「souldriver」さんのページ

総レビュー数: 110レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月21日

この作品で土田先生と出会った。

自己を主張することも、他人を疑うことも知らないドンのひたすらにまっすぐな思いには胸を打たれる。
自分の幸せとは自分の好きな他人の幸せ。
そこにあるのは自己犠牲の精神でも博愛の精神でもなく、ただ自分を、そして人間という生き物を信じる心だ。罵られ、嘘をつかれ、裏切られ、どんなに傷つけられても、関わったすべての人たちに人間としての真の誇りを見つけさせていくドンの生き様は本当に不器用だけど、本当にカッコイイ。

生きることはそれ自体が大きな苦痛だ。でも「永遠の場所」は、必死に生き抜くことの中に自分で見つけていくしかない。それは現実の刹那さを突いた心理だけど、同時に人間の暖かさも教えてくれる。
多分僕がドンのように純粋な愛を持つことは一生かかってもできないんだろう。
でも、いつかはそうありたいと願う。

まさに魂を揺るがし、僕の人生観を大きく変えた作品。
おそらく今後も、これほどの影響を与えてくれるマンガに出会うことはないだろう。

『ドン、おはよう! おまえが大好きだ!!』
 

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-22 22:16:57] [修正:2007-06-22 22:16:57] [このレビューのURL]

10点 SLAM DUNK

初めて読んだとき、これほど「はやく先が知りたい」と思った漫画はない。

展開は終始スリリングで、事前にストーリーを知らなければ最後までどう転ぶか分からない。こと試合の場面はそれまでの漫画になかった圧倒的なリアリティーを以て描かれており、汗のしぶき一つに至るまで会場の熱気が、躍動が肌に触れて伝わってくるよう。
特に綾南戦と山王戦の終盤の展開は圧巻。

登場人物たちの個性はそれぞれ際立っており、作者の関与しないところで勝手に喋ったり行動しているようにも感じられる。
また日常の生活と非日常の世界との描き分けが文句なしに上手く、物語にメリハリとリズムを与えていて読む者を飽きさせない。

結末に関しては賛否両論あるが、個人的には過不足なく最高の形で締めくくれてると思う。
僕の知る中では数少ない「万人に薦められる」素晴らしい作品。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-21 04:20:31] [修正:2007-06-21 04:20:31] [このレビューのURL]

確かにキャラクターも、ストーリー性も、絵柄や手法も、全てが好みの分かれる作品。読む前に良い先入観を持っている人は少ないと思う。

しかし一度読み始めれば、そんな好みを超えて有無を言わさず強引に先を読ませるような不思議な引力に満ちている。
第一部からスティール・ボール・ラン(実質第七部)に到るまで100巻に届こうかという超長期連載。しかも「こち亀」のようなオムニバス形式ではなくて長編戦闘マンガとしてのスタンスを崩すことなく、且つ中だるみもほとんどなく今なお描き続けられていることに僕は敬意を表するッ!
「人間賛歌」のテーマのもとに繰り出されるストーリーには非常に筋の通ったものがあるし、それが作者の一貫した人間観に基づいていることが感じられる。

独特のセリフ回しや斬新な戦闘描写(特に第三部において)も魅力の一つで、ジョジョにまつわるネタは数知れず。この作品が漫画界に与えた影響は計り知れない。
日本の漫画史上最も偉大な作品の一つだと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-21 03:53:27] [修正:2007-06-21 03:53:27] [このレビューのURL]

今最も注目してる漫画。「特にこのシーンが!」というのはないけど、ストーリーの完成度の高さは歴代ジョジョの中でも一、二を争う出来じゃないかと思う。

第五部あたりから気になり始めた構図・コマ割りの見づらさから一歩抜け出し、かっしりとした絵柄に落ち着いた。ここぞの場面の迫力はさすがで、静動のメリハリが利いた非常にリズム感のある構成になった印象。
驚いたのはヘタレだったジョニィの変貌ぶり。単に戦闘能力・乗馬能力が向上しただけでなく、精神面での成長が確かに伝わってくる。

序盤〜中盤はセルフパロディーや単純な戦闘がメインなためマンネリも感じたが、「遺体」争奪戦が激しくなってきたあたりからの緊張感が凄い。以前よりもスタンドが直接戦闘に影響する度合いが薄くなり、より精神面の駆け引きが描かれるようになった。これを地味と感じるか、熱いと感じるか。僕は後者だ。

今はまだどういう結末が待っているのか見当もつかない。だからこそわくわくする。
物語の本当のゴールがどこにあるのか明確に示されていないのが、今までのジョジョと最も違うところかもしれない。
(08.5.20改筆)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-21 16:53:05] [修正:2008-05-20 15:07:59] [このレビューのURL]

それぞれのエピソードの奥深さが素晴らしい。かなり専門的な知識を素人にも理解しやすく、かつしつこくなりすぎないように料理して物語に溶け込ませてるのがすごい。
かといってコテコテの雑学ものでもなく、情のあるドラマとサスペンスが随所に散りばめられてるから飽きが来ない。エンドレスで話が繰り返されるのではなく、世界情勢の変化に伴ってゆったりと時間の進行を感じさせてくれるのも良い。

これだけの内容を基本1話完結方式で惜しげもなく投入できる引き出しの多さにはただただ感心。このとてつもなく幅広くて深い知識はいったいどこから生まれてるのだろうか。ああ、それにしても、褒めるところしか見つからない…。

登場人物のさり気なく気が利いたセリフや、行動の1つ1つが「知ること」の楽しみと「生きること」の素晴らしさを教えてくれる。
これを外して浦沢直樹は語れません。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-29 12:06:38] [修正:2008-01-29 12:06:38] [このレビューのURL]

完全にイカレてる。
ちっぽけな81マスの盤上に、この世の全てをごちゃまぜにして突っ込んだような狂気が満たされている。どんなバトル漫画よりも静かなのに、ボードゲームとは思えないほど激しく勝負の臨場感が伝わってくる。

淡白で無鉄砲な主人公の代わりと言わんばかりに、次々と登場する濃ーい棋士たちが見所。どう見ても変人としか思えない彼らにも彼らなりに様々な生き様があり、それぞれの揺るぎない信念がある。それでこの作者の描く汚い爺さんたちがまた、不思議なことに、読めば読むほどにカッコイイのだ。
命を削った勝負を経て成長していく将介の姿に心踊り、強敵を次々と打ち負かしていく様子にカタルシスを感じる。
何よりこの漫画が素晴らしいのは、対局に勝った者だけに未来が用意されているのではないというところ。敗者のドラマもまた、同じぐらい眩い光に満たされてる。

将棋が分かるかどうかなんて関係ない。ここにあるのはただ壮大な人間ドラマだ。傑作!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-01-22 23:38:41] [修正:2008-01-22 23:38:41] [このレビューのURL]

9点 三国志

名作の名に恥じないおもしろさ。脱帽。
今まで三国志の世界は正史でしか知らなかったけど、これほど魅力あるものだったとは。
できればもっとはやくこの作品に出会いたかった。

他の方々の指摘の通り、登場人物が多すぎて顔とキャラを描き分けられてないのは難点。
ただ同じ中国古代ファンタジーを原作とした「封神演義」と違い、こちらは律儀なまでに原本に忠実な様子。堅実な作りで分かりやすく、もともとの話がおもしろいせいでどんどん読めてしまう。無駄が一切なく、必要な部分のみしっかり描いている。
多くの故事に触れることもできるので、そういった面でもいろいろとためになる。

万人にお奨めしたい作品。60巻なんてあっという間です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-15 23:03:35] [修正:2007-11-15 23:03:35] [このレビューのURL]

まずは騙されたと思って読んでほしい。
笑い、涙、出会い、別れ、勝利、敗北、努力、友情、そして夢。
少年漫画に必要な全ての要素がまさかこのふざけた競馬漫画に詰まってるとは…正直思わなかった。

序盤の低レベルな下ネタやベタな成長物語はほんのさわりみたいなもの。
そこから中盤の急展開はまさに競馬のレースさながら、息つく間もなく駆け抜ける圧倒的迫力!読むたびに心の底から痺れる本物の名勝負の連続。
特にあの衝撃的シーンと有馬記念の決着はいつも涙で歪んで…。

分かりやすく競馬初心者にも優しい作りで、馬が人間よりよく喋るというトンデモ設定も実に違和感無くこの世界に溶け込んでる。
天下一武道会と化したWC編以降がなければ文句なしの10点。
これこそ王道! 超おすすめ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-09-02 14:19:37] [修正:2007-09-02 14:19:37] [このレビューのURL]

構成の過不足のなさ、キャラの魅力、独創的な構図やタッチ、意外な結末…全てが素晴らしい。

才能を持て余す能天気なペコと、才能を生かす気のないクールなスマイル。作者得意の二人の対比を中心に描かれる青春像は、天才であるがゆえの苦悩や孤独、努力では超えられない壁にぶつかった者の挫折感、スポーツをやっている人間なら誰もが感じる、けど誰も決して声を大にしては言えなかった、そんな真実を痛快に表現している。
主役級の二人から脇役に至るまで、それぞれの思いを胸に卓球に命を賭ける姿は、みんなどうしようもなくカッコイイ。

また、粗さと繊細さが見事に溶け合った絵は濃すぎず、薄すぎず、一度見たら忘れられないインパクトを持っている。ほとんど動きのない「静」の絵にこれほどのメッセージを込められたマンガがかつてあっただろうか。

青春という2文字をたった5冊の中に見事に集約してみせた作者の感性は驚異に値する。
文句なしに傑作。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-29 19:14:27] [修正:2007-06-29 19:14:27] [このレビューのURL]

9点 神童

今でこそ「のだめ」や「ピアノの森」が一世を風靡してるけど、これを読んだ当時としてはクラシックを扱ったマンガはとても斬新だった。

主人公うたが物語を通して人間としての成長を遂げていく様子にどんどん引き込まれる。
最初は世間の大人や気取ったガキどもをピアノの腕で黙らせていく痛快さに、やがてある重大な事件を契機にまさに「音」を「楽しむ」ことを覚えていく過程に、奥の深い面白さがある。
全ての物事を音楽を介して捉えている描写は新鮮で、雑味がなくある意味ですがすがしい。また必要以上に自己主張をしないサブキャラクターたちにもテーマの一貫性を感じることができ、好感が持てる。

「この音は神様にかえすよっ!」
「全ての響きを合わせて 今 一しずくの音からはじめよう」
等、さり気なく心に残るセリフも多く、全編を通して登場人物や作者がいかに音楽を愛しているかが伝わってくる。絵が微妙だからとスルーしてしまうのはあまりに勿体ない。
渾身の力がこもったラストシーンには痺れた。未読の方は是非。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-22 23:47:54] [修正:2007-06-22 23:47:54] [このレビューのURL]

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