみたクチだけど、それなりに楽しめた。人物像はそれぞれ魅力的で人間らしく、同時に今にも壊れそうな危うさも感じさせられる。この表の強さと、裏の脆さをきれいに両立させるストレートさに感心。
カップリングがあり得ないという声も聞こえるけど、個人的には「まあこういうもんなのかな」程度にしか思わなかった。

一方でイマイチ読後の満足感が薄いのもまた事実。そしてどこか間の抜けたパンク解釈が目につくこともまた事実。
それでもやっぱり先が気になるし、後味も悪くない。十分完成度の高い作品だと思う。

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[投稿:2007-07-04 00:24:38] [修正:2007-07-04 00:24:38] [このレビューのURL]

何となく興味本位で手にとってみたけど、正直この作風は僕には合わないらしい。
絵柄やキャラクターに魅力を感じられないのをはじめ、唐突にマニアックな近代兵器がわらわら出てくる違和感、重いんだか軽いんだか話の筋がよく分からない展開、すべてが…うーん。
痛々しい描写もかなりあるのになぜか現実感が湧いてこない。余白の多い絵が必ずしも悪いという訳ではないけど、絵からあまり力感が伝わってこないのがどうにも。
残念ながら作者のコメントにもほとんど共感できるものはなかった。

序盤こそ他のマンガにない独特のドライな空気と先行きの不透明さが新鮮に映ったものの、5巻あたりから退屈さの方が先に立つようになってしまった。

最初に表紙を見た時点で自分には合わなさそうな雰囲気を察したけど、改めて「直感ってけっこう大事なんだな」と思わせられた。
かなり人を選ぶ作品だと思う。

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[投稿:2007-07-03 14:02:00] [修正:2007-07-03 14:02:00] [このレビューのURL]

7点 HELLSING

古本屋で立ち読みしたときはゴチャゴチャした絵が受け入れられなくて放り投げたけど、本腰入れて読んでみるとこれがなかなかおもしろい。
「狂ってる」っていう表現ができるマンガはいろいろあるが、その中でもこれは非現実の世界をとことん突っ走ってる感じの狂いっぷりが好き。グロい表現やかなりヤバい思想も、フィクションの世界だと割り切って読めるから単純にエンターテイメントとして楽しむことができる。
ときどき入るギャグパートも作者の遊び心やいい感じの手抜きが感じられて良い。

また敵味方問わずキャラクターが非常に魅力的。主人公が最初から強いマンガはあまりおもしろくないのが多いけど、これはそもそも設定自体がぶっ飛んでるから不快感はなかった。先が読めるシーンも多いけど、とにかく熱さと勢いで乗り切っている。

しかしこのマンガ、よくイギリス国教会やバチカンから抗議が来ないもんだ…(かなりの言語に翻訳されてるというのに)

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[投稿:2007-07-02 23:19:46] [修正:2007-07-02 23:19:46] [このレビューのURL]

構成の過不足のなさ、キャラの魅力、独創的な構図やタッチ、意外な結末…全てが素晴らしい。

才能を持て余す能天気なペコと、才能を生かす気のないクールなスマイル。作者得意の二人の対比を中心に描かれる青春像は、天才であるがゆえの苦悩や孤独、努力では超えられない壁にぶつかった者の挫折感、スポーツをやっている人間なら誰もが感じる、けど誰も決して声を大にしては言えなかった、そんな真実を痛快に表現している。
主役級の二人から脇役に至るまで、それぞれの思いを胸に卓球に命を賭ける姿は、みんなどうしようもなくカッコイイ。

また、粗さと繊細さが見事に溶け合った絵は濃すぎず、薄すぎず、一度見たら忘れられないインパクトを持っている。ほとんど動きのない「静」の絵にこれほどのメッセージを込められたマンガがかつてあっただろうか。

青春という2文字をたった5冊の中に見事に集約してみせた作者の感性は驚異に値する。
文句なしに傑作。

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[投稿:2007-06-29 19:14:27] [修正:2007-06-29 19:14:27] [このレビューのURL]

これは評価が難しい。
最初読んだときは衝撃を受けたしどんどん読めたけど、なぜか今考えるとどういう内容だったのかよく思い出せないほど印象が薄い。
着眼点はすごいし、現代人の深層心理について興味深い考察?がなされていると思う。ただ描写がリアルすぎてイマイチ馴染めなかったのと、展開が飛躍しすぎるため状況がよく理解できない(主人公も僕も)のが原因なのだろうか。

おもしろいんだけど、印象には残らない。
「おもしろい」と「印象に残る」は今まで常にセットで感じてきたから、これはかなり珍しい。ある意味貴重な作品なのかもしれない。
しかしながらさほど先が気にならないのは痛い。

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[投稿:2007-06-29 18:52:02] [修正:2007-06-29 18:52:02] [このレビューのURL]