「souldriver」さんのページ

総レビュー数: 110レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月21日

少年誌の王道のような冒険マンガ的オープニングを見せたかと思えば、闇の世界や独自の設定の闘技場、さらにはネットゲームやオークションの概念まで。
いろんな世界を違和感なく料理して物語に組み込むセンスの良さはさすが。
あえて舞台を広げることで様々なエッセンスをまじえながら、読者に旅行をさせているような感覚を持たせようという意図も読み取れるし、全く飽きなかった。
念の設定も独特で、一元的な「力」の概念と操る人間によって様々な特徴を見せる「スタンド」の概念の良いところをうまく融合させたようで画期的。ときどき常軌を逸した変人が登場するのも作者らしくて良かった。

が、蟲編に入ってからどうもおかしくなった。
休載のことは抜きにしても、戦闘の駆け引きがどこか短絡的に思えたり、あまりの急展開にパワーバランスが崩れすぎてせっかくの念の概念が置き去りになってるような気がする。

ともかく、今後どう物語が進んでいくのか。気にしても仕方ないのが現実だけど、今の状態はどう考えても生殺し。ちゃんと続きを書いてほしい…。

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[投稿:2007-06-29 17:33:22] [修正:2007-06-29 17:33:22] [このレビューのURL]

7点 ONE PIECE

何と言われようが、「10巻までの雰囲気が好きだった」という意見は変えられない。

その後のあまりにも人が死なない理不尽さや短絡的な思考が多すぎるのに嫌気が差して何年か読むのをやめていたが、久しぶりにまとめて読んでみると、やっぱり良いところも数多く持ちあわせているマンガなんだということを再確認。
とことんまでバカに徹するキャラクターになったルフィはこれはこれで魅力的だし、中途半端なキャラだった頃よりはだいぶ良くなった。
世界観や登場人物なんかもどんどん広がってるし、伏線も張られまくりだけど、不思議と消化できるような気がして安心して見てられるのはこの作品独自の魅力。

ただ死を描かないことはどうしても戦闘の緊迫感を損なうし、そもそもの航海の部分もかなりおろそかになっている。その点において「海賊」っぽさは相変わらずちっとも伝わってこなかった。
海洋冒険ファンタジーとして読むには十分に面白い。

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[投稿:2007-06-29 17:14:09] [修正:2007-06-29 17:14:09] [このレビューのURL]

明るめな展開が多くなっているのは個人的には好き。
前作が「現世の汚さ」を描いているなら、今作は「現世の素晴らしさ」を描いた人間賛歌と取ることができる。つくづく人間とは裏表の生き物なんだなぁ。
特に猫の話は思わずウルッとくる。

ただ前作とあわせて5巻、6巻と続くにつれさすがに題材が尽きてきたのか、あまり入り込めないエピソードもちょくちょくあった。
それでも着眼点が良いというか、主題の見つけ方が上手いと思わせられる話が多く、全体的にクオリティーは高い。
誰が読んでも見所を見つけられる作品だと思う。

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[投稿:2007-06-27 19:48:49] [修正:2007-06-27 19:48:49] [このレビューのURL]

死を前提にしているだけあり、全体的に暗い雰囲気が漂う。死んですぐの人間の視点で現世を描くというのは新鮮味があった。

天国に行って転生を待つか、死を受け入れず現世で彷徨い続けるか、人間を一人呪い殺して地獄に行くか。
淡々と死者にこの選択を与えていくだけのストーリーだが、それぞれの選択に深い人間模様が描かれていてマンネリは感じなかった。
幸せを奪われた者、不幸のうちに死を迎えたもの、全くの事故で命を奪われた者、数多くの死が描かれているが、他人を殺めるということがどんなに不幸を与えるのかを教えられる。
どんな人間であれ命というものは重いんだなぁ、と。
子供が多く出てくるので絵が少し柔らかくなった感じがするが、相変わらず上手い。ただ「地雷震」後期の方が鋭さがあって好きだった。

地雷震から続けて読むと作者の社会問題への関心と人間観の変化が感じ取れて面白い。
サクッと読むことも深読みすることもできる良作。

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[投稿:2007-06-27 19:33:27] [修正:2007-06-27 19:33:27] [このレビューのURL]

かなーり敬遠していた作品。周囲の熱い推薦もあってこのたび思い切って読んでみた。

やっぱり最大の不安材料だったあのグロテスク表現は凄まじく、1巻の時点で何度か読むのをやめようかと思った。しかし読んでいくうちに徐々に気にならなくなっていってしまった自分がちょっと怖い。
絵もさることながら登場人物も一人残さず狂人。それも常識の範囲内では考えられないような狂いぶりで、逆に惹かれるものすらあった。思えば絵が気にならなくなったのも、この狂った人間像と完全にマッチしてるからなのかもしれない。
そんな副次的な要素に目が行きがちだけど、どんどん読めてしまうのはストーリー自体に魅力があるからに違いない。最初に衝撃的な情景が見せられ、それから過去に戻るという構成になっているので、何気に先が気になる。

面白い、というのが素直な感想。ただ面白いだけじゃなくて、人によっては麻薬的にハマる魔力を持ったマンガだと思った。幸か不幸か、僕は「まだ」その領域には行ってないけど。
全く万人にお奨めできるような代物ではないけど、臓物がOKな人はなんだかんだ楽しめるんじゃないかな。

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[投稿:2007-06-27 01:35:16] [修正:2007-06-27 01:35:16] [このレビューのURL]

7点 墨攻

戦国時代の思想家の人生を描いた教科書的歴史漫画かと思ってたら、意外にもかなり脚色の入ったエンターテイメント性の強い内容。典型的な劇画調の「濃い」作風で、残酷なシーンもそれなりに出てくるので読む前にある程度の覚悟はした方が良い。

もともと墨子や墨家の思想は学校の授業で少しかじったのだけのおぼろげな知識しかなかったが、これは無理に思想的な部分を押し付けてこなかったのですんなり読み進めることができた。
描写はかなりリアルで、良くも悪くも「大昔の価値観や戦争の様子はこんな感じだったのか」という雰囲気はよく分かる。現代人の視点から見れば墨家の思想など単純だ、と思うかもしれないが、当時の常識となっていた物事の考え方がしっかり描かれているので、いかに革離が先進的な価値観を持っていたかというのが伝わってくる。
また攻城戦をメインに描いている作品だけあって、アクション的な要素やかけひき、読み合いにもリアリティーがあって良い。

映画が面白かったから、といって軽い気持ちで読んでしまうとちょっと痛い目に遭うかもしれない。
しかし中国史が好きな人や本格的な歴史漫画を求める人を満足させるには不足無い出来。

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[投稿:2007-06-27 00:49:14] [修正:2007-06-27 00:49:14] [このレビューのURL]

8点

バレエという珍しい題材を扱った作品ながら、素晴らしい出来。

ただ単に主人公が天才という訳ではなく、その特異な才能の背景、生い立ちが丁寧に描かれているので説得力がある。
心理描写が上手く、様々な人物の思惑や信念がしっかり表現できている一方で、未知の世界の存在も無理なく描けている。盛り上げるところは最高に盛り上げてくれるし、見せ場への持って行き方も良い。読んでいて鳥肌を立たせられる場面が何度も。
非常に思い切った場面転換や構成の上手さも随所に感じられ、普段全く踊りなどに興味の無い僕にもバレエという世界の奥の深さが伝わってきた。

第二部へのつながりに少し無理があったり、人物像のところどころに破綻があるなど粗も見られるが、それを補って余りある魅力を放っている。第三部に期待。

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[投稿:2007-06-25 18:49:22] [修正:2007-06-25 18:49:22] [このレビューのURL]

荒木飛呂彦先生ならではの奇抜なアイデアの数々。
戦闘描写は抑えられており、何度見ても楽しめるサスペンス色の強いショートドラマに仕上がっている。

ジョジョファンなら誰もが狂喜する人物の再登場があったり、巻末の解説に作者のマンガに対する思いが綴られていたり、とファンとしては大満足。
「そうきたか」と唸らされるような仕掛けが、あるときは思わぬオチとして、あるときは状況そのものとして張り巡らされており、見所が多すぎて飽きが来ない。
常識的に考えればあり得ない状況が、実際に自分の身の周りで起こっていることのようなリアリティーとともに見る者に迫ってくる。

どのエピソードも作者の遊び心に満ちており、荒木流の良いところが凝縮されたような一冊。
「ジョジョが気になるけど長いし…」という人にも最適な作品になるのでは。

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[投稿:2007-06-23 20:59:10] [修正:2007-06-23 20:59:10] [このレビューのURL]

5点 BLEACH

少年漫画の王道と言える路線を突っ走っているがため、良い面と悪い面がくっきりと分かれているように見える。

「オサレ漫画」の烙印が押されている原因の一つに、独自の世界観に対する説明の不十分さが挙げられる。
死神や虚の存在、ソウルソサエティの設定自体は面白いアイデアだが、その世界が存在する必然性の説明や定義が十分になされないまま勢いだけで話が進行していくことが多いため、ふと現実世界とのリンクの曖昧さに気付いたときに一気に醒めてしまう自分がいる。
また再三言われている通り現状酷いインフレーションに突入しており、こうなってしまうと今の路線のままではもう盛り返しは難しいかも…と思ってしまう。

とはいえキャラクターはそれぞれ立っており、戦闘描写もそれなり。エンターテイメントとしては悪くない。
余談だがどこかで「一護とそれを取り巻く人間関係はうしおととらのオマージュだ」という指摘を見たことがあった。なるほど、納得。

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[投稿:2007-06-23 00:14:44] [修正:2007-06-23 00:14:44] [このレビューのURL]

9点 神童

今でこそ「のだめ」や「ピアノの森」が一世を風靡してるけど、これを読んだ当時としてはクラシックを扱ったマンガはとても斬新だった。

主人公うたが物語を通して人間としての成長を遂げていく様子にどんどん引き込まれる。
最初は世間の大人や気取ったガキどもをピアノの腕で黙らせていく痛快さに、やがてある重大な事件を契機にまさに「音」を「楽しむ」ことを覚えていく過程に、奥の深い面白さがある。
全ての物事を音楽を介して捉えている描写は新鮮で、雑味がなくある意味ですがすがしい。また必要以上に自己主張をしないサブキャラクターたちにもテーマの一貫性を感じることができ、好感が持てる。

「この音は神様にかえすよっ!」
「全ての響きを合わせて 今 一しずくの音からはじめよう」
等、さり気なく心に残るセリフも多く、全編を通して登場人物や作者がいかに音楽を愛しているかが伝わってくる。絵が微妙だからとスルーしてしまうのはあまりに勿体ない。
渾身の力がこもったラストシーンには痺れた。未読の方は是非。

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[投稿:2007-06-22 23:47:54] [修正:2007-06-22 23:47:54] [このレビューのURL]